ストールのすすめと犬の受難



犬です。


これまで何度か
ぬいぐるみとか靴下とかを飲み込んで
大騒ぎしたことはありますが
そして
犬の特性状、外耳炎は頻繁に患いますが
大きな病気らしい病気をしたことのなかった犬が
ついに
病気になりました。



そのお話は最後にするとして

まずは
キレイなストールのお話から。



還暦の年の、おかあさんのしめくくりの挑戦は
どうやら満を持しての『服飾』のようです。


「ゆきうさぎ」の寺山由紀子先生の作品を纏うようになって
おかあさんのファッションの幅は大きくかわりました。


30年以上前、突然洋裁学校に通いはじめ、
ミシンの扱いがあまりに下手で中退した過去をもつ
おかあさんですが
装いに関する深い関心は
40歳を越えて関西の女子大で服飾学で博士号をとるに至る
なみなみならぬものがあることは事実。



というわけでもないのですが


自己演出の大切さ
大げさに言えば
臨床的効果もある
装いの大切さは
年を重ねるにつれて
痛感しているらしく、

そのためのアイテムとして
「大きな布」の機能を高く評価しているようです。


「自分に似合う色」に対する
強い思い込みで
狭い範囲の色とデザインに縛られていてはもったいない。

時代がかわっても
いつまでもフリルとリボン

いつだって同じ『無難』な色とデザインで暮らすのももったいない


そう考えているからこそ


ついに

荒井商店に
「ストール・ショール部門」がスタートしたらしいです。




たった一枚の布なのに

あたたかさも
風の防御も
演出も
できる
自在な布。



今回は
インドの製品だけ集めましたが


今後は
いろいろな布をご紹介したいと思っているようです。













ドッグステーション内の荒井商店に
展示しています。
ご興味のある方はぜひ挑戦?してみてください。

ドッグステーションは
当ホームページのリンク先です。
市電西線9条下車すぐです。



さて
犬のことを少し書きます。

生まれて初めての下痢。
お腹がシクシクいたくなったのでした。


いつもはあわてないおかあさんですが
選挙に行く前に
犬を病院に連れていってくれました。


なんとか菌のせいで
食中毒のような
大腸に炎症があるようで
重篤ではないようですが
獣医さんたちに
「かわいそうだったね」と同情されたのでした。


「台所の生ゴミでも拾ったに違いない!」
とおかあさんは激怒。


犬は
診察台の上で
思わず猫背で縮まったのでした。



しかし
問題は大腸炎ではなく
エコーで前立腺が大きくなっていることが発見されたことです。

「加齢」です。

犬は6歳ですが
充分なオッサン年齢。



「このままでもいいけれど
炎症が起きたりトラブルが起きる可能性は高まりますね」


と獣医さん。



「え?
じゃ、切ってください。」

とおかあさん。



「ええええっ!
急ぎませんよ!」

と獣医さん。



「いえ、ついでですから
チョン!と今切れます?」




「で、出来ませんよ、そんな簡単には!」


「できそうですけどね、ここんとこ、チョンと!」


ああ
猫背の犬は
これ以上小さくなれないほど小さくなり
震えて看護師さんにしがみついたのでした。



「おかあさんの即決能力」のすごさは
多くのヒトが驚くことです。


人生、熟慮すべきことより
即決すべきことのほうが多いと言い切ります。
即決に迷いがないとき(ここが大事)、
それは正解なのだと。
少しでも迷う時は、決断の必要がないことだと言い切るのです。


結婚も離婚も再婚も
おねえさんたちの進学も
転居もあれもこれも

おかあさんの「即決」は周囲の意見を許さず
見事なスピードで進んだのでした。


ま、中には大失敗もあり
特におねえさんたちの進学に関しては
おかあさんは今でも時々、ちょっと涙ぐんで
「かわいそうなことしたわ・・」と
グイッとお酒飲んだりしてます。




