旅するこおろぎ

madam-cricket2008-11-30


前回の日記、5分で書き終わるには理由がありました。
書いてパソコン閉じてその2分後にはこおろぎ、タクシーに乗っていたのでした。


そう考えてみると
こおろぎは
周囲が想像するよりはずっとけたたましい生活をしているのかもしれません。


リキマルのママの飼い主のママであるマダムY子さんが
「センセー、今日はちゃんとハイヒール右左、同じ色?」と
時々おっしゃるのですが、
そうご心配いただくほど、バタバタの生活ではあります。


でもしかし、
24時間ずーっとそうなのではなく
お尻と背中に根が生えたのではないかと思うほど
どっしりとソファーに沈み込んでたり、
揺すっても叩いても目を覚まさないひどい昼寝があったり
うたた寝してたり、
要するにだらしなさも満載。
ただ、そこんとこは人目につかないので
センセー、大丈夫?とご心配いただいてるわけです。




で、
今回はママの入院以来初めての2泊3日の旅でした。
内容が深すぎる旅でした。


写真はこおろぎの最終学歴となった
M女子大学の生活美学研究所がある建物。
昭和5年フランク・ロイド・ライトの設計です。
ライトといえば、旧帝国ホテルの設計者。
この建物は帝国ホテルと酷似しています。
かつて関西の社交場として多くの文化人が集った建物です。
大きな写真はホールの天井。見てください、この芸術性。
このホテルを買い取ってしまったM女子大の財力もさることながら
この古い格式ある建物で学んじゃったこおろぎも
幸せ者であります・・
たとえそれが荊(イバラ)と野荊(ノイバラ)と
サボテンと剣山の道であったとしてもです、
とにかくこの環境で6年半、こおろぎは
生活美学ってなんだろーかなーと
考えたということです。



その母校のシンポジウムにちょっと参加。
恩師に再会。
短い時間に古い本を物色してコピー。
難しいシンポジウムを途中で失礼して
新幹線に飛び乗らなければならなかったのは
こおろぎの宿命ではありますが、
すばらしい時間をすごしました。


日本文化は関西に生まれ、関西以西に生きていると痛感するばかりの
二日間でした。



旅の間、民俗学系の本やら資料を読んだのですが
(偉い、やっと頭使い始めたっ!)
日本は広いわ。

中国のU先生との共同調査を開始して
中国と一口に言っても
あまりの広さにすぐに壁にぶち当たり、
とりあえず「北京」に絞ろうと決めたのですが
日本は狭いからね・・・などとタカをくくってたら、
あらあらあらあらあらっ、
関西エリアの中でも、
道一本はさんで風習、慣習が違う。
まして九州、中国地方、関西、そして北海道となると
全くゼンゼンすっかり完全に
衣食住違うわけです。
困ったっ。



そしてつくづくと
今の、今現在の私たちの冠婚葬祭やら年中行事やら
マナーやら、
これらのほとんどが
つい最近生まれた、というか
提案されたものだということをまたまた確信。
昭和の、戦前の
ほんのちょっと前までは
日本は貧しかったかもしれないけれど
煩雑なしきたりにしばられつつも
とても豊かだったんじゃないでしょうか。


しきたりというのは「縛り」でもあるわけです。
面倒で億劫で、やっかいなものです。
しかし、そんな人間関係、
北海道生まれのこおろぎは知らないのに
いろいろ読んでいると
妙に「懐かしい」のです。
人の声が聞こえ、ざわめきが聞え、
喜怒哀楽がなまなましくみえてくるのです。
どうやら、文化といのは
その生生しさを背景に生まれ、育つものらしいです。



かつてはやっぱり重陽節句が祝われており、
もっともっとたくさんの節句があり、
3、7、9という数字にまつわる昔の人たちの
こだわりなど、
本当にワクワクするばかり。


こおろぎ、今度生まれてくるときは
きっと人間に生まれてきて・・・
ま、とにかく人間に生まれてきて
民俗学とか文化人類学を早くから志そうと思います。



こんなにも学ぶことがあるのですから
「あんなこと」や「こんなこと」に腹を立てたり
憤って血圧上げるのはもったいない。
心穏やかに勉強しよう・・・・




と思ってたこおろぎの前の席のアホガキっ!
あのさー、子供の笑い声って、ちょっとだけ聞くのは
かわいいさ。
だけどさー、アンタんちのアホガキの
その馬鹿デカイキャッキャって声はさ、
全日空的に猛烈にご迷惑なわけよっ!
いやー、頭にきました。
2歳ほどのアホガキが今回、こおろぎの逆鱗に触れました。
いや、正しくはこのアホガキの両親が逆鱗に触れました。
母親はO茶の水女子大理学部数学科、父親は2浪して
一橋大です。
絶対にそうです。そういうお顔でした。
二人ともご両親は公務員のご家庭でしっかり育ったのです。
かなり美形のお二人です。
学生時代の演劇研究会のコンパで知り合ったのです。
演劇研究会と言っても
かつてアホこおろぎが心惹かれた赤テントとか黒テントとかいう
怪しい演劇ではなく、
歌舞伎です。
そういう二人なのに
すっかり心の冷えた夫婦になり、
そこに生まれたアホガキが大騒ぎしてるのに
二人はひとことも注意せず、二人にも会話はなく、
ああ、日本の未来はどうなるの・・

このアホガキを捕獲するのは簡単だったのですが、
全日空機は札幌に向かっており、
もしかしたら「あの人、みたことある・・」という
予期せぬ視線があったら、きっとどこかにご迷惑がかかるかと
大人らしいブレーキがかかって
こおろぎ、精一杯、このアホガキをにらむだけで
諦めました。


ま、この冷えた夫婦、プライドだけは高いので
離婚もせず、タンタンと年をとるのです。
そしてふたりとも、自分たちの息子は
絶対に一橋か東大に入ると信じているのでしょうが、
入んないもんねーっ
あと12年くらいたったら、
「おやじー、オレ、ミュージシャンになるから」
と言って、髪を真っ赤に染めて教科書捨てるに決まってます。
「マジおふくろ、ウぜーんだよっ」と
O茶の水女子大学理学部数学科を優秀な成績で卒業したママは
吐きすてられるのです。



そうでも思うことで
怒りを抑えて
日本人がなぜ大安だの仏滅だのに振り回されるに至ったか、
なんて本をよんだ立派なこおろぎでした。
ブラームス交響曲もいい塩梅にアホガキの声を消してくれました。


中身の深い旅の話を書く予定が
アホガキの話で反省。


人間が小さいです、私、やっぱり。


また日を改めて書くことにします。
へんだなー、格調高い報告日記を書く予定だったのになあ・・・


追申:こおろぎはO茶の水女子大学に
何の恨みもありません。
その女子大学を出たこおろぎの友人知人は
みな大変立派な人生を
歩いておられます。その配偶者も
なぜかT大とか一橋とかばかりで
みなさんご立派で、そのお子様たちも
大変ご立派なお坊ちゃま、お嬢様ばかりです。
今日、遭遇した二人のお話です。ホントです。
どうしてこんな追申を書かなければならなくなったのでしょうか。



もしかしたら、ですが
こおろぎ、疲れてるのかもしれません・・・・。
反省するばかりです。