生活美学講座10月!

生活美学講座 10月を開催しました。

今お気に入りの小泉先生の器たちを主役にディスプレイ。

秋のお菓子とフウセンカズラ

本当に季節の終わりをしみじみと感じてお茶のひとときを。


キレイだなあ・・・としみじみ。


白い器が大流行しはじめてどれくらいたつでしょうか。


フレンチだけでなく
イタリアンも
中華も

みんな真っ白い器を


それも
なんだか大きな。

大きな器に
ほんのちょっぴりの盛り付け。


器のまわりに
香辛料やちょっとしたソースを描く、その手法も
すでに見慣れました。


でも

なんでしょう・・・

なんともいえない物足りなさ。



今回のギャラリーで

小泉先生の作品をじっくりながめて
そして
実際に
使ってみて


一般化した『白い器』たちのものたりなさの理由がわかりました。


大量生産のさみしさでした。



手作りの・・・
丁寧に作られた作品の
そのプロセスと
均一ではない白さと形
ほぼ完璧な形なのに
そして
完璧な『白』なのに
作り手の吐息を感じるぬくもり

その白さの
なんと美しいことか。



二つとない
その形と「白」に出会ってしまったので

これからは
作り手がわかる器たちを
今まで以上に大切に使っていきたいと思います。



今回のテーブルには
私の手持ちの茶器やヨーロッパのお皿も並び

インドの型染のクロスと
フウセンカズラの緑が
有田の土が生んだ「白」をいっそう浮き出させててくれました。


秋のお菓子もおいしそう!


生活美学の講座なので
ちょっと面倒なお話もしました。

私は北海道では今は『食』の仕事が多いのですが

本当は(?)生活美学が専門で
博士号は被服学で取得したので

「ヒトはなぜ装うか」
とか
「マナー、作法はなぜ生まれたか」

なんていうお話がちょっと得意です。

そんなお話を少し
今日はさせていただきました。


マナーのハウツーではなく
なぜそのハウツーが生まれたか
なぜスタンダードがないはずのマナーや作法に
こんなにこだわるのか、

「ウチ」と「ソト」の意識や
他者の視線などから考える方法など。


正装とはなにか・・・

不便さや不自由さこそが
「おしゃれ」の根底にあったことなど

久しぶりに私の主軸の部分をお伝えできました。


ファッションのお話しをしたので
実習はコサージュ作り。

大人なので実際に生のコサージュをつける機会は少ないのですが
プレゼントや食卓には絶対に素敵。

つくり方のコツなど
お伝えしながら
楽しいひとときをごいっしょしました。



教室創立30年を迎え、31年目のあゆみは
台風とともにスタート。

ときならぬ北国の台風のなか
背中を伸ばしての講義でした。


いろいろなことが重なり
少々多忙ですが

大村先生に続き、
梶田先生がノーベル物理学賞を受賞。

梶田先生の次の言葉が
私にはとてもとても嬉しいものでした。



「人類の知の地平線を拡大するような、
そして研究者が個人の好奇心に従ってやるものです。
そういう純粋科学にスポットを当てられてうれしく思います。」




知の地平線の拡大・・・



教師になって40年近くたちます。
それも、どこにも属さず、フリーランスの教師として
民間の研究者として歩いてきましたが

今この年齢で思うことは
なんとかもっと、もっと、もっと広く、いろいろな情報をお伝えできないものかと

そして
それは義務感からでも使命感からでもなく


私自身の大いなる好奇心から
そんな教育の仕事がしたいのだと
気付いた、まさにそのとき、梶田先生の言葉を耳にしたのでした。



はからずも、農学部時代の論文を見たいと
大先輩からメールをいただき、
命削って書き上げた修士論文をながめたところでした。
今の私のスタートラインは、
昆虫学でした。


苦しんで書いた英語の論文を探し出して見ていたとき
「知の地平線・・」という言葉をお聞きして
胸が熱くなったのでした。


ずうずうしくも
まだ私には欲があります。

今やっと
自分の方向が見えてきたのですから。

さて
台風は去ったかしら。


嵐は必ず去るものですからね。


明日はきっと晴れ。


犬もなんだか元気です。