真夜中にトリを煮る

本日の和柄、一枚。
これも羽織り。
いったい黒い羽織を何枚もってるんでしょ。
誰がいつ着るのでしょうか。
もう着ない。
きっと誰も着ない。
だから持ち続けようと
思っているのですが・・・・

黒いイブニングに羽織るのも素敵・・・と
思うけれど、180センチくらいの
頭の小さいモデルさんならイザ知らず、
和服を洋服に重ねるのは
実に「痛い」手法。

さてこの羽織りたち、
どうしたものか・・・・

壊すのがもったいないほど
上等のまま
こおろぎの手元にたどりついた
すでに御用済みの晴れ着たち

こおろぎが大切にしなければ
どこかでパッチワーク用に切り刻まれるにちがいなく・・・

なんだか悲しいことが重なって

こんなときこおろぎは
真夜中いつも肉を煮ます。

今日はHTBイチオシ、コメンテーターでした。
お料理の川崎先生の今日のメニュー、
とてもおいしかったのですぐに夕食で再現。
ちょっとわが家流にアレンジしたところ
大好評。
イタリア風肉じゃがでした。
豚肉のかたまりとじゃがいもで作ります。
だからといって
真夜中、もう一度
今度は鶏肉でイタリア風肉じゃがを作る必要など
全くないのですが

こおろぎの疲労回復は
ときどきこんな風な形で表現されます。


手羽元がどっさりあったので
トマトで煮てしまいました。
カレー粉も入れました。
明日の朝はヘビーなご飯ですわ。

さて

何が悲しいか、

かつて
フォーククルセダースが

悲しくてやりきれない・・・と歌いました。

加藤和彦さんが亡くなったときも
書いたとおもいますが
 
何が悲しいか
書いていないのに
あの曲は
悲しみを伝えています。


失恋なのか
失望なのか
いや
絶望なのか

ちょっとした悲しみなのか


理由を語らずに悲しいと歌う
その歌を


こおろぎは
名曲だと思っています。


まあ

今日のこおろぎは
「そんな」気分なのです。


あれもこれも
なんだか悲しい。
合格点のとれない自分だったり
役にたたない自分だったり
配慮のたりない自分だったり

多くの場合
悲しみはそんなところにあるものです。

ま、
すぐに元気になるに違いありません・・
いや
こおろぎはすでに元気なのです。

いやいや
悲しくても悔しくても
そうとう元気だということが
唯一、こおろぎの自慢かもしれません。


とはいえ、
祖父と父の「永代供養」をすると
ずいぶん昔、ママと約束をした
東北地方の某町の某お寺のお坊さんに告ぐ!
本日、「永代」どころか
全く供養していなかったことが判明しました。
悔しいので詳細は書きませんが
亡くなったペットの供養で最近トラブルがありましたが


遠方の遺族をくいものにしたとすれば
それは許されません。
相当な金額を要求し、
心細かったママを動かし、
しかし
年月を経て
元禄時代に立てられた
古いお墓は今
その主も忘れられ・・・


こおろぎは
世が世なら
なんとかさんちの14代だったか17代目のお姫様だったかもしれず
しかし
世は変わり、
こおろぎは
路傍のこおろぎになったわけです。

こおろぎが生まれるズット前に
こおろぎのおじいちゃまという人は
長男なのに、何もかも捨てて
その町を出たのでした。


明治の人なのに
英仏独語を使いこなし
文学はなんでも理解し
絵画も水墨画
書も俳句も
なんでもたしなむ趣味人としての人生を選んだのでした。


結局料理人としての人生を歩いた人です。


旭川で料亭をやっていましたが
お酒やらなにやらで店をたたみ
結局雇われ料理人として人生を終えました。
不本意な最後だったかもしれません。
でも北海道に西洋料理を広めた一人のはずです。
悲しくもその記録がありません。

なんとかたどれないものかと
思っているのですが・・・
その人生は
とても魅力的でした。


こおろぎ5歳の時他界。
「みっちゃん、絵は思いどおりの色を使って描きなさい」
「好きなことしなさい」


祖父は優しい人でした。
嫁であるこおろぎのママにいくつもの料理を教えたようです。


ロールキャベツやらホワイトソースなにやら
当時めずらしかった洋食を

「ママはねー、おじいちゃんにねー、沢山教えてもらったのよ・・・」
といつも自慢しますが

さて
ママ、覚えてる?
と先日聞いたら

「あのねー、そーねー、バターを沢山つかいなさいってことよ。
あとはねー、忘れた!」だとさ。

メモとっとけっ・・・。



話題がそれました。
とにかく

「永代供養」に関して
卒倒しそうに悔しいことがあったのは確かです。

それは祖父やパパ、ママのために、
悔しいということです。


過日、知り合いのお父様が他界し、
戒名代、70万だったか100万だったか請求されたと
聞き、
その時もその金額の「内訳」が不明で
気の毒なご遺族のために
大暴れしそうになったこおろぎでした。

こおろぎのパパは
遺言に
戒名不要と明記してあったので

カマボコの板の裏に
叔父が
父の名前を書き、その霊、と書いてくれました。

最高の位牌となりました。
葬儀無用というのも遺言にあり、
それは相当苦しい申し送りでしたが
希望通り、般若信教だけで送ることができました。


こおろぎも戒名などいりません。
そうだなあ、自分で考えておくことにします。

毎日、原子だの分子だのを学んでいて
命の「形」に直面しているのに
見えないなにかに脅かされるなんて
どう考えても腑に落ちない。

こおろぎよりはるかに信心深いママを
裏切ったお寺に
こおろぎ、ご立腹です!

がしかし


クローズアップ現代
司会の国谷さんとインタビューのお相手
中島潔さんの命の絵画とそのお話をお聞きして
中島さんの描く
部屋一面の鰯の群れ。
鰯のまっしろい目は
月を映していて
「母」をもとてめて生きてほしい・・・という
その言葉の重さ。
ご興味のある向きは
検索してみてください。


こおろぎ
また反省。


心美しくないこおろぎでありました・・・
国谷さんの眼に溢れた
クリスタルのような涙を見て
胸がいっぱいになりました。


永代供養という
その口約束を信じた
ママの哀れは
私の胸に納めましょう。

今日の山ほどの「残念」も
もう鶏肉といっしょに
煮込んでしまいましょう。

ああ
あまりに俗っぽいこおろぎの魂です。

実に実に俗っぽい。

いや
この「俗」こそ
本当のナマの「命」なのではないかしら・・・


長くなりました。
反省。


マダムこおろぎは健在です。

ちょっと弱っていますが
それはいくつかの心の柱がちょっと折れそうになっただけで
補強は簡単。

戦闘モードに立て直しました。
見よ、この指輪たち。
なんだか集まるアニマルたち。

戦闘的、攻撃的姿勢充分です。


明日こそ軌道修正して
6月を歩き出そうと思っています。