無口な夜

madam-cricket2008-07-03



無口な夜もあります。
さすがのこおろぎも無口になる夜があるのです。

なにがどうした・・というのでもないのですが


ふっと力が抜けて。


きれいだった薔薇たちを思い出しているわけです。


今日も片道5時間、大学滞在3時間という荒業。
ホームセンターやドラッグストアが食生活に関わってきた現状について、
フードコーディネートにおける料理と環境の関係についてなど
声を枯らして力説して


大急ぎでJRに飛び乗り、
DNAの本よみながら
薔薇のデザインや教室の今後を考えて

JR降りたらデパートに直行。お弁当やら何やら買って
帰宅。ビールのみながらあれこれやっていたら
今。



DNAの構造が明らかになるプロセスは実におもしろく
でもそれよりおもしろいのは、その研究競争の人間関係なわけで
そんな脇道の話を読んでいたら



こおろぎにもあった大昔のいろんなストーリーが
いろいろ思い出されて
ちょっと胸が苦しくなったてきました。


今夜ちょっと無口なのはそのせいかもしれない。



人間は意地が悪い。
いや意地の悪い人もどっさりいます。


若かったこおろぎは無礼千万、とんでもなくダメな学生だったと思う。
だけどその前途をシャットアウトする権利をいったい誰が持っていたのだろうか。
何年たっても癒えない痛みがある。
今もお腹に力を入れていなければ号泣したいほど
悔しい。イイトシをしてなお、悔しい。




エコール・ド・フルールを作った1985年の秋、
こおろぎの家に5分おきに嫌がらせの電話をかけ続けた人がいる。
正しくは人たちがいる。5分おきに7時間くらい続けてかけ続けたグループがある。
連日だった。たぶん花と料理の関係者だと思う。
顔がわからない。複数の人たちが時間差攻撃という努力型の戦略だったのだろう。
こおろぎなどつぶしたところで何もメリットなどなかっただろうにね。


彼らは私をたたいておもしろかったのだろうか。
あのとき、連日みんなで叩いたこおろぎが、今、こうして
大学で教えながら、ずっと教室を守り続けていることをどう見ているだろうか。
時々ラジオで喋り、テレビで笑っている、あの憎らしいこおろぎを
どう思っているのだろうか。
今ごろみなさんどこでどうしているのでしょうか・・・・。




夢あふれていたこおろぎを大学から追い出したあの先生は
もう北大にいない。退官した。
一匹のこおろぎを追い出しても何も変わらないのに
心の小さい奴だった。こおろぎが北大に残したのは
その名のとおり、何万匹もの「こおろぎ」である。
こおろぎが運んだ「こおろぎ」は今は札幌医大でもその子孫が育っているという。
それだけでいいか・・・
いや、心が小さいのはこおろぎも同じ。こおろぎは彼を未だに許せない。
許せないとこおろぎが歯軋りしても彼は学者人生を全うした。
こおろぎの歯軋り、砂漠の砂よ。




どの世界にも競争があり、野心もあり、人を出し抜いてでも蹴落としてでも
前に進む人がいる。


こおろぎは叩かれる側でいいとあの日思った。
大学では負けた。
だから絶対に教室は守る。
何があっても
私が夢見て作った教室は守る。


それが1985年の秋のことだった。
どうしてだろう

短大の講義のあと
DNAに躍起になった若い科学者たちの本を読んでいて
悲しくてならなくなった。


こおろぎ、ホルモンのバランスくずしてるのでしょうか。
それとも疲れでしょうか。


いえいえ、美味しいワインですぐに元気になろうというものです。


若い人たちに告ぐ。
進みなさいね。まっすぐ進みなさいね。


若くない人に告ぐ。
若い人たちを応援しましょう。
もっと若くない人たちに優しくしましょう。



そしてどんなときも
自分を1番大事にしましょう。

着るということにこおろぎがこだわるのは
そのことは結局
自分を直視して愛しむことだからです。


あら、ぜんぜん無口じゃないわね。
あら恥ずかしい、むしろ饒舌。
こんな夜もあるわけです。
イキモノなもんですから・・・

今回の薔薇は「イルゼ」
昨日のブログの大きい方のバラは「アンティークレース」
黄色い薔薇は「ニンケ」
今こおろぎ的イチオシの可憐な薔薇たちです。