船出

数ヶ月前だったでしょうか


「センセーとごいっしょに
お仕事がしたいんですが・・・・」


そうAさんからご相談いただいた頃、
札幌の街は秋風から冬の気配でした。


「和風」

「生活」

「文化」

「しきたり」

「ホンモノ」

「ちゃぶ台」

サザエさんのお家のような・・・」


彼女が語るイメージを聞きながら

その情熱が
まぶしくて

こおろぎは

できることは
なんでもすると
お約束したのでした。


4月スタートに間に合うのかと
心配になった日、


二人で
お昼をすごしたイタリアンレストランには
他のお客様がいなくて

外は雪。


不安になりながらも

こおろぎは
この若いディレクターを
絶対に応援しようと
心強く決めたのでした。


とはいえ

こおろぎに出来ることには
限りがあり、

門の外で
応援するだけ。


「しつらい」の監修という

聞きなれない役割を背負って

ただただ
彼女を見守るだけでした。



そして
今日、4月3日


HTB 昼12時
「ほんわか土曜日」は

元気に船出しました。


産みの苦しみなど
もう忘れました。


とにかく満開の桜で飾りたい、

その思いで

広島県のNさんにご相談したこおろぎに

ご多忙のNさんが
咲き始めた桜を送ってくださったのが3月26日。

本当にありがとうございました。


その日から

温度管理を工夫しながら
今日まで

こおろぎは
卵を抱く母親鳥のように

子を抱えるカンガルーのように

桜、桜、桜・・・と言い続けてすごしました。



京都からもどると

いっせいに咲きほこり、

一部散り始め、

ドキドキドキドキの時間でしたが

その完全な満開の桜が

今日、スタジオを飾りました。



しつらい?


こおろぎの仕事は

花を生けることだけではなく、

登場するお菓子やお料理、インテリアの
演出。

礼法、作法、しきたりなど
生活文化のルールも交えたご提案。


第一回目は

小樽の老舗お菓子屋さんの
大きな大福。

さて赤と白、どちらが右?

そんなことを
関単に説明するご提案。


そして今日は

ゲスト、もと横綱大乃国、現芝田山親方
スイーツ親方として有名な親方がお持ちになった

「おめで鯛」というパイを
どうおいしそうに見せるか・・・



毎週、いろいろな話題に取り組みます。


エンドロールに

「しつらい・荒井三津子」


と流れたとき、

この3ヶ月、Aさんと重ねてきた夢と現実の試行錯誤が
懐かしく
そして
1つの番組、「モノ」を作る醍醐味に

大きく心ふるわせたのでした。


「しつらい屋こおろぎ」


こおろぎにあたらしい道が見えてきました。


こおろぎ組の皆様にも
どうぞ素敵な春でありますように!