考える日曜日ふたたび

なんとも秋らしい配色。
こおろぎ先生の好きな色合い。

すでにドライになったミナヅキに
ホトトギス

アイキャッチには白い菊。

HTBほんわかどようび、
臨場感あふれるお花のしつらいは
今回、こんな感じでした。

「手元」にあるものを上手に・・・


これは暮らしの原点です。


見回せば、大好きなミナヅキがしっかり立ち枯れていて

そして
同じ色のホトトギスが庭にありました。

咲いていました・・・とはいえません。

ありました・・
しかも
倒れて

いえ
倒れたまま
咲いていたのでした。



この写真は2週間くらい前の突然の大雪の日の
こおろぎさんちの
狭い狭い庭です。

ブッシュになっていた雑草の庭が
気がつけば
まっ平ら。

突然の大雪で
全滅したのでした。


相当数に増えていたホトトギス
シュウメイギク
明日には切ろうと思っていた・・

そうです
「明日やろう」と思っていた
その「明日」という感覚、

これは本当に残酷です。


その「明日」、
予期せぬ大雪で
庭は全滅したのでした。


けれど

雪が解けて驚きました。


確かに倒れたホトトギスは起き上がれません。
もちろんシュウメイ菊も
長い茎を元にもどすことはできません。
物理的に無理。

なのに

ホトトギスシュウメイギク
しっかりと花を咲かせ続けていたのです。


悲しいことや
残念なことが続いていたこおろぎは

おもわず、
胸が一杯になって

きっと切花として
もう一度咲かせようと

柄にもなく思ってしまったのでした。


両手にかかえきれないほどの
ホトトギス
倒れているのを起こした瞬間、
ポッキリ、折れるほど
たぶん、凍ったか
傷んだか、

それはそれはかわいそうな状況でした。

それなのに、
茎が長い分、水分も養分も蓄えていたのか

花はしっかりと咲き続けていたようです。


ほんわかどようびの
司会者さんの背中で



一度は大雪の下で全滅したかに思えた花たちが


ひっそりと
しかし
凛として咲いていること


その緑の葉は
今が旬、とばかりに輝く椿の葉より
雄雄しく、
こおろぎにはとてもまぶしくて

ああ
この仕事をしていてよかったと
心から思ったのでした。


花のしつらい、
花装飾の原点を
今一度、考えなおす機会を

そして

植物の構造のすばらしさを
痛感した、貴重な経験となりました。




さて
こおろぎは元気です。



今週のこおろぎ組の「魔除け」に
こおろぎとりきまるさんのツーショットを。



この時もこおろぎは
ビールを飲んでいました。
この日は発泡酒ではなく
エビスビールでありました。


いろんなことがある日々、憤りも悲しみもありますが
素敵なこともちゃんとあります。


ゾウさんゾウさんお鼻が長いのね・・・の作詞家
まどみちおさんが100歳。
その番組を観て
まどさんの
現役の詩人としての言葉に
深く深く心打たれました。

ボクの
まつげの間に涙がつくと
虹ができるんですよ



詩ではなく
普通にお話しなさっていました。

まつげの間に
虹が見えるので
本当にうれしくてね・・・と


ああ
こんな言葉、
そして
そこに喜びを見つけることができる「大人」。

100年生きて、
そうして
この言葉。


こおろぎは背中を伸ばして
正座して
まどさんの笑顔に頭を下げたのでした。


そして眠れなかった真夜中、
「視点論点」の再放送で
やはり詩人の長田弘さんの文化についての
お話を聞き、
ソファーで寝ていたこおろぎは
飛び起きたのでした。


文化は習慣であると、
一言で言えばそういう内容でした。

リテラシーの簡素化、
そんなこともおっしゃっていました。


メールやパソコンで
文字も言語も簡素化し、
時間ばかりが短縮化されたけれど

言語を省略、簡素化してはいけない、という
短縮した時間は
何も産まないということを

長田さんはおっしゃっていました。

こんなに便利になったのに
理系も文系も
突出した研究も
文化も
ザクザク生まれてはいない。

失うもののほうが多いかもしれない。


今、詩人たちの言葉の重みを思うのは
こおろぎだけではないはずです。


なぜいま、ニーチェなのか。
時ならぬニーチェのブーム、哲学のブームでもあります。

みんなが疲れてきたことの証しかもしれません。


さ、


まだまだ書きたいのですけれど

こおろぎ、「作業」が山積みです。



「センセー、論文執筆、忘れていませんかー」という
共著執筆のセンセーからメールがきました。


「センセー、クリスマスパーティー、忘れていませんかー」という
生徒さんからのメールもきました。


「センセー、クリスマスの装飾、捜しておいてくださいねー」という
ご連絡も
「センセー、お正月料理、考えてますかー」という電話も


「おかあさーん、ボクは今日まだウンチしてませんけどー」という
りきまるさんの声も聞こえたような・・・・


さてさて
こうして
生かされているうちが
ハナというものでしょうか。

どうぞ
こおろぎ組のみなさまにおかれましても

くれぐれもご自愛の上、

たのしいこと探しを絶対に続けて
笑顔で日々をすごされますように・・・・・



涙がまつげについたら
虹になるそうです・・・からね。


追申:
唐突ですが
こおろぎは実は絵本が苦手です。
当然、子供達に買ったり、読み聞かせるなどということは
一度もしたことがありません。
そんなこおろぎが
たった一冊、大事にしている絵本があります。
いただいたものですが
ロングベストセラーの
「100万回生きたねこ」です。
佐野洋子さんの作品です。
何度読んでも
これ以上のメッセージはないと
いつも思います。

その佐野洋子さんが亡くなったとのこと。

後世に長く伝わる名作を残してくださったことに
心から感謝したいと思います。