重箱の隅

札幌には
「をとわ」という日本料理店があります。
こおろぎはそこの大ファンです。
お料理はもちろんですが
この高いところで揺れる炎。
ホンモノのランプです。
従業員さんたちは
出社してすぐ
みんなでこの高い位置のランプのガラスを
丁寧に磨きます。
そこから仕事が始まるのです。
素敵なお店です。




クローズアップ現代
ノーベル賞鈴木先生がご出演でした。

本当にお元気で、
はつらつとなさり、
明確なお話しぶり。

そして
再び
重箱の隅をつつくような仕事はだめだと

教科書に載るような新しい仕事を・・・

聞きながら
今日もまた
重箱の隅に、人生が見える人もいることを
感じているこおろぎです。

今回ノーベル賞を受賞されたお二人の先生
の共通の恩師でいらっしゃる先生が
大きな樫の木も、もとは小さなどんぐりから・・・と
おっしゃったこと、今日もお聞きしましたが、


樫の木になれないどんぐりもいるのです。
そっちのほうが多いのではないでしょうか。
小さなどんぐりのままだとしても
小さなどんぐりのままの一生にも
大きな意味があるのだと、


できるならば
大きな声で、叫んでみたい気がする今夜のこおろぎ。


なぜなら
9割以上の人々は、
もちろんこおろぎも、そんな立派なステージで
そんな立派な光を浴びる生活などしていない。
望むべくもない。


こおろぎは
今日の大学の授業でも


「生態系の中の
ごくフツーの一種類の生物としての自分を
意識しなさい」


喘息でゼーゼーしながら力説してきました。


生きているだけで
充分意味があるのですから。


かつて
医学部専門の予備校で教えていたことがあります。
基本的に全寮制。少人数の学生に教えていた日々、
ある日、
障害をもった子どもたちと地下鉄で遭遇した学生たちが
食堂で大騒ぎをしていました。
あろうことか


「あいつらなんて
生きている価値がないんだぜ」
という議論でした。


まだ若かったこおろぎは
聞いていられず、なんてことを言うんだと、
割り込んだのですが
彼らの言い分は強かった。

「センセー、きれいごと言わないでくださいよ!
なんだかんだいっても
みんなのお金を使って何の役にもたたない連中さ!」


今思い出しても
生涯、許せないと思う発言でした。


でも
あの頃の
20代後半のこおろぎは
彼らの間違いを指摘もできず、
考えを改めさせる力がなかった。


今なら
まずひっぱたいて、
何時間でも説教ができますのに・・・


この苦い思い出と
ノーベル賞の先生とは全く繋がるものがありません。

でも
なぜか
今回のお二人の先生のお話を聞くたびに
苦い苦いあの場面が
不思議と思い出されるのです。



研究にも研究の方法も目的も多様のはず。
どの研究にこそ価値がある、というものでは
ないでしょう。


新しいお仕事・・・とおっしゃいますが
クロスカップリング
お二人の先生のオリジナルではありません。
それは周知のことです。
簡易な方法をみつけらたことにこそ意味があった。
実用化されたところに大きな評価があったのでしょう。




すばらしいお二人の先生のお話の
どの部分が
予備校教師時代の苦い思い出の学生達に
つながるのか
今はわかりませんが・・・




どんなにお金がかかっても
全寮制の予備校に何年も入れられ、
どんなことがあっても私立の医大に合格せよ、
病院のあとを継げ、という
指令のもとにすごしていた
あの頃の彼らには
彼らなりの、深い悲しみがあったのだろうと思います。
でも
思いやりのカケラもなかった彼らに
若かったこおろぎがとても傷ついたのも事実。

その彼らが
今、北海道のあちこちで開業していることをこおろぎは知っています。

どんなお医者さんになったのでしょうか・・・・


さてこの写真、
いつものこおろぎのトーンと違います。
これは
スタジオのカメラが捉えた映像を撮ったものです。
だから遠近感がなく、
遠方の花も近くのものも
並んで等しく撮れたのです。

おもしろい発見でした。

おもしろい発見といえば
カブトムシが中国からお土産でいただいてきた

ものすごく
そうですね
えーとですね
うーんとね・・
そうだなあ・・・

と表現を迷うほど

要するに
はっきり言えば
いわゆる
田舎くさい・・・輝きを放つブレスレットがあります。

あまりに
つまりその
なんてーのか・・


あ、言っちゃったんだったわ
田舎くさい・・・って

その田舎くさい感じが
田舎くさいこおろぎには「あんまり」なので
使わずにいたのです。

安っぽいのに
豪華な箱入り。
なにかと「豪華な箱入り」が中国には多いのですが

とにかく使わずにいたのです。

でも先日、
せっかく贈ってくださったお気持ちもあるしなーと思って
腕にはめてみて驚愕。
田舎くささに加えて
付け心地のわるいのなんのって・・・。


ああ
中国は理解に難しい・・・とまで
思いつめたこおろぎでしたが
腕からはずしてふと見ると


ドキッ・・・

あらっ・・・
猛烈に田舎くさく
かつ胡散臭い柄のブレスレットの裏に
縁起のいい文字がびっしり。

ああああああああ
張さんだったか趙さん、ごめんなさいね・・・
なんだか相当、意味深いお品だったのね・・・


あっぱれだわ、ブレスレットの裏側のこの文字。
ぬかったわ、こおろぎ、不注意。

こおろぎは見る目もなければ
モノの価値も分からないだけでなく
節操もないので

とたんに

なんだか趣のあるブレスレットだと思ってたのよ!」


と、ワレながら情けない発言。


大発見した気分でした。
おそるべし、中国!
なかなかやりますね・・・
中国の策略には
みなさん、油断はできませんから!


さて
こおろぎの近況ですが
喘息は快方には向かっていますが
今ひとつ全快にはならず。

しかしながら
研究再開。
本日は大学の図書館で
優秀な司書さんたちのお手伝いをいただいて
キャラ弁」研究が大きくすすみました。
小さいながら大発見もありました。
司書さんと手に手をとって
これ、大発見!と叫んだのでした。

重箱の隅をつつく仕事、ここにこそ
偉大な喜びがあるというものです・・・・

ごまめは歯軋りしながら
ごまめの人生を楽しく歩くってもんですわ。


そしてここにも
なんだかさみしそうな奴がいます。

いつまでもダラダラと
遊びたいのはヤマヤマですが
不細工シスターズもこおろぎも
ちょっと大忙し。
つい立の向こうで
りきまるさんも物思いにふけってもらおうと思います。


多くの教科書が書いているテーブルコーディネートの
「いろは」「A to Z」的手法が
いかに根拠のないものか
そしてあちこちに見る、食器食具の歴史の
曖昧さも日々明らかになっています。

ああ
ここもまた重箱の隅。

王道を歩け?
いやいや
地を這うこおろぎでいいと
断じて思った今日でありました。