リー・ミンウエイ展

「わたしのマーガレット展」を森アーツセンターギャラリーに
見に行った報告は前回したのですが、
森ビルに行った目的は
もう一つありました。

参加型アートで知られるリー・ミンウエイの作品展(森美術館)も是非観たくて。
こちらは来年1月4日まで。


本当に素敵な時間でした。


上手に説明できませんが・・・・


このお花、「ひろがる花園」という空間。
The Moving Garden


一本お花をいただけます。
でも
帰り道で、見知らぬだけかにあげてください・・と。

Please take a flower with you when you leave the gallery
and give it to a stranger on a detour to your way home.



私も一本いただいて
どなたにさしあげようかと
六本木の坂道を歩いたのですが
どなたにしようかなと迷っているうちに広尾の駅についてしまい、
とうとう飛行機に乗って帰宅。

90歳の母に渡し、それが父の仏壇へ。


まさに花園は広がりました。






そしてこの壁から飛び出ている糸巻きは

繕う、というプロジェクト。

Mending Project


来場者が持ち込んだ衣類をあずかって
「会話」しながら繕ってもらうのです。
その関係ーつながりがカラフルな糸。

こんなインスタレーション
みたことがありません。

私は初日に行きましたが、
さて期間の後半にはどれほどの繕いものが
積上るのでしょうか。


もう一度、いや
何度でも行きたいプロジェクトです。


持参した洋服などが、作品の一部になっていくというのです!


食べるプロジェクト
Dining Project では

なんと、くじで当たった方が、アーティストやホストと一対一で
閉館後のこの場所でお話をしながら食事をするのですって!


眠るのもここで、
この場所でご経験くださいと・・・・
こちらも抽選で、
誰もいない美術館で眠るなんて・・・・



手紙を書くプロジェクトでは

本当に素敵な空間が幾つも並び、
なんと満席。

一人でひっそりと手紙を書く人たち。


本当に投函してもよし、
置いて行って、誰かに読んでもらうもよし。



布の追想
Fabric of Memory


これが一番、私の心に響いたかもしれません。

いろいろな方の思いでの布が
桐の箱に入っています。
そして思いでが書かれています。


それを
来場者が
丁寧に紐をほどいて拝見し、

丁寧に紐をかけてしまいます。


紐のかけ方も
ちゃんと指導されます。



使わないものは捨てなさいと

3年着なければ捨てなさいと

いえ

1年着なければもう着ないから捨てなさいと

もう使わないから捨てなさいと

ずっと言われ続けている気がしますが



一生着ない洋服でも
一生使わない食器でも


そのストーリーと
それに浸る時間に意味があれば、

それは
無駄ではなく
ましてや
ゴミではありません。


今の研究テーマに重なるものがあって
しばし
足が止まりました。



こんな空間もありました。


こんな大きな鳥かごがあって

カナリアが2羽、キレイな声で鳴いていました。




東京を見渡すこの窓に向かって
一脚の椅子があり、

自由に座って時をすごしていいのです。


こんな贅沢、あるでしょうか。


私も座りたかったのですが
この女性があまりにも心地良さそうだったし

だれの制約もなにもないのですから
彼女の希望次第。


14時からは、リー・ミンウエイさんのお話も聞けそうだったのですが
次の予定もあって
早々にその場を離れましたが


本当によい時間でした。


リー・ミンウエイさんの 穏やかな話し方(各プロジェクトにビデオ映像が流れています)が
本当にすてきで
耳にも心地よく

アートとの距離の近さが
よく感じ取れ

そして
この近さこそ

私たちが
なかなか実感できないことなのだと
確信したのでした。




武庫川女子大の生活美学のプロジェクトで
ある一般の一人の女性(90代で他界)の家財道具一式を
細かく調査する作業をしていますが

その地味な作業を続けているうちに
時代や文化、その人なりの芸術性、よろこび・・・
いろいろなモノが見えてきて
ときどき胸がいっぱいになります。
そして
大学のお近くにお住まいの女性達にもご参加いただいてサロンをひらき、
そんな「見ず知らずの女性」の家財をみながら
自分の暮らしを振り返ってみているのですが



アートと暮らしは

やっぱり乖離していないほうがいい。

そしてできれば
限られた人のものであってはいけない。


高価なものばかりがアートではない。

どこにでもある感動を
探すこと。
体験すること。


今回の展覧会で
大変大切なものを実感できました。



図録をしっかり読み直して
これからの仕事に生かしていこうと思います。



・・・・・

ここからりきまるです!
なんだか、おかあさんの興奮状態がスゴイです。
美学とはなにか
文化とはなにか
思い出とはなにか
そもそも哲学なのよと・・
さっぱりわからない、むずかしいことをあれこれ言っていますが
犬は眠いばかりです。

今週から大学の後期授業が始まり、15週間、後期は毎週5コマの講義をするようです。
気持ちよく15週間仕事ができるように
あれこれお掃除しているようですが


みなさんにこっそりお知らせしておきます。


おかあさんはどうやら、ガレージセールをやる気になっているようです。

と言ってもとてもよい品などないのですが
捨てるのでも処分するのでもなく

リー・ミンウエイさん風に言えば
家庭の延長、おかあさんの思いでの広がり、ということらしいです。

やさしいやさしいピンクのカーディガンが何枚か
(どうして絶対に似合わないのに買ったのでしょう・・・)
モスキーノアナスイのシルクのワンピースやブラウス
お似合いになる方、いらっしゃるかも・・

そしてもしかしたら
とんでもない大物家具も。
突然ご案内するかもしれません。
その折はよろしく!



ガレージセールの内々の計画を今漏らしてしまったので
犬は猛烈にしかられました。

「アンタもガレージセールに出すよ!」

と、言いかねない
いや
実際にやりかねないおかあさんですが
こんな犬、どんな安値でも誰も引き取らないだろうと
自分でも思っています。