優しく・過激な一日

昨日、イチオシモーニングで
驚異的な大口で爆笑してしまったので
今日は自粛する、と書きましたが、
ウソでした。

本日もまた
「イマコレ」のコーナーで
楽しいディズニーランドのレポートで
ガハハと大笑い。


シャンとして
大人らしく
充分高齢になった大人らしくなど
できないってことですね。

シックな存在感など
どうやったって無理なんだと自覚するしかありません。


25年以上のおつきあいの歯科の主治医先生が
「あらいさんは、大きな口で笑うから
緊張して治してますよ」と
いつもおっしゃいますが、
ご苦労わかります・・・

フツーは見えない奥歯まで見えるらしい。



二日続けて早朝からのお仕事でしたが

普段から朝型生活しているので
問題なし。


そして本日は
午後通りかかった狸小路
意を決して一軒のお店を訪ねました。


札幌の中心部のアーケード街、狸小路
古い古い市場です。


下倉さんというお魚やさん。

亡くなった料理の師匠
生活デザインの師匠でもあり
配偶者の母親でもある
荒井恵美子先生が
生前ずっと取引していたお魚やさん。


なぜかしら前を通っても
名乗れずにいたのですが
春を待つ気持ちが強くなったのでしょうか


「こんにちは
失礼ですが
荒井恵美子をご存知でしょうか」


唐突に名乗りでました。


義母は他界して17年、
辻クッキングスクール札幌校の校長をやめて
30年近くになるのに


下倉ご夫妻は

「ああ、知ってるよ!
知ってるさ!
いい先生だったねえ!」


まるで時間を感じさせないあっさりとしたお答え。


「私、嫁です」


「え?
先生の、お嬢さん、じゃなくて
お嫁さん?」


「へーっ、そうなの?

今日はいいカレイがあるよ!」




ああ


素敵。


この会話、素敵。


感傷的でもなく
大げさでもなく

思い出語るでもなく

でも
きっちりと
真っ正面から

突然表れた
昔のお得意さんの、奇妙な嫁を
しかと見つめて


さらりと
お魚を勧める下倉夫妻。


義母は
東京から転居して
札幌に住まいをかまえてから開いた
料理教室時代
そして辻クッキング札幌校を運営した
華やかな時代、ずっと
このお魚やさんと取引をしていたとのこと。
いつも話しを聞いていました。



義母を生涯、先生と呼び続けた私は

カレイを選びながら


「センセー、下倉さんでお魚えらんでますよ」と
独り言を言いながら
涙があふれそうになりました。



荒井恵美子が
たくさんの北海道のお茶席に
懐石を指導したことをご存知の方はもう少ないでしょう。


懐石と日本料理、
そして家庭料理全般とパーティー料理を
あんなに熱心に実践し、指導した荒井恵美子を
まだご存知の方がこうしていてくださったこと
なんて嬉しいのでしょう。



「センセー、これからは
私がセンセーのあとをちゃんと歩きますからね」と
カレイをつまみあげながら
大宣言をしたのでした。



あらら

本日、こおろぎセンセーは
かなり感傷的。


下倉さんのお魚は
とにかくすごかった。

こんなお魚やさん
ないですね!

生きのいい、太刀魚もあったなあ・・・
鯛も!


カレイと
そして
新モノの数の子
お惣菜もいくつか買って
ルンルンで帰途につきました。


このキラキラの新モノの数の子
生まれて初めて、
数の子を「おいしい!」と思いました。


大きなカレイは
三つに切って煮付け。
このガラスの大きな片手鍋は
フランス製。
荒井恵美子先生がずっと愛用していたお鍋です。



下倉さんは
鮮魚店とお惣菜店とお寿司やさんが狸小路市場の同じ場所で経営。
これからは
せっせと通おうと思います。

お教室のお魚も
下倉さんのお魚に決定!


サワラもおいしそうだったなあ!