いや、もう育っちゃったおねえさんたちはいいのですが
これからチョン!と切られそうな犬が大問題です。



今じゃなくてもいい、年明けにゆっくり、とおっしゃる獣医さんに
「善は急げっていうじゃないですか、せっかくですからとっととチョン!と」

とせっかちなおかあさんでしたが



「あ!」

と何かに気付いたようす。



どきっ。


おかあさんが突然なにかに「気付く」ことは
多くの場合、周囲の心臓に悪いのです。



精子がなくなるってことですね!?」


「そうです」


「りーちゃんの子犬、やっぱりお願いしておけばよかったわね・・」とおかあさん。



ずっとりきまるの子犬がほしいと言い続けていたのですが
荒井さんちではもう一匹犬を飼うなど不可能、と思われて
りきまるジュニアの誕生は論外とされてきたのです。



「でも大丈夫!」
とおかあさんはすぐに立ち直りました。





ドキっ。



「センセー、精子の冷凍保存できますか!」


「ええええええっ!」


「チョンと切ったときすぐ!」

「ここでは無理です・・・」


「カブトムシは遺伝子専門、特に精子扱わせたら上手なはず!」

ああ
ああ
ああああああああ・・・


もうおかあさんの目はランラン。


「センセー、虚勢したら行動変ります?」


「多少はね」


「ひやーっ、内股とかになります?」



「??????」



「四本足の内股歩きってどんなんだろー!」


もうこうなると
とどまることのないおかあさんの妄想。




雄雌の決定機構や遺伝子の機能研究しているおとうさんと
動物行動学のおかあさんの家に暮らす犬、
運命を諦めるしかないのでしょうか・・・



「センセー、ぜひ早くお願いします!」


「手術は30分くらいで麻酔もすぐ覚めますから日帰りですけど
大きなカラー首につけますから大変は大変ですよ」



「ひやーっ、うれしいっ!あのロートみたいな衿、りきまるがつけたら
どんなにおもしろいでしょ、やってみたかったんです!」


もう


手術に立ち会いたい
精子は凍結したい
内股が楽しみ、
エリザベスカラーがうれしい

などなど


おかあさんは
お腹が痛くて大変なことになっている犬のことより


たまたまみつかった前立腺の、ささやかな変化で
大興奮だったのでした。




「センセー、チョンと切った跡はどうなるのですか?」



「中身だけ取るんですよ」



「え?」


ここでまた
目が輝いたおかあさん、


「カッコわるい!」


「カッコわるくてもしかたないです。そのうち目立たなくなりますよ」


ここがおかあさんの不思議な感覚。


手術は怖くないのに
術後の犬の「中身」のない「外」の美観のほうが心配という・・・



「りーちゃん、大丈夫。今は刈り上げてお尻見えてるけど
毛を全部伸ばして、恥ずかしくなくなってから手術するからね!」



え?

そこんとこ、犬はどうでもいいですけど・・・



なんだかなあ・・・・



獣医さんも
こんなアホみたいな飼い主の
アホみたいな会話に
よくつきあってくださいますよね・・・・



日ごろ
犬を応援してくださっているみなさま


犬はとおからず
虚勢手術をするらしいです。



大きなエリザベスカラーをつけて散歩していたり


お尻あたりの毛だけ房々になっていたりしたら

どうぞ
お声かけください。


お見舞いも遠慮しません。


犬は
ちょっとチーズやバターの匂いのついた
パンの耳が大好きです。





とにかく
犬はお腹をこわしています。
全く元気なのですが
それでも症状はあり、
たくさんお薬を飲みはじめました。


90歳のママさんが
デイサービスのクリスマスパーティーから
戻ってきて
いただいたプレゼントを犬にくださいました。


「あら、りーちゃん、似合うじゃないの!」



おかあさんのおかあさんは
やっぱり楽観的で


「なにか拾ってたべたんでしょ、自業自得ねえ・・・」ですと。


悲しいかな犬は
90歳のママさんと
無敵のおかあさんに
無理矢理、サンタさんの靴を履かされたのでした。


「あと3つ必要ね!」


いらない!

4つあったとして、こんな靴はいて歩くはずねーだろー
とも言えず、
犬はじーっとしていたのでした。