ノーベル賞

疲れて台所に立ったとき、
奄美大島にいるはずの配偶者からメール。



山中先生、ノーベル賞


大ファンの私に知らせてくれたのだ。



私たちとは違う土俵の
大先生だが


本当に嬉しい。


3年前から
山中先生のiPS細胞の研究がノーベル賞をとらないのなら
誰が医学賞をとるのかと思っていた。


生命科学の授業でも
きっと今年は!と学生に話し、
その業績の大きさを力説してきた。


やっとです。

早すぎるという見方があるとすれば間違い。


謙虚な先生は

「まだ役にたっていない」と。


役にたっています。


そんなことを言ったら


最近の、どの研究が
「直接」、見える形で役にたっているでしょうか。




iPS細胞は
induced pluripotent stem cell”



人工的に誘導した複数の可能性のある幹細胞。




これを作れたのですから
その研究の偉大さに異論などない。




そして
どうぞ

同時に受賞された
JOHN GURDON 先生を紹介することも
ぜひとも忘れないでいただきたい。



配偶者は
学生時代、氏の論文を読んで多いに刺激をうけ
今、その領域の末席で研究を続けているようなものだ。




すぐに不妊治療だ、
再生医療だと
急いではいけない。



基礎。


基礎研究を
評価していただきたい。



なにより嬉しいのは
ノーベル賞
研究費が増えるだろうということ。




山中先生は
文科省に感謝、日本に感謝と
繰り返されたけれど



研究費は足りない。

まだまだ足りない中でのご苦労。


マウスの世話も
ご自身でなさるとのこと。




その時間を
山中先生にしかおできにならない事に使っていただけたら
と思っても


それができないのが
日本の現状。




とにかく嬉しい。


今週の授業は
内容を急遽変更。



細胞の話しや、異化の話しも飛び越えて

発生と分化から
iPS細胞の話しをしようと思う。
よく書けている新聞をテキストに使ってみようか。





北大の先生が受賞されたとき、


重箱の隅をつつくような研究はだめだとおっしゃったことばが
忘れられない。



重箱の隅の何がわるい・・・と
今も思っている。




山中先生は、新しい時代の学者である。


そのことも
とにかく嬉しい。



一人
台所で祝杯をあげた。





先日の講演会の準備光景。
仕事風景の写真は少ないので
久しぶり。



ディスプレイは時間との戦いの仕事である。
天井の高さや部屋の広さを見て
その場で判断。


時間。


あれこれ迷うことも
やり直しもできない。


瞬間。


久しぶりの緊張だった。



前回書いたSHERYL SANDBERG の言う通り
将来を案じてはいけない。
特に女性は考えて足踏みしてはいけない。


彼女は、出産や子育てを「予想」して人生を小さくしてはいけない、という
主旨を強調していたが
介護や老後、自分の加齢も意識してはいけないと私は思う。



山中先生が
マウスの世話をご自身でなさるように

仕事は結局は自分。


しなければならない仕事を慌てずやっていこうと思う。




きわめてまじめだが
久しぶりに観たドラマ、
NHK再放送の「とんび」で号泣。


堤真一は、いつか、高倉健になるかもしれない。


よいドラマはいい。



話題のタレントを安易に使った
ドラマは
よほど原作がよいか、脚本に魅力がないかぎり
期待はできない。



大滝秀治さんの最後の映画の
最後の台詞のあと


遠くで高倉健さんが泣いていたのを見て
「それ」が答えだと思った。



役者は
本気で演じた時、
こうして心を打つのだということ。



天下の高倉健さんの心を打ったのは
最後まで真摯に役を演じたその姿勢だった。


ドラマ「とんび」の役者はだれもが
まじめだった。


手作業をしながら横目でみていた私まで
鷲掴みだったのだから。





テーマソングも抜群によかった。
踊ろうマチルダ」の『箒川を渡って」である。
曲だけ聴けば少々あくがつよすぎるが


ドラマのエンドロールと合わせて聴けば
泣かずにはいられない。


YOU TUBE で聴ける。


ネットで聴ける。
ぜひ。



このドラマ、小泉今日子がよかった。

この役、絶対に中山美穂はできない。

中山美穂ができる役は小泉今日子もできる。
だが小泉今日子ができる役は中山美穂はできない。

これ、真実。




細胞から分化、再生医療で頭がびっしりのはずなのに
小泉今日子論まで手を出しそうな、
神経がぴりぴりしている
少々興奮気味の夜である。