知をさがして


犬です。


おかあさんはどこで休息、休養しているのかと
聞かれることがおおいのですが
犬が知るかぎり、
TVの前で、かなりの時間、ぼーっとしています。


最近は
その時間が少し長くなって

ちょっとイライラしていました。


ワクワクすることがない

いろんなことが薄っぺらく見えてきてしまったようで

なんとなく嫌な予感がしていたのですが


小さな爆発が起こりました。



集中して本を読まない、いや読めなくなっていたおかあさんは
突然フランス語の勉強を始めたことに次いで、


行動経済学の本に熱中。



昨今、ピケティの経済学が日本で大ブームになっています。

パリ白熱教室で話題になり、昨日のNHKニュースでも取り上げたほどの
増刷と人気。

おへそが曲がっているおかあさんは
ピケティが若くてハンサムで甘くやさしいフランス語を話すからよ、
あれが、いかついおっさんだったらこんな人気にならなかったなどと
言いつつも

格差社会と資本についての明解な分析に密かに拍手は送っているようです。

しかし
難しい。
こんなに難しい理論が飛ぶ様に売れているのは
やっぱり
ピケティが素敵だからだと。



あ、
ピケティの経済学の話しではなく


おかあさんが今夢中で読んでいるのは

上に載っけた
「予想どおりに不合理」です。


あれこれ迷って経済学を専攻したころすけねえさんが
今学びはじめたのが行動経済学

これが実におもしろい。
この分野の第一人者の先生のゼミに入ったようです。


ころすけねえさんが奨めてくれた一冊。


おかあさんは動物の行動学を学び、今も人間のメスの行動を研究中ですから
見事に興味が重なったということでしょう。



とにかく

おかあさんのイライラはちょっと治まり
同時に

学ぶことが最高の贅沢ね、と
目がランラン。



あああ
アブないなあ・・・
まだ学ぶっすか・・・・・



今年はこのアホブログに
書評など書くぞと宣言しましたが
リッパなものは書けないようですが
おかあさんが見直し、読み直した新旧の書物の
ダイジェストは
ご紹介していこうと思います。



第一冊目は
この「予想どおりに不合理」


まだ全部読んでいませんが

私たちが何かを買う、選ぶときの
見事な心理分析。


仕掛けられるたくさんの罠のような仕組み。


自分自身が裸にされるようなドキドキ感とワクワク感。


お時間があればぜひとも読んでみたらいい!と思う一冊。


ころすけねえさんのゼミではみんな読まされたようです。



今年初めての函館新聞の連載に載せた写真がこのお弁当。


この記事にも書いたのですが
おかあさんはこのどっさりのご飯が気に入らない。
物相型というのがあるはず。
でもまあ
「決まり」はないので文句のいいようもない。


老舗料亭の松花堂ですが

お刺身の場所も気に入らない。


右上が「上席」のはず。

すくなくともおかあさんはそのように学んできた。


けれど
それも
「決まり」ではない。


おかあさんがかつて東京まででかけて学んだ日本料理の大先生も
「どこでもよい」というようなことをおっしゃり、
書物に載っている写真もいろいろです。

でも
どこでもいいといっても

ご飯がてんこもりだったり
仮に
ご飯が右上だったら
これは落ち着かない。


今風とかわが家流とか
私流というのは
いろいろな伝統を知った上で
みがかれるべきかと。



ちいさなルールを
丁寧に集めたい、まとめたい、伝えたいと


あらら

おかあさんの目はさらにランラン。




おかあさんは
ニッポンのジレンマというNHKの番組をずーっと注目しています。

「超ナマイキ」な若者たちを「超評価」しています。

ニッポンも捨てたものではないと
いつもおお喜びで見ています。

けれど
このごろ
ちょっと不満げ、です。


原因はわからない。


もしかしたら
次代の担い手たち、多いに期待できる担い手たちの中の
哲学不足、知の浅さ、そして
自己評価の高さ、不安のなさ、謙虚さ不足に対しての
漠然とした不安かもしれない。



昨夜、NHK「知の巨人たち  日本人は何をめざしてきたか」で
吉本隆明をみて

おかあさんは膝をたたきました。


おかあさんはどうにもこうにも
吉本隆明という人がよくわからず
その思想と行動についてコメントはできません。


おかあさん程度の人間には理解などできる人ではないのでしょう。

ただ
この番組で
吉本隆明について語る人たちの発言のすべてが
実にすばらしかった。


何人もの証言があったのですが

なつかしお名前が
大塚英志氏。


40代で関西の大学院に入り直したおかあさんは
突然文系の書物に浸ったのですが
大塚さんの
「少女民俗学」と
「たそがれ時にみつけたもの ー 「りぼん」の付録とその時代」


おかあさんの目から鱗をボロボロとおとした名本でした。



こんな本を高校時代に読んでいたら
絶対に社会学民俗学を専攻しただろうと思ったようです。


上野千鶴子さんの穏やかな語り口にも
おかあさんはじっと耳を傾けていました。


1982年の
「セクシイ・ギャルの大研究ー女の読み方・読まれ方・読ませ方」
1989年の
「スカートの下の劇場・・」

鮮烈すぎる作品でした。

上野さんご自身の強烈な存在感も印象的でまぶしかった。


その後のジェンダー論は
生物学を軸とするおかあさんには相容れないものが多々あり
その作品に触れる機会は少なくなったのですが


上野さんの明晰な頭脳は磨かれつづけ
穏やかに吉本隆明という思想家を語る口調は
感動的でした。


ああ

年をとるということは素敵なことだと
おかあさんはじっと画面を見ていました。



ご高齢になり、なお饒舌で明解な西部 邁先生の発言も
おかあさんには刺激的だったようです。



若者にライトがあたるのはいい。
次の世代に着目し
応援するのもよし、でしょう。


けれど
良し悪し、好き嫌い、正誤はどうであれ


ゆるがなかった学者たちの「知」とその蓄積は
なんとしても受け継いでいかなければならないと
おかあさんは声にならない声で叫んだような気がします。



個性的な学者たちが
弟子を育て
その弟子たちがその哲学と思想を
正しく学び、さらに
その弟子たちに伝え続けていってくれることを祈るばかりです。


昨今の大学の
まるで職業訓練校のような現状
基礎科学の軽視
学問など無縁なセンセイがどっさりいる不思議
実学重視の危険
・・・




でも
昔はよかったと嘆く大人は情けない。

キモノも和の文化も
消えることを嘆くのはおかしい。


保たなかった
保てなかった理由があるわけで


歴史を学べばそれは分かる。


すでにちょんまげじゃないし
刀持って歩いていないんですから。



イイモノであるかどうか
という基準とは別に
時の流れ、があることをふまえて

文化と社会を見ることが出来たら

今生きる自分のすべきことが
少しは明確になるのではないかと


あら
あらら


日曜日の朝から面倒なこと言いはじめたおかあさんですね・・・


どう見ても
哲学語る顔じゃないっすよ・・・



長くなりそうな嫌な予感!
チョー面倒なので
この辺で。