疑うということ

あっというまに12日になってしまいました。
ゆっくりゆっくり時間が流れているような4月だったはずなのに
気が付いたら12日。
大慌てです。

それでも上の写真、
わずか20分で完成させたのは偉いっ、こおろぎ。

第2回目のHTB「ほんわか土曜日」。
司会者の背景に活けたのですが
桜は市場にはほとんど見つからず、
大粒の蕾をつけたヤナギの枝に
ほんの少しの桜、そして
ラナンキュラスは造花。

その場で素材をあわせて
限られた時間でいきなり製作するのは
度胸のいることですが


若い日の修業のおかげか、
こおろぎの度胸は満点。


少ない桜を
ラナンキュラスが補ってくれたのではないかと思います。




この写真は第1回目。
桜だけでこの上ない贅沢さ。


あっというまに2回が終り、
第3回目も近づいてきます。
次回はどうしようかしら、その日出会う草花に期待。



さて
論文の筆は一向に進まず、
なんとなく花粉症やらなにやらのアレルギー。
そんなことも言っていられず
大学の講義がスタートします。


前期は
生命科学
食生活論
フードコーディネート論
食品流通

北海道文教大学函館短期大学でそれぞれ2科目ずつ。

さらに

東京家政学院大学
テーブルコーディネートについて講義。


多岐に渡る内容、
今年は、今まで以上に学生さんにわかりやすい
方法で講義をしていきたいと思っています。



それにしても
「食」に関する疑問がいろいろ広がるばかり。

「食」についての情報がどうも真偽がわからないものが多い。


たとえば
日本人は米食だといっても、
白いご飯を、いったいだれが食べてきたのか。

稲作文化は本当だとして
だからといって「米喰う日本人」という認識は怪しい。
「ご飯」など
食べていたのは一部の上流階級だけだったに違いなく、

しかも
「3食食べるのが本当で・・」という認識も
江戸時代から3食が定着し・・という表現もよく見かけますけど
ホントでしょうか・・・

電気もない時代に
時計もない時代に

3食が定着していたのはどの階級、どこの人たちだったのか。


世界中で「日本食」が見直され、注目されている、と
言いますが、

そもそも「日本食」ってなにを意味しているのでしょう。


日本人が食べていたもの・・と定義するなら
どの日本人がいつ食べていたものなのか。


日本人の体の小ささや
かつての寿命の短さは


ではどこからきていたのか。


西洋風の食生活とライフスタイルになってから
日本人は大きな体格と丈夫な体を手に入れたのではないのか。


成人病や
胃腸系の病気が増えた・・・のは
悪い側面ですが

だから西洋風が悪い・・・と
言い放って、「日本食を見直す」という極論はいかがなものか。


豆腐、ワカメ、納豆、味噌、玄米・・・


をその代表としているのなら


やはり明治以前の日本人の寿命や体力を
説明する必要があるのではないでしょうか・・・




かつて
婚礼衣装について研究していたとき、
神前結婚式は明治時代の産物であることを確認したし
白無垢も「伝統的な衣装」ではないことを指摘しました。

私たちが「古来」とか「伝統」とか思い込んでいるものが
実は違うことが
どれほど多いでしょうか。


「昔から・・」っていつからでしょう・・・


たとえば
昨今
マグロ漁について喧々諤々ですが


日本人はマグロを食べてきた・・・


これは正しい。


しかし、

近海でとれる魚として
食べてきた。


それだけです。


遠い遠い遠い遠い海から冷凍にして運んでくるマグロを
食べることなど
ありえなかった。
これは当たり前です。
船の技術、冷凍の技術、なにもかも
産業の発展後のことに違いない。


日本人がずっと食べてきたマグロは
重ね重ね書きますが
「近海で、日本人が、それぞれの時代の
可能な技術で捕獲した、イキモノとしての日本人の
食料」だったのです。


食べたいから、


いえ

売れるからという理由で
遠洋から運んでくるマグロではない。


文化論をふりまわして
国際社会で
マグロ漁を語るのは
どうにも疑問があります。


マグロが食卓から消えたらさみしい・・・


という「報道」はいかがなものでしょうか。



山の中の温泉旅館で
マグロの刺し身を食べる必要があるのでしょうか・・・
そんなにも
いつもいつもマグロを食べていたいのでしょうか・・



マグロじゃない魚は沢山いる。
季節季節に、美味しい魚がどっさりいる。



輸入しなければ鮭と鮭の仲間たちは不足しているのか。

養殖品を輸入しなければならないほど不足しているのか。


ロッコからタコを輸入しなければならないほど
タコが必要なのか


メキシコのカボチャがどうしても年中必要なのか


季節限定の野菜だったアスパラも
今は年中ある。


年中アスパラを食べる必要があるのか・・・



基本の基の字が頭をめぐっています。


サプリメントの普及の陰で
いつも

「最近のほうれん草は栄養価がなくなっている・・」という
言い方がされることが実に多いのですが


ホントでしょうか。
確かに栄養価が下がった野菜はあります。
が、なぜか多くの場合ほうれん草がヤリ玉に上がる。
ほうれん草農家の方、反論はないのですか。


レモン100個分のビタミンCが入ってます・みたいな
あるいは
シジミ何キロ分のなんとかがとか
カニの甲羅何キロ分のコラーゲンとか


いいですか?
レモン100個、食べる必要はなく
毎日シジミ何キロも食べることもなく
コラーゲンを口から入れても
あなたの、その顔のしわにはまず、届かない。


体に必要な「亜鉛」・・というCMを見ても
ドキドキしてします。
確かに味覚調節等には微量成分として必要ですが


「さ、亜鉛を摂らなきゃ」という場面、
普通は必要ない。


知らず知らずに摂取できる。


食に関しては

栽培も
流通も
食べ方にも
疑問は沢山。


こおろぎは
基本的に「生物学」の教師です。

イキモノとして
何が必要か


生まれる疑問に丁寧に向き合って
今年は
何かの「カタチ」を作りたいと思っています。


わがままになった人間、
わがままに慣れた日本人、
自ら進歩させた技術に振り回され
必然的に放り込まれた都市生活に
結局は翻弄される私たち、


せめて
正しい知識と
冷静な判断力をもって


みずからの命を守っていきたいと
思っています。

あら、

今日のこおろぎ、
そうとうまじめだわ・・・


アレルギーの薬を飲んだので
ちょっと朦朧としているのです。
朦朧としていると
ちゃんと考えることができるのです。

そして

少々ボーっとしてるくらいが
おとなしくて周囲にご迷惑にならず
家族も平和らしいです。



足早の卯月です。

こおろぎ組にも
充実した日々でありますように・・・・


さて追申

本日の「役にたたないこおろぎ知識」のコーナーです!
なぜご飯は左に置くか。
多くは右手に箸を持つ。
したがって頻繁に持ち上げる器なので左に置く。
持ち上げるのが原則。
これについてもいつかまた。

まあね
だからどうした、といわれリャそれまでですが

ご飯は左!味噌汁は右!と言われても
理由がなきゃね。
もちろん、左ききの人用には逆に。


以上、役にたたないこおろぎ知識のコーナーでした。