美しいモノ

何が美しいといって
義父の文字は美しい。


神田の玉子問屋の若旦那は
戦争で人生が変ったのを機に
未練なく、お店の再建を諦めて
方向転換。

その神田の荒井商店を
嫁の私が
勝手に再建。


と言っても

研究や教室運営との
なん足もの草鞋やらブーツやらハイヒールやらの
片隅の


「ときどき開店」。


その包装紙には
義父が書いてくれた
さまざまな
「かねあ 荒井商店」の文字。


かねあ

は屋号。


カネサ味噌さんと同じカネ、です。




「ときどき開店」の
貴重な「ときどき」が本日予定。


たぶん・・・です。




今回は
待望の食器。


五輪釜の五十地さんのワイングラス。


ワイングラスではありますが

私はお教室では日本茶
普段は珈琲も楽しんでいます。


小ぶりなのでちょうどいいのです。


一つ一つ、丁寧に作られているのがうれしくて


大切に使っています。


ワイングラス、ですから
脚。

この脚のおかげで
食卓が華やぎます。


食卓調査研究の結果は
また春の学会で発表することになるかと思いますが


荒井商店の商品には
たくさんのストーリーがあります。


かわいいとか
すてき

ということの「裏付け」です。



瞬間の見た目 プラス アルファ。




という字、知ってますか?


五十地さんに聞かれて


くわ
すき
なた
くまで
かんな
・・・・


適当に金物系を言ってみて
あきれられましたが


しのぎ


でした。


厚めの生地を削るのです。


その鎬の跡が

彼の作品のぬくもりなのだと
納得したのでした。



日本茶
珈琲も
もちろん日本酒も
ウオッカ
ワインも



そして
食卓に
11センチの高さの演出を。


荒井商店、2013年の第一弾は
五輪釜のワイングラスです。


今年執筆予定の教科書にも登場予定の器です。





さて

雪の季節は
まだしばらく続きそうです。


春は名のみの風のさむさよ・・・

という早春賦の
3番の歌詞に


春と聞かねば 知らでありしを
  聞けば急かるる
  胸の思を
  いかにせよとの この頃か


とあります。

どんなに急いでも
解けない雪は解けず、
咲かない桜は咲かないのが北国。

ところが

どんなに引き止めても
必ず解けるのが雪。

咲くなと言っても咲くのが桜!

季節は
すなわち「時間」。


時に止まっているかに見える時間ですが
見事に進んでいます。



見よ、我が老化の速さ!であります。


この写真は義母が残したコートの一枚。

手つかずで発掘。


モダンな柄が好きだった人ですが
育った環境のせいでしょうか、伝統の紋様にも
造詣が深く、
たぶん、気に入って作った一枚だと思います。


雪輪に幸菱。

そこに鶴が飛んでいます。


なかなか合わせるキモノがないのですが
春が来る前に
着て
義父との食事にでかけようと思います。