考える夏

うつくしい薔薇です。

そうそう
この薔薇をいけているとき、
蝉の鳴き声が聞えました。

こおろぎは蝉の声が大好きです。
いえ、虫全般の「声」が好きです。

「蝉が鳴いてる・・」という詩を突然思い出しました。

三好達治だったか中原中也だったか

とにかく
「蝉よ蝉、蝉が鳴いている
今鳴いておかなければもうだめだと・・・という詩!」

とブツブツいっていたら

夜、みのりちゃんからメールが来ました。


「センセー、蝉の詩は中原中也でした」


ありがとうね・・・と
納得したものの
なんとなく
中原中也の蝉・・・
こおろぎの頭の中の
あの短いフレーズは中原中也
慟哭のような口調とはちょっと違う・・・と
考えていたら


突然
詩を全部思い出しました。

「今ないておかなければもう駄目だ・・・」と
囁いた詩人は
やはり中原中也ではなく
八木重吉でした。
ずっとモヤモヤしていたものが晴れました。



虫        八木重吉

 虫が鳴いている
 いま、鳴いておかなければ
 もう駄目だというふうに鳴いている
 しぜんと
 涙をさそわれる




短い短い詩ですが
本当に涙が誘われます。

若い日、こおろぎはずいぶんとずいぶんと
ずいぶんとたくさんの文章を読んだのだったと
改めて思い出して
ちょっとだけ自分を褒めてやろうと
そんな気になりました。


中原中也の「蝉」は
それはそれで
切なくて切なくて切ない詩です。

でも
こおろぎは
八木重吉
この
「虫」がずっとずっと好きです。


この虫を
勝手に蝉だと思い込み

いつのまにか
「蝉がないている
いま鳴いておかなければもう駄目だというふうに・・」と
間違って記憶してしまったのでした。



鳴く虫は切なくて大好きです。


今夜、いろんなことを考えながらりきまるさんと
散歩していたら
たくさんのこおろぎの「声」が聞こえました。

マダラスズ、
シバスズ・・・・


こおろぎはおもいきり鳴きたく、いえ
泣きたくなりました。


また秋がきます。
こうやって日々を紡ぐのが人間です。


それなのに

通りすがりのこおろぎとりきまるさんに

「邪魔なんだよっ」と吐きすてるように
言い放った自転車に乗った女性がいました。



おもえば
ずいぶん「ひどい」人間はたくさんいます。

政治の世界にも
どこにもそこにも
「ひどい」人間はたくさんいます。


「邪魔なんだよっ」と
吐きすてることしかできなかったあの女性


彼女は、しかし
ごく普通の人間に違いありません。

そしてだれにでも
「邪魔なんだよっ」と吐きすてる可能性があるということ
なのではないでしょうか・・・



考えることがたくさんありすぎる夜です。


でも

「いま鳴いておかなければ・・」の作者を思い出し
「蝉」の作者も判明し
ちょっと安堵のこおろぎです。





働く若い「手」の写真です。

東京家政学院大の4年生のこおろぎの前期の授業が
終わりました。
テーブルコーディネート演習。
頭でしっかり理解し
しっかりと「手」を動かす彼女たちの
その若さと
みずみずしい未来が
こおろぎはとてもまぶしくて


けれど
再び若い日にもどりたいとは思いません。

負け惜しみではなく
若さをうらやましいとは思わないのです。

若さはそれだけで相当辛いものですからね・・・
少なくとも
やりたい放題したい放題、わがまま三昧だったこおろぎとて
その日にもどりたいとは思いません。


人も傷つけ、
自分も傷つき、
夢を諦め
希望も捨て
未来に限界も見て
何度も転び
10代から20代、こおろぎはいつだって元気でしたが
あの日々にもどしてやるといわれたら
「どうぞそれだけは・・・」とお断りするような気がします。

もどれるものなら40代ですね・・・
本当に人生のなんたるかが見え、
学ぶこと、働くことの意味がわかり、
人の優しさがわかったからです。


とはいえ

若い人は美しく
限りなくたくましい。

こおろぎは
そんな学生さんたちが大好きです。

できるお手伝いはなんでもしようと思います。




彼女達はすばらしいレポートをすばらしく書いてくれました。
鍛えられた学生さんは立派です。
国家試験や就職試験で大忙しの夏なのに
こおろぎの講義を一度も休まず、毎月出席してくれました。
ありがとうね。
強い、そして学び続ける大人になってください・・



写真は演習の一コマ。

大学の食器で
何種類かの朝食のパターンを演出。
しっかりメニューも組んで
器を選び、コンセプトも明確にして

手早い作業でした。



レモン色のひまわりを加え、
食器を変えただけで
印象はがらりと変わります。


今年の論文執筆もそろそろ「佳境」目指す時期。

ああ
課題はどっさりです。
あれもこれも興味は尽きません。
山ほどの資料をどう整理するか
なにを調査するか


まずは身辺整理。
いつもこの「身辺整理」で力尽きてしまいます。
こおろぎの「本業」は研究作業なのですが
なかなかそこに到達できずにいます。
時間管理が今ひとつ下手なのでしょう。
反省。



さてこおろぎが今使っているパソコンは
パナソニックレッツノート
驚くほど小さく軽い逸品。
でも、コロ介やキキが、ひそかにドンドンいろんな
作業をさせたらしく、なんだかパニックを起こしつつある様子。
壊れる前に、手を打つことを多くの人に勧められ・・・


今ホームページを作ってくださっている
デザイナーのえりこさんに相談したらMACを勧められました。
デザイン系、学究系のみなさんの多くはMACです。


ここでMACにチェンジするのも
果敢な挑戦でいい気分転換かも。
老い始めた頭脳を活性化するよい機会なのかも・・・


時間を調整して
えりこさんと実物を見に行って仰天。

今、パソコンの世界はかくも進化していたのですね・・・
俄然ファイトが沸いてきました。


え?
クラウド
え?
ホント?
は?
ウソっ!
そんなこと可能?

こおろぎは目から鱗
棚からボタ餅
ぴんから兄弟・・
なんだかわからないですが
ワンダーランドに迷い込んだ状態で興奮したのでした。

え?
iPad1個持参するだけで
パワーポイントで授業ができる?


あらら・・
世の中変わったのね・・

さて
大変です。
こおろぎ、ここでパソコンをチェンジして
iPadも使いこなせるおばさんになれるかどうか、
世界中のお花屋さんとコンタクトとれるようになるかどうか

みなさまご期待ください。


虫は鳴いています・・・
いま鳴いておかなければもう駄目だというふうに・・・
こおろぎも鳴いています!
いつだって
「今」しかないですからね。


「邪魔なんだよっ」といわれましたが
もう少し、
いえ、ずーっと人生を謳歌させてください。

虫は蝉ではなく、ただの「虫」。
鳴き続けてみせます!