あまりにたくさん・・・

突然ですが
こおろぎは忙しくはありません。


忙しそうですね、とか
「ご活躍ですね」と言われるのが
好きではありません。



この程度を忙しいなどと言ったら、バチがあたります。
朝早い番組をごいっしょさせていただくようになり、
午前4時45分に家を出る日があります。
その時間、すでに街は動いていて
働く人はその時間も働いています。


真夜中まで頭をかかえる日も
ふと仕事場から窓の外を見れば、
中央区はまだギラギラ光っています。



いつだって必死に働く人がいて、
こおろぎのように
気ままなフリーランスの仕事の仕方程度で
忙しそうだといわれるのは、検討違いです。


ほかの人と時間の使い方は違います。
それは大昔からです。
それだけのことです。



日曜日に生活デザインの塾を開くことがありますが
それは
日曜日しかごいっしょできない方がたがあるからです。



それと
「ご活躍ですね」という言い方は
本当に好きではありません。


皮肉ではないとするなら


大人なら
「ご活躍のご様子ですが、お体に気をつけて」とか


なにか「後ろ」につけないと、何も伝わらない言葉です。


いつまでたっても
修業不足を痛感しながら日々時間を紡ぐ身に
活躍してるね・・という言葉は
似合いません。


ただし、こおろぎの場合
その修業は実に楽しく、
この修業こそ、
こおろぎが得た幸せってものかもしれません。


あれこれ新しい風がビュンビュン吹き始めたこおろぎの周辺ですが
岩見沢教室の第2回目がありました。

趣味を同じくするお仲間が集まって
こおろぎを講師に招いてくださり、
あっというまにお教室として歩き始めました。


どんなレッスンの時も
準備の段階であれこれ頭をめぐらせて
相当悩みます。
ホントーです。

そしていつも
レッスン当日、生徒さんが作る食卓や
花を見て
「いやあー、こおろぎ天才だわ!」と
うぬぼれるわけです。


こんな写真を見ると
本当に事前の心配がウソのようです。



どんな仕事もそうです。
「白鳥の水かき」です。
どなたのどんなお仕事も
結果だけみても
その背景はわからないものです。



そうそう最近、
「センセー、いつも通り
ちゃちゃっと、テキトーに話していただければいいですから」

という講演のご依頼をいただき、言葉をなくしました。

いつこおろぎが
テキトーに話しました?


「大学の講義も、何の準備もしなくてもいいでしょう?」と
聞かれることもあるし、


ああ
こおろぎ、テキトーに生きてると思われてるらしいです。



ま、
見方によればそうかもしれません。

いや、だれが見てもテキトーかも。


でも
「勤勉なるテキトー」

せめて
自分ではそう思うことにします。


とにかく

今回も素敵な時間を紡ぐことができました。


今月から札幌のお教室も再開予定です。



今、カブトムシからメール。
ウイーンに着いたとのこと。
あら、どこに行ったんでしょ・・・
ポのつく国だったのは確かですが・・・



彼の仕事とて、
傍から見れば好きなことをテキトーにしているように
見えるのかもしれませんが、

ホントーに真剣に学問をしている学者は
薄給に見合わない、魂を削るような生活をしています。

大学によっては天と地ほどの給与の差があったり
専門によっては天と地ほどの時間の自由度の違いもありますが

こおろぎが知っている、ホントーに真剣に学問をしている学者たちは
365日、休みがありません。
でもそれは365日、興味のあることを考えていられるという
ことでもありますが・・・。


こおろぎも365日、休みはありません。
それを選んだのです。
後悔はありません。





話変わって
こおろぎは日曜日は
朝の日曜美術館
夜のソロモン流情熱大陸が楽しみです。



が、今夜はソロモン流をチラチラ見ながら
反対の局の指揮者、佐渡裕さんのベルリンフィル公演前後を
追った番組に心躍りました。



スゴイ音なのです。
そしてトランペット奏者が
指揮者にストレートな質問を投げかけ、
レコーディングディレクターも指揮者にあれこれ意見を言い、
30代前半の若い日本人のコンサートマスター
実に堂々と思いを伝え、


それは新鮮な光景でした。


日本の普通の社会ではありえない光景です。


「権威」が一番だからです。
年功序列の歴史が長く、
仕事上の「対等」などない。



医療の現場でもアメリカのようなチーム医療の考え方は
まだまだです。
看護師も管理栄養士も対等に患者の回復に参加できてこそ・・
のはずですが

まだまだ「発言」の力は弱いのが現状。
でもそれはどの職場もです。




大昔、パリのフラワーデザインの学校と
ロンドンのお花屋さんで修業させていただいた時
その指導法に感激しました。


教えてるのだから、感想を言いなさいよ、
学んでるのだから、しっかり学びなさいよ、
どう思うの?
何がしたいの?

自らが指導している相手の声を
しっかり聞こうとしてくださる師匠に
こおろぎは会いました。


それまでの日本での修業とは
全く違う手法でした。


文化が違うのだと
今日あらためて思ったのでした。



佐渡さんが指揮した「革命」
メンバーが「評価しないわけにはいかない」と笑顔、
そして佐渡さんも涙、
観客は感動。



こおろぎもふと
いままでのいろんな仕事を思い出しました。

こおろぎにも
やりながら我を忘れた仕事
涙が溢れるほど感動した仕事というのが
いくつもありました。




けれどこれからです。
なにもかもこれからです。


こんな風になってしまった日本ですが
あいかわらず「権威」がダメにする日本ですが


だからこそ
小さい声を少しでも大きくできるように
必死に考えていこうと思います。



今日は情熱大陸
伊集院静氏の
大文豪ぶりも拝見して
そうか、60歳をすぎると
こんな風に「立派」になってもいいのか、と
思わず勘違いしそうになりました。


彼が定宿にしている東京の某ホテルは
文豪達が愛した古いホテルです。
昔、こおろぎもときどき泊まっていました。
部屋に蚊取り線香が置いてあって
とてもおどろきましたが
どの空間にも重さがあって
バーのカウンターにひとり座っていると
いつかきっとこのホテルが似合う大人になろうと
思ったものでした。



あれから20数年たちましたが
こおろぎはまだダメです。


未熟モノは未熟モノなりの
大人になり方ってものがあるでしょうから
・・・


割り箸をなぜ折るかとか
おはぎやぼた餅はなぜ外側が餡子かとか
お子様ランチにはなぜプリンがつくかとか


そんなことにもワクワクしながら
丁寧に人間の生活を考えていこうと思います。


実に立派な今夜のこおろぎであります。


よい1週間でありますように・・