美しい野菜


前回と今回の写真は
家族やお友達が海外で撮ってきてくれた写真です。





「道の駅」という存在が
すっかり「市民権」を得ました。


そこには
絶対においしい野菜がある。


けれど
考えてみれば

そこにいかなければ
絶対においしい野菜の保証がないということでしょうか。



不思議なほど同じ形のピーマンが
5個、袋に入って山積みされているスーパーマーケット。


不思議なほど同じ形だという安心感が
消費者になければできないことです。


だからこそ
五個袋入りの不思議なほど同じ形のピーマンが選ばれたということです。


つまり
五個袋入りの不思議なほど同じ形のピーマン以外は
「選抜メンバー」には入れないということです。


都市部のマーケットには並べないということです。



便利さと引き換えに

なにを失ったのか


失ったモノをとりもどせるのか、


便利さと引き換えてしまったモノは
残念ながら
再び戻せないかもしれない。




携帯電話とパソコンがなければ
身動きできない現代人。



けれど

大研究者
大実業家の中には


携帯電話もパソコンも
使っていない人がたくさんいます。


否、
20年前はそれが当たり前でした。


便利になった今のほうが
「楽」ではありますが


よい仕事があふれている、などと
誰が言えるでしょうか。




発生学的にも
進化学的にも


失った器官は
再び得ることはできません。




五個袋入りの不思議なほど同じ形のピーマンから
進化を語ることはナンセンスですが


便利さと安心感は


少なくとも
自然の脅威と畏怖の念を忘れさせました。



声高に
自然保護だの
地産地消と叫んでも

現実は
「五個袋入りの不思議なほど同じ形のピーマン」
なのです。



写真を整理していて

海外の市場の写真にため息がでます。


美しい。



ただ

こんな売り方ならば


太陽の光を浴び、
乾燥や雨、
劣化も激しいはず。

捨てるモノも多いはず。

鮮度はどんどん落ちるはず。



冷房の効いたスーパーの方がいいいに決まってる、と
私は理解しています。



それでも


こんな市場で野菜を買いたい。

果物を買いたいと思う。


それは
この野菜たちが持っている「美しさ」ゆえでしょう。


「用の美」ならぬ

「栄養の美」でしょうか。




かつて
アメリカの野菜売り場のリンゴの酸っぱさが
パリのイチゴの酸っぱさと固さが

私には衝撃でした。


40年も前、
農学部に学んだ頃、
リンゴの品種改良が大変盛んで

世界一、などという大きなリンゴもあったし、
フジやムツなど
次々に改良されました。


けれど
「国光」「旭」「紅玉」
「ゴールデンデリシャス」「インド」
「祝」「デリシャス」などが
消えていきました。


「甘い」ことは至上命題だったのでしょう。
形がよく
日持ちすることも当然大きな課題だったのでしょう。


でも

酸っぱければそれなりに調理のやり方がありました。


酸っぱくなければならない料理もあるのです。

固いからこそできることもあった。



美しい野菜の写真を見ていると

いろいろな思いに
ゆさぶられます。




そこで、
ということではありませんが
マダムこおろぎ
突然、農業を開始することにしました。



ま、ま、まさか・・・



まさかの本気です。

ただし、水耕栽培です。

ユーテックという会社とご縁があって
種まきしたのでした!


まずはレタスを14粒植えました。

経過は追って報告します!


最高の贅沢は
みずから作ること、です。


わが家の窓辺に金魚の水槽のように鎮座したケースが
たくさんのレタスであふれる日を楽しみにすることにします!


さて
大雨で移動の手段を奪われた私は
それなりに多忙を極めましたが
13日の金曜日
オペラ あっちでんてぃしょう!(ACCIDENTI SHOW)に
行きました。


どうがんばっても開演には間に合わず、
それでも必死に仕事をして
「じゃ、行ってくるね!」と玄関に立って気がついたのは


朝から顔を洗っていないとうことでした。


鏡を見るという基本的なマナーがないので
洋服だけ着替えてそのまま出かけようとして



ああよかった!

気がついて。

雨の合間に、2度、犬の散歩はしたのですが
それはパジャマの上にざっくりセーターを着ただけでした。


まずい・・・
大人としてまずい・・・



大慌てで顔を洗って
耳輪と腕輪もつけて馳せ参じたときはすでに幕間の休憩時間の終わり。

後半だけの鑑賞でしたが

素晴らしい舞台でした。

岡崎正治さんのテノールは輝きを増していました。

下司貴大さん
上田哲さん
原慎一郎さん
バリトン3名は
若いだけあって
成長まっさかり。
日々の修練、努力の結果がはっきり伝わり
会場を魅了していました。

そして我らがピアニスト、奥出かおり!
彼女の力なくしてこの会はありえないでしょう。


忙しい中、今現在もオペラ伴奏のお勉強に
東京に通っていらっしゃる努力にはいつも敬服。


すばらしい舞台でした。


仕事をしていると
「煮詰まり」ます。


悩みも悲しみも
「煮詰まる」。


そんなとき
音楽の力は本当に大きい。


そのときの音楽は
やはり「ホンモノ」がいい。


そんなことを
しっかり再確認できた夜でした。