考えるこおろぎ

madam-cricket2009-03-22


佐野洋子さんという作家の
100万回生きたねこ」は
誰がなんと言っても名作で
こおろぎ、号泣した絵本。
そもそも
こおろぎは絵本を好みませんでした。
それなのに
これは絵本を超えていて



そして佐野洋子さんは最近お母様のことを書かれた。
実母との関係を書くというのは
大変な勇気と決意が必要なわけで
その佐野さんは
今度は子供の視線の本を産みました。
そしてこおろぎは今夜、週刊ブックレビューで
生まれて初めて佐野洋子さんのお姿を拝見。
お声を拝聴。お話に感動。
1938年生まれの女性の存在の確かさ。


ポルノが書きたかったと笑う声も
子供は弱者ではないと、
さらに子供は想像力がない、
なぜなら経験でしか想像力は得られないからだと
こんなことおっしゃれるのは
佐野洋子さんこそ確かな作家だからです。


日曜日はバタバタとすぎました。
咳もとれず、時々苦しくなりますが
まあしかたありません。
そして夕方
三越の地下で
「先生・・」と声をかけられました。


3年前、某クラスにご出席くださっていた生徒さんでした。
「突然欠席したままで失礼しました」
と彼女は言い、
テレビで私を見ては
気にしていたとのこと。

当時
よくお話を伺っていたお嬢様を
暴走運転の車の事故で亡くされたとのこと。
三越の地下、お惣菜の並ぶケースの前で
涙があふれました。


最高の教育をされ、
大学院を終えたお嬢様の将来を楽しみになさっていた矢先、
家の前で事故が起こったとのこと。
「それでも20時間生きてくれました」


こんな悲しいことがあるでしょうか。
そして亡くなったとき、
彼女は突然臓器移植を思い立ったというのです。
家族のだれも反対せず
2人の方に腎臓を提供され、2家族に明るい生活を取り戻せて
幸せだと。


こんな悲しい、こんな立派な母がいるでしょうか。


でもね、先生・・・

と、話しはつづきました。
「目はね、あげられませんでした」
大きな、きれいな瞳の子でしたからね、かわいそうでねと



いいですよ、それでいいですよと
それしかいえなかった私。


三越の隅のベンチで1時間近くお話をお聞きしました。


交通事故の悲惨さと加害者の不誠実、判決への不満
家族のあり方、
そして命のあり方、


あまりあるお話をお聞きしました。



また生命科学の授業が始まります。
命ってなんでしょうか。



お嬢様を亡くされ、
ご自身も退職されて
今は少しでも世の中の役にたちたいと
ボランティアをなさったり
募金をしたりと
生活が変わったとのこと。


それまで
自分のことだけ考えていたと
涙を抑えていらした。


臓器提供したことでお嬢様は
社会に貢献できたとおっしゃる。


立派です。


老いるということを考える機会の多い昨今でしたが
また方向と深さが変わりそうです。


考えなきゃ、ね。


必ず老いるし、必ず命は終わるのですから。


そして
書いておきましょう。
この美しく聡明なお嬢様を奪った犯人は3年の求刑で
実際は1年ちょっとで出所。これが現実だとのこと。
被害者の会の声がもっともっと大きくなること
祈ります。
そして暴走運転、飲酒運転が絶対に許されない世の中であること
祈るばかりです。


そんな日曜日でした。

さてこおろぎはどこでどう役に立つ人間でしょうか。
小さい存在すぎます。
うなだれています。
どうして野球、「侍ニッポン」なんていうのかしら、
なんで侍なの?とか
某社の生キャラメル、手作りなのに
どうやって一日に何十万個もつくれるのかとか
そんなことに腹を立ててる程度のこおろぎ、
うなだるしかありません・・・。

少しでも誰かの役に、しっかり立てるよう
「形」作っていきたいと心から思った日曜日でした。