第二章 美味しいもの+怒濤の日々

北国の夏、
暑い暑いといいながら


「暑さとて 中ぐらいなり おらが夏」と

一茶ならぬ あえて名乗れば こおろぎ三茶
一句ひねってみたくなる程度の暑さです。


この夏の、わが家の大移動でひとはたらきしてもらう予定だった
ころすけさんは
家に入るなり、目も鼻も大アレルギー発症。

もともとわが家はアレルギー満載体質とはいえ
あわてて眼科に行けば、
ハウスダストに加えて
夏草アレルギーだと。


は?

夏草アレルギー?


なるほど・・・

わが家には今、どっさりお花がありますわ・・・。


蕎麦、ナッツ類など
食べ物にもアレルギーのある彼女、

つまり、この引っ越し騒ぎと
極狭の庭の片付け、手伝えないってことっすか・・・・・


誠に残念無念です。


お菓子の調査を続行しようと
決め、あくまでもB級グルメ、駄菓子系にこだわろうと
あれこれ眺めはじめたこおろぎセンセーの目に
あらら、すてきなボックス。

千歳空港のJA美瑛のショップで購入。

5個入り1050円。

お豆のパンは完売していました。


形もコーンの粒型のこだわり。

コーン入り・・・程度かと
期待せずに割って仰天。

コーンの間にパンの生地。

生地も、コーンを支える程度のしっとり感と
軟らかさ。


大満足でした。


どこがどうやって開発したのかしらと
調べたら

ニシカワ食品さんとのコラボとのこと。

あのサン ミッシェル、
エシレバターへのこだわり、
そして
世界一おいしいバゲットと言われる ヴィロンのパンを
日本で提供する会社とのコラボが

こんな素朴なパンを作ったのかと思えば感動。

今度は豆ぱんに挑戦しようと思います。

おみやげとして、ちょっとご注目のお品ですね。



さてさてさて前夜まで床いっぱいに広がっていた
リボンやらなにやらは
犬も困惑させていたほどでしたが

なんとか
こんなワゴン棚におさまりました。



しかし一難去ってまた一難。

目下、食器と本と洋服、和服を同時に片付けているのですが
押し入れから出て来たのは
漆器の山。


ほんの一部だと思えば
気も遠くなりそうですが

中身を確認して
なんとか
居場所を作ってやろうと思います。

懐石を指導していた義母が
10人分ずつそろえていた季節にあわせた煮物椀、向こう付けの器
箸洗いやら小吸い物椀など

鏡面仕上げの塗り物の折敷もあって

緊張の作業ですが

なんとか私の生徒さんたちに使っていただかなければと思います。


処分できないのであれば
使うしかありません。

食器には流行があります。

けれど
いいものはいい。


景気が回復したとき、

さて

日本人は
こんどは何を好むでしょうか。


白一辺倒の
今の食器の流行が
今後も長く続くとは思えません。


「無難」で
「便利」な白い食器は
確かにいい仕事をしてくれますけれど・・・・・



事実
漆器
保存にも手入れにも
手間がかかる上

柄で使う季節が限られます。
実に不自由、不合理、無駄の多い器ということになりますが


それは和服と同じです。


文化は
その不自由さにあると
私は心底思っています。


不自由で
面倒で
手間がかかって
疲れる作業

それをするかどうか


その余裕をどのくらい持つか


今はそんな余裕、私にもありませんが


かつて
それを大切にした人たちがいました。


その思いを
なんとか形にして残しておきたいと思います。



あらら
うっかり立派なこと書いちゃってますが
この押し入れにあふれる漆器やら懐石道具に
さらに函館から同じくらいの道具が
加わります。
その整理と保管
ため息と汗、時に涙目で
ボロボロですが


私の義務だと思ってがんばります。

そうそう

涙目といえば

今日ラジオで

ビルマの竪琴を話題にしていた番組がありました。


アニメ全盛の昨今ですが

いい小説が読みたいなと思っていたこおろぎセンセーは
竹山道雄が唯一子ども向けに書いたと言われるこの小説の
あらすぎじを
ひさしぶりにラジオで聞いて

採点しながら
涙をこぼしたのでした。


いい小説、
良質の文章
良質のストーリー
根底に流れる思想

そんな文学に
たくさん触れたことが
私の自慢の一つかもしれません。


でも
「あのころ」、周囲はみんな
日本文学全集や世界文学全集、読んでいたと思うのですが。


配偶者カブトムシ曰く、
1960年代まで
日本の大学は旧帝大もどんな私大も
学生の基本的な学力に差はなかった、とのこと。

いつごろからか
大学に限らず
すくなくとも読書量に関しては
学校差や家庭差、個人差が大きくなったように思います。


本が好きとか嫌いとかではなく

本を読むのは
フツーのことだった時代が
確かにあったように思うのですが・・・・



とはいうものの
まあ
わが家の不細工シスターズは
二人とも大変上手に感想文を書きましたが
読書は嫌いでしたね・・・

そもそも
私は、子どもを膝にのせて
読み聞かせ、というのを
ついに一度もやったことがありません。

文字も教えず、読んでもやらない・・・

二人とも読書に興味のない幼少期でしたが
ある時突然、彼女達の時代の本を
夢中で読み始めました。

もっとも
私たちが読んだ文学全集には手をつけなかったかもしれません・・・
文学史の授業であらすじ程度、知るだけで充分だったようです。






読み聞かせ、というのができるおかあさんばかりではありません。


こおろぎのように
バタバタと、仕事を持つ母も多い時代、
落ち着かないかあさんでも
子は育ち、
本も読み、
文部大臣賞とれる作文上手は育ちます。



子育ては気楽に・・・というのが
こおろぎのモットーです。

子育てより自分育て。

気がつけば
二人とも
私とは完全に別個の人格と人生を生きています。

私の教育など
どこにどう具現化されているのかわかりません。



自分育て

やっぱりそれに尽きると思っています。