ご多分に漏れず、
狸小路市場もほとんどがシャッター。
でも
残るべくして残るお店、
そして新しい素敵なお店もあって


ああ
私、やっぱり
札幌では狸小路が大好きです。



ちょっと感傷的な午後でしたが
帰宅後は鬼と化して採点続行。
そして本日、おすすめの本2冊。

イチオシモーニングでご紹介していたディズニーランド
その
サービスのご本。

東京ディズニーランド
東京ディズニーランドである所以が
実によくわかるホスピタリティの本です。

中途半端なマナー論より
ずーっと納得できる営業マニュアル。

そして
人間研究のたまもの、ですね。

詳しく書く場所がなく残念。

ディズニーランドに行く前に読んでおくと
ちょっと楽しみ方、違ってくるかも。



そして
アナユキの大ブームに
ちょっとだけ腰が引けているこおろぎセンセー、
その理由は

若桑みどり先生の名著、
「お姫様とジェンダー
−アニメで学ぶ男と女のジェンダー学入門ー」

をかつて読んだからでしょう。


博士論文で
花嫁衣装を取り上げた際、
どうしてお色直しのドレスを着るのか、という
答えの出ない問いにふりまわされ、
たどりついたのが
「お姫様」だったのです。
それもディズニーが描くお姫様。


私は生物学を専攻したので
ジェンダーという考え方には
ひっかかるところがたくさんあるのですが
それを克服できなくても
若桑先生の筆力には完全にノックアウト。


だれかに幸せにしてもらおうなんて思うなよ!

そんな声がどこからか聞こえてきそうで
それが自分の内側からあふれてきた声にも思えて

打震えながら読んだ本でした。


オーロラ姫も
白雪姫も
シンデレラさんも
一目惚れはいけませんわ。


ましてやひと目みただけの相手のプロポーズをすぐに受けるなど
断じていけませんわ。



片方の靴落としてくるなんて
もってのほかですが、

その片方の「おとしもの」をかかえて
女々しく
一目惚れの相手さがすなど

どれだけヒマな王子様なんでしょ。



これが王子じゃなかったら
「おとしもの」とどけてくれたヒマ人と
いきなり結婚するひとなんていないですからね。




なにかと素直になれない私には
ぴったりの本でした。



どうぞ
世の中の女性たち、

たまには過激になりましょう!


「君を幸せにするよ」

なんて
絶対に男性に言わせてはいけません。



自分で幸せになりましょう。
教育を受けたのですから、
親に家族に愛情をもって育ててもらったのですから
自分で幸せになりましょう。



君をしあわせにする、なんて言う男、
どうかしてますよ・・・。



「ボクは君がそばにいてくれたら
ちょっと幸せだから
まことに勝ってながら
もしよければ、いっしょに暮らしていただきたく思います。
そしてどうぞ、君は君の幸せをさがしてください。」



これが100歩ゆずったプロポーズかなあ・・・




お気づきでしょうか
こおろぎセンセーのパソコンの画面は
敬愛するヘプバーンです。
意志の強そうな
この視線が大好きです。



そして
本日の犬、

・・・・・


仕事の邪魔ばかりするので
閉じ込めたら
なぜかクローゼットの戸が開いたらしく、
洋服ひっぱりだして
大暴れしていました。


ランチェッティとかバレンティノとか
昔のオートクチュール
形が古くてもう着れないものの
あまりに仕立てのよい、
二度と買えない高価な洋服たち


よくもまあ
散らかして遊んでくれたものです。
現役で着ている洋服をこんな風に散らかしたなら


今ごろこの犬、
三階の窓から逆さにつるしてますから!



でも
この洋服たちも
なんとか処分考えなければ・・・
とはいえ、すばらしい洋裁技術満載の
本場物の洋服たち、なにかよい使い道がありそうで
目下試案中。



犬は犬なりに
反省しているそぶりは見せていました。


古い写真がでてきました。
犬、1歳になる前ですね・・・

でっかい子犬時代、それなりにかわいかったのに・・・


犬もトシをとり
飼い主もまた
どっさりトシをとるのは当たりまえ。


いい仕事、したいと
しみじみ思った一日でした。