アホみたいな事故



腸炎ではお騒がせした犬です。



トイレに行きたいときに行けない犬に
さすがに同情したおかあさんは
少しやさしくしなりました。

で、
犬は
ついいい気になって調子に乗り、
テーブルに立ち上がってグラスを2個こわしました。
バカラのでも
リーデレのでも
マイセンのでもなかったことが
不幸中の幸いで
百円ショップの2個だったことは
奇跡としか言いようがありません。


もしこれが
おかあさんが大切にしている
昭和初期の古い日本のガラスだったりしたら
犬は今ごろ
外の車庫につながれていただろうと思うと
ぞっとします。


とにかく
犬は元気になり
またモリモリドッグフードを食べています。



まあ
ドッグフードだけ食べているはずなのに
「食中毒」かと言われたのは
ただただ
犬の責任です。



さて
おかあさんにたくさんの変化が起こっています。

還暦とは
本当に
人間のなにかを見直す時期だったのかもしれません。



先月早々、今年はクリスマスツリーを飾ろう、
早めに飾ろうと
決心したおかあさんでした。


こんなことずーっとなかったことです。

そもそも
クリスマスのグッズすべてを
テレビ局にお貸ししてましたし・・。



しかしながら
すでに書きましたが
そのクリスマスツリーを支える肝心の土台が
見つからず、
デッカイツリーは玄関に所在なく立てかけられたままだったのですが



新しいツリーを買うことをご提案されたにもかかわらず
欲しいツリーがもう売っていないこともあって
土台のないツリーでもなんとかならないかと
おかあさんは弱い頭をつかってずっと考えていました。



ある夜、

いつも通り


「いーこと考えた!」と



ああ

恐ろしい事に
おかあさんはまたひらめいたのでした。


絶対に
「いーこと」であるはずはないのは
家族全員がしっていることです。



犬はドキドキしましたが
ニンマリしたおかあさんは突然作業を開始しました。




なんと、土台のないツリーを
なんだかいろいろやって
立てたのです!



「イヤー私、天才だわ、やっぱり!」


誰もいない部屋で
デッカイ声で自画自賛。アホですわ。


でもまあ
たしかに

着々とクリスマスツリーに飾り付けが進みます。



おねえさんたちが小さいころから集めたお飾りたちが
着々と・・・





「りーちゃん、バランスが大事なのよ!」



・・・・・



バランス?



キーワードは
「バランス」にあったようです。



なぜなら

今年のクリスマスツリーには
土台がないからでした。





「バランス」をとりながら
なんとか八割程度装飾が終ったクリスマスツリーは

だんだんグラグラしてきて


今思い出してもドキドキです!


この写真もかなり傾いているのですが



ほんとにもう・・・


想像通り
いや、
ある意味、期待通り、



ばったり倒れたのでした!



???

この写真は
補修後、パッキン材で支えたところです。


うそでしょ、うそでしょ、うそでしょ、でしょ?


玄関に置いていた三本脚の小さい花台、この脚の中央部に三本脚を支える丸い円があります。


おかあさんはこの花台を逆さにして
この丸い穴にツリーを挿せばよいと「名案」を思いついたのでした。


フツーのヒトは考えません。
常識のある大人はやってみよとも考えません。


物理的にも
数学的にも
無理。


しかし

力学が好きで
今度大学に行くなら(えーっ)
物理学もいいなあ・・・と言っちゃうおかあさんは
この穴に重いツリーの脚を入れて
三脚とバランスとりながら紐で結び、
あれこれ「頭」つかって立てたのは事実です。


でも飾り付けの作業でバランスがくずれるのは当然でした。


ひえーっ!という悲鳴とともに
おかあさんの姿は見えなくなったのでした。


その声におどろいた犬はうっかり犬らしくワンワン大騒ぎで吠え、


その犬の声におどろいた90歳のママさんが
2階で大慌てしたのでした。




「りーちゃん、どーした?
なにかあった!?」


と叫んでいます。




ツリーの下敷きになったおかあさんは
90歳が二階からおりてきてこの惨状を見たら
どのようなことになるか想像して
重いツリーをはねのけて
大慌ててで立ち上がり

「なんでもない!」

と絶叫。


頭にキラキラの雪の結晶が2つのっかり、
セーターにも顔にも
中国製のお飾りのキラキラが金粉のようについていて

どこが「なんでもない」かわかりませんが



90歳のママさんは絶対に
娘に怪我がないかなど心配するようなおばあさんではなく
どんなにおもしろがって笑うか、
おかあさんはそれだけは避けたかったようです。



とにかく
わが家のツリーは
おかあさんの名案でひとたび立ちましたが
ばったり倒れたのでした。



しかしながら
めげないおかあさんは
再度挑戦。


「こんなことでは負けない!」


人生、あっちでもこっちでも負け続けてきたのに
ここで勝ってどうする・・・と犬は思いましたが


パッキン材を穴に詰めることで
なんとか復活させたのでした。


根性としかいいようがありません。

というか

こうやって
あれこれだましだまし、
ごまかしながら生きてきたひとなんだろうなと
犬は思い、せつなくなりました。




このあと
さらに装飾は続き、
あれから、ぐらつくこともなく
奇跡的に
ツリーはたっています。



丁寧に掃除機をかけたのですが
中国製のクリスマス飾りの金粉のようなキラキラは
なかなか手強く、犬が寝転ぶとまだキラキラが毛につきます。



「こんなに苦労してたてたんだから
おひな様までこのままにする!」


とおかあさんは言っていますが

「こんなに苦労」は
勝手にしたことです。

フツーの大人はしないことをしただけなのに。



おかあさんのお教室のみなさん
小正月のレッスンも節分、バレンタインデーのレッスンのときも
このツリーはあるかもしれませんが
どうぞ近づかないようにしてください。

「危険」です。



今日は
本当は
「すてない」ということなどについて
おかあさんが真剣にいろいろ書く予定でしたが

危険なツリーのことを
まずは書いておかなければと。



「すてない」という本を書こうとしているおかあさんですが
さすがに捨てなければならないモノを処分する必要が発生したようです。

今わが家はとんでもないことになっています。

週に2度のゴミの日を頼っていては何ヶ月もかかりそうです。


開かずの部屋がとうとう開いたのです。

なんでも極端なおかあさんの勢いはとまりません。


犬も歩けばゴミ袋にあたる・・・


病み上がりの犬は居場所もなく、
ツリーにも近づけず

つらい日々をすごしています。


どうやら
年末、滞在型の来客があるようです。



一人はフランス人の女子大生で
もう一人はチェコ人の学者さんらしいです。





もし犬が嫌いな人たちだったら
犬はずーっとどこかに閉じ込められているのだろうと思います。



荒井さんちのひとたち、
時間差で年末あちこちから帰ってくるようですが
いったい何語で暮らすのでしょうか・・




珍事がつづきすぎる家で
犬は毎日ドキドキ暮らしています。




また報告します。