戦闘気分

こおろぎは
自分のこの後姿が、そうとう好きです。
こんな背中なら、
こおろぎ、まだ捨てるにはもったいない。
引退ももったいない。
そう思った背中です。

まだ考える力も
闘う力もありそうです・・・。

このカラス、こおろぎがそうとう近づいても
びくともしなかった度胸の据わったカラスさんでした。
それなのに
ピントずれて、残念。
一眼レフカメラを持たなくなって
なんとなく、写真に「力」なくなったのかも。

こおろぎはカラスがかなり好きです。
あちこちでトラブル起こしますが
カラスは賢く、相当な知恵者です。
夫婦、家族、仲間意識が強いし
あの羽の色がいい。

まあ、とにかくこの写真のカラス、
こおろぎにちょっと似ていると思った次第です。


本日、戦闘気分と題しました。
旅先のことです。
なかなかいいお店も並んでいました。
しかし、接客ができない店が多い。
パリかミラノかと立ち止まるほどのブティックがあって
思わず入ったこおろぎに
男女、どちらか不明の店員さんが近づいて
「何かお探しですか?」
声を聞いても男女どちらか分からない。
ファッションも男女わからず、でも素敵。
「ディスプレイが素敵だったので、拝見したくて」と
申し上げたら
「あ、そうですか」で
以後、レジに入ったきり。
それっきり、こおろぎは無視。

こんなもんですか?


何か買ったかもしれないし、
また来るかもしれないし、
誰かを、なにかを紹介するかもしれないのに


ああ
この程度なのです。
雇っている人間がこんな対応をしていることを
オーナーは絶対に知らない。

こおろぎ、ゾンザイに扱われて情けなくなりました。


そしてもう一軒、
これまた相当素敵な靴中心のブティックのお話。
同じ日、
以前訪ねた時、SALEで素敵な靴を買った店だったので
ドアを開けたところ、
オーナーは接客中。
絶対にお金持ちのお客さま。
もんぺ風のアラビアンナイト風の・・
脚首つぼまりのだっぷりパンツに
ショート丈の毛皮のジャケット着て、
白髪を夜会巻きにしているマダムです。
お年は70代中ごろか。
美人。
今まさに、バッグを買いそう。
デザインは素敵ではないけれど、
質のいいバッグ。
こんなバッグを選れぶあたり、
やはりただモノではないのはわかる・・・けど、
そして、常連の上客なのもわかるけれど


ドアが開いて、客と目があったら
笑顔で「いらっしゃいませ」ではないのでしょうか。

すぐに目をそらせて
こおろぎを無視。


「イチゲンの客」は無視していいんだわね・・・。
もひとりの店員は箒で掃除。その手を休めない。

あああ
情けない。
こおろぎ、手にとったブーツ、激安のブーツ、
買おうと思ったけれどやめました。


お客がいるのに箒で掃除、
それをとがめない主人。

強気の商売は絶対に転びますから!




掃除といえば、
その翌日、某デパートの上の方のギャラリーで
こおろぎ、またまた来客のいる時間に
ガラス磨きしている店員さんを二人発見。
え?営業時間中に掃除?
時間調整に、めずらしく絵画でも見ようと
行ったのに
「いらっしゃいませ」ではなく
ガラス磨きの手を休めない二人。
すると、そこに
箒片手の、背広の社員。
ネームプレートしっかりつけた百貨店の社員さん、
なにがどうしたものか
展覧会会場の掃除。
ほんのちょっとの花ビラなどのゴミ。
この程度なら手で拾え!
お客がいるとき、窓拭くな!


ああ、このデパートも
寿命は短い。
こおろぎ保証します。

ここでも歓迎されなかったこおろぎ・・・。


そして昨日、
体調おもわしくなく乗ったタクシーさん、
「え?どこ通ったらいい?」
え?え?
まさかのタメグチ。
家に到着したら
「細かいお金、ないのかい?」
「すみません、持ち合わせなくて・」というと
「10円もないの?」



ううううううううっ・・・・・



泣きそうなこおろぎでした・・・・。



そのタクシーに乗るちょっと前、
こおろぎは昔の知人に会いました。
出会いがしらに会ったとでもいいましょうか。
一瞬わからなかったのです。


でも彼女が軽く手を振っていて
ああ、どなただったかしら・・と思って考えていたら
手を振ったままこおろぎの前を通りすぎたのです。



その途端、あ、と思い出して、
お名前を呼んだら、

「あ?気づいちゃった?」

・・・・・。

素敵な立ち姿でやっと立ち止まってくださったのでした。

「センセー、お元気そうでよかったわ!」と言われて、なんとなく
言葉が繋がらないこおろぎ・・・。

「遠くから、センセーだとわかってたのよ!」
ますます言葉が捜せないこおろぎ・・



なぜなら
こおろぎの前を通過するような人ではなかったからです。
こおろぎを見つけたら、いつだって駆け寄ってくださるか
待っていてくださる方だったのです。

疎遠の時間が流れて、
すでにこおろぎは御用済みになったのでしょう。

無視してとおりすぎる予定だったようです。
もし気づいたら困るので
手だけ振ってくださったようです。




一番悲しいのは
「忘れられること」だと言った詩人か作家は誰だったかしら。


ふと、その文章を思い出しました。


あっちでもこっちでも
こおろぎ、最近、ゾンザイに扱われています。

これ、愚痴といえば愚痴。

でも
日本のなにかの現状を見る思いです。


そして
ゾンザイに扱われない方法を
しっかり身につけなければならないぞとも
思った次第です。

マナーや
身なりや
言葉や
声や
姿や


やっぱり
何もかも合わせて、人間は人間を評価するわけで、

そして
培う関係の深さ、確かさ、
さらに
作っていきたい関係、かかわりのイメージ、

それらを明確にすることで
サービス業や
人間関係が
大きく変わってくるのだと
痛感したのでした。


とにかく
なんとなく、
ゾンザイにされ、無視され、邪険にあつかわれつつある
最近のこおろぎ、


こおろぎに、なにか問題があるとしたら、
ま、
ちょいとこおろぎに「力」ないのかも・・・。
反省反省。

凛と背中を伸ばして
カラスのように毅然と

堂々と生きていこうと思う秋の終りです!


さて
明るい場面を一枚!


え?すごいでしょ?
ワンコのファッション・・・・
すごいですねえ・・・おかあさん・・・と

りきまるくんのこの羨望の眼差し。
りきまるくんは
「仕事のできる事務員さん風の腕抜き」して
歩くので充分ですから・・・。

いろんな悲しいこと、悔しいこと、
残念なこと、腹の立つことがありますが
食事は丁寧に取りたいと思うばかり。
旅先のお昼です。
腕のいいシェフのランチの前菜。
ちょっぴりずつですが
どれも丁寧。
ヤッパリ丁寧がいい!

前回、こおろぎセレクションのバッグをご紹介しましたが
もうひとつあります。


素材のままの、そして使いやすさ重視の
やわらかいバッグ。お勧めの一品。
これもまた
丁寧な作品。

丁寧に生きていきたいと思うばかりです。