私にできること

札幌の雪も都心部ではほぼとけました。

わが家の狭い庭は、でも、まだ深い雪。

春は遠いです。

雪解け道の土ぼこりなどで
かなり喉の苦しい季節、
あれこれ言っているうちに
3月もおわりです。


先日の
京都+神戸の
大忙しの旅も
行ってよかったなあと振り返ってみる日曜日です。


ネコがたくさんいる街は
平和な街。
やさしい町。

その通りです。


尾道にもたくさんのネコが
ゆったりと歩いていました。


神戸もそうです。


ネコが安心して住めるのですから。



しかし

安心というのも
過度の安心は
いかがなものでしょうか。

私たちアホ母娘以外にも
この爆睡するネコに近づいて撮影するも
全く動かず高いびき。

でもなあ・・・


人間もネコでも同じですわ・・


アップに耐えない、ってこと、あるものです。
いかなるときも油断は大敵だということです。


このネコの無防備な不細工さに
しみじみ
学習効果のない、反省と向上心のない我が身を振り返り、
多くを学んで帰途についたのでした。



さて
過日、キムタクが宮本武蔵を演じるということで
仕事をしながらついつい見入ったテレビ。

2夜連続。
ドラマとはいえ、
携帯もネットもないのに、そんなにばったり人が出会うものかしら
とか
佐々木小次郎の衣装の奇抜さは
桃太郎侍ほどではないものの
どうしたものかしら、と思ったりしつつも

そして結末を見ても
今ひとつ最も「言いたいこと」がなんであったか理解できなかったのですが

それなのに大きく感動したことが一つ。


宮本武蔵
絶対に「なりたい自分」になれなかったということです。

一国一城の主になりたくて、力をつけるのですが

結局、若い日、西軍に属していたということで
どんなに強くなっても
徳川の世では絶対に夢はかなわないという事を知るのです。


ほんの短い台詞のやりとりでしたが、

私、正座して
うっかり泣きそうになったのでした。


自分では選択の余地なく参加した西軍での若い日の過去が
将来ずっと影響し、
その後の努力がどうであれ
夢は叶わないという現実です。


努力すれば夢は叶うと

大人は言いがちです。

私も時々若い人に言うことがあります。


確かに叶う夢はある。

でも叶わない夢もある。


この私も
ついに学者にはなれませんでした。
ついに大学で研究の場を得ることもできませんでした。


大学の客員教授という名はありますが
それは学者であり教育者であるところの
正規の立場ではありません。


毎年大勢の学生さんとごいっしょしますが
彼らの日々の学習とそのプロセスと成果を見届けることは
私にはできません。


18歳からの長い紆余曲折の末、
ちょっとだけため息をついたのが数年前。
それからすこしずつ
原点探しをはじめて
やっと還暦。


大きな「あきらめ」を
堂々とつかみとった思いです。


その気持ちと
キムタクが演じる宮本武蔵が重なったのでした。


私にできることは
なんだろう・・

私でいいのなら
私の知識と技術でいいのなら

時間がゆるせばなんでも伝えましょう。

次の2枚の写真は
前回も掲載したものです。

暗い画面を少々修正してみました。
修正していたら
スカートにコオロギという文字が浮かんできて
笑ってしましました。


この2枚こそ
みごとに私の40年を表していると
胸がいっぱいになる写真です。


若い日、
私は人間の勉強がしたかった。
なんとか精神科の医者になりたいと思ったのでした。

遠回りしている間に
動物の行動を学び

さらに遠回りをして
人間のメスの研究をし
長い長い日々を使って

生物学と人間の文化を結ぶ方法に
やっと少したどりつきつつあるのかもしれない。


この写真を撮ってくれたYOSHIEさんに感謝。
40年かけて
すこしだけ
客観的に自分を理解することができた気がします。


3月も終わります。
日本は4月から始まる不思議な国。



生活文化塾も再始動です。
エネルギーは
大きな「あきらめ」から生まれることがあります。

いさぎよい「あきらめ」こそ
大きな夢よりずっと
力強い歩みにつながることもあるのではないかと。



無防備なネコのように
わが家の犬も
犬としてのプライドを忘れた姿で普段は寝ていますが

私はこの写真が好きです。


彼なりに
最大の知恵を使って、隠れているらしいのです。

小屋に入れられるのを回避するために
今できる最大の知恵を絞って

最大コンパクトに
いや、最小コンパクトになって作戦を実行している
このピンとした緊張感は
かつて野生であった遺伝子を彷彿とさせる美しさではないでしょうか・・・・



というほどのことでもないのですが



安心感、安定感だけでは
人間はつまりません。



だからといって
「あきらめ」を絶望だととらえるのはあまりに情けない。
宮本武蔵佐々木小次郎を切っても
何も得なかったと思う。



なりたい自分になれないことを知ったあと
ありのままの自分をどう生きるか、ではないかと



あらいやだ、



ちょいと悟り風の今朝の私。



ちょっと頭、使いすぎているからかも。



食事作法についてまとめているのですが
緊張の緩和
相互干渉の調節
差異化とステイタスの誇示
羞恥心の隠蔽
美意識と動作の安全性
神事との関係
けじめの美学


などなど
たかがテーブルマナーを論じるのに
あまりに難しいこと考えすぎて
頭の中が白子状態。


苦い珈琲で
復活します。


週明けからHTBイチオシとイチオシモーニングも新装リニューアルらしいです。

こおろぎセンセーは新装しようもなく、
旧モデルのまま、いやどんどん老いる一方ですが
あちこちにアンテナを張って情報を集め、
月曜日の夕方と木曜日の朝、ごいっしょさせていただこうと思います。