力説・・・

東京教室の写真を3枚載せます。

なんだか新鮮。

挑発的な器に
攻撃的に挑戦することを
こおろぎは生徒さんに望みました。

「できることをする」
ことを卒業した方がたへ、

あえて提供した器。


「できること」はしっかりできればいい。

次はどんな「相手」に対峙しても
なんとかやっつけることができるようになることです。


時には
水の入らない器かもしれないし

なにを入れても無駄なほど
個性の強い器かもしれない。

それでも
挑戦する価値はある。


達成感はそこにしかない、とさえ思う。

器や花に向かって
どうしたらよいかわからなくなることがありますが


「できることをする」のではダメだといわれたときは

「必然」と「最小律」がキーワードかもしれないと
こおろぎは今回改めておもいました。


その器でなければならない表現であり、

その1輪でなければならない理由、

そして
最小限の茎の数をさぐることが

たぶん、
新しい挑戦なのだと思う。

「売り物」や「売れるもの」を作るのなら
この手法は違う。

でも



学ぶプロセスには
常に「挑戦」が絶対に必要なことだと
思った次第です。




生命科学の授業で
こおろぎは
福岡伸一先生の新書「生物と無生物のあいだ」を
サブテキストに選んで、もう3年です。

看護学科、作業療法学科、理学療法学科の
学生さんたちとはいえ、
高校までに学んできた
生物、化学、物理の
分量も質も全く違う。
彼らに
共通して提供できるテキストなど
見つけられませんからね。


福岡先生のご本は
実にドラマチックに生命をたどり、
ワクワクさせてくれます。

その本の中に
今日、シュレーディンガーの名前が出てきました。
1933年にノーベル物理学賞をとっている。

その物理学者が書いた
「What is Life」という本が
多くの生物学者を刺激したということです。


「小さい貝はなぜ美しいか」という
美しすぎる見出しを福岡先生は書いていらっしゃいます。


物理学的に
生命をひもとくきっかけとして
あまりにロマンチックすぎますが


こおろぎはこのフレーズで
この一般書である新書を
大学のサブテキストに決めたのです。




原子論は
唐突でわかりずらい。


そこで
今日は

いかに
私たちの身の回りに
不可思議な法則が沢山あるか



簡単な数列、級数
自己相似性を軸に
大画面駆使して
力説したのですが


さてさて

どこまでどう
伝わったかは不安。




大講堂に響くこおろぎの力説
なんだかなーと
首をかしげる学生も沢山いましたが



え?
ほんと?
まじ?
おもしろい!


そんな声も聞こえて

出席カードを出しにきた学生たちが
何人か
数学っておもしろいですよね・・・と
言ってくれました。

数学というほどの内容ではないけれど


みごとに数式で
なりたつ部分が
体の中にも
自然界にもどっさりあって
いや
原子でできている以上
すべて説明ができる。





満点などとれない。
どんなに力説しても
満点などとれない。

でも
伝えるのが
私の仕事なら

やっぱり大声になろうというもんです。


というわけで
喉の痛いこおろぎです。





えらそうに
原子だ分子だと言ってますが
こおろぎは化学ができなくて
高校時代赤点をとったことがあります。
卒業できないかもしれないと
言われて
何人かの、実に立派な「お勉強大嫌い軍団」に
混じって追試験を受けたのでした。



それほど
化学がちんぷんかんぷんで
大学受験は
生物と物理を選択。
こんな学生、当時ほとんどいませんでしたね。
あ、今もいない。

農学部と理学を渡り歩いて
家政学部で締めくくった14年あまりの
こおろぎの大学生活は
見事に化学を避けて避けてさけつづけて
歩いた苦難の道でした。



その私が
今、
化学を勉強しているのは
奇跡としかいいようがありません。


なぜかというと
おもしろいからです。
なぜおもしろいかというと
全く知らない世界だからで、
ワクワクしながら読み進むと
長い間疑問に思っていた
いろいろな現象が
みごとに解けていくのです。


自然を見る目も変わったし・・・

とにかく嬉しい発見があるのです。



どんなに片付けても部屋は散らかる。



部屋は意識して努力することで秩序は増すけれど
放っておくと、無秩序な状態にもどる。



これ、だらしがないのではなく

「あらゆる系は、より無秩序な状態へ向かう」という
熱力学第二法則なのです!


つまりその

こおろぎの部屋が
歩くところもないほどの状態なのは
こおろぎが悪いのではなく、
熱力学第二法則による
実に自然なことなのです・・・たぶん。




某書には
部屋が散らかる例がありました!


でもまあ
「珈琲に溶かした角砂糖は、再び角砂糖に戻らない」という
例のほうが、ホントらしく、わかりやすいですけどね。



これだわ!
と思わず叫んだこおろぎです。


生命ではないものは
無秩序に限りなく向かう。
人が住むのをやめた家は
あっというまに朽ち果てる。


でも
生命体は
分子にいたるまで秩序を保つのです。


このあたりを
シュレーディンガーは指摘したのでしょう。

そしてそれは真実です。


生命体ではない「空間」が
無秩序に散らかるのは
これはやむをえないことなのです。



バンザイ!


こおろぎがだらしないからではない!


ね?
学ぶって
実に実に幸せなことでしょ・・・と


大満足で
こおろぎは寝ることにします・・・。