あきらめるかそれともあきらめるのあきらめるか

madam-cricket2007-12-26


16日にクリスマスパーティーがあった。Kちゃんに荷物を運んでもらって、ドーンと玄関に下ろして、そのままこおろぎは取材。取材のあとはそのまま仕事。仕事のあとはそのまま何か。何かのあとはそのまま何かの何か・・・で、
本日26日まで玄関はそのままでした。
この10日間に、いろんなお届けモノがあって、玄関はどんどんスペースがなくなり、ほとんど人が通れないほどになりました。どこまでふさがるか試そうと思うほどでした。が、しかし、これはもったいないお話で、風邪気味の今日、大いに反省してちょっとだけ片付けました。本当に、本当に、こおろぎの仕事は準備と片付けに追われる仕事です。


先日東京のパーティーのとき、帝国ホテルにはダニエルオストの大きな作品が並んでいました。
京都、東寺などを飾る天才デザイナーです。写真は本館の地下。緻密なときめく作品でした。でもタワーの方の一階はまだ完成してなかった・・・。
残念。


キキとホテルの駐車場を歩いていると、向こうから大きなのこぎりを持った異国の男性が歩いてきました。何気なくすれ違ったのですが、たぶん、あれがダニエルオストさんだと思ったこおろぎ。でも、キキは興味がないはずだし、作品は未完成なんだから
もういいや・・・と思っていたら

「今の、ダニエルオストさんじゃない?」とキキ。
「たぶん」
「じゃなきゃ、帝国ホテルの中をのこぎり持って歩いてちゃ、つかまるでしょ」
「そうね」
「そうね、じゃないよ、行こう、行ってみよう!」とキキ。


彼女は久しぶりの東京、寸暇を惜しんで行きたいところがあったので、
彼の作品がないから見なくてもいいと答えたら
「今行けば、製作過程が見られるじゃないの!」と歩き出したキキでした。


びっくりです。こおろぎの興味が小さいことが意外だったらしく、憤慨して、
いいチャンスだから行こうよと、目をキラキラさせて歩き始めたのです。

そう?それなら、行こう!


のこぎりオストさんを追って、別館の入り口にもどったのでした。


そこには大きな器に向って考え込むダニエルオストさんがいました。
日本人のアシスタントの青年が二人。


時間もなかったのですけれど、こおろぎ、こうなればズーズーしい。
写真を撮ってもいいかと話しかけてみました。
ファンであること、自分も花の仕事をしていること、楽しみにしていたことなど
を伝えると、アシスタントも一緒に撮ってほしいと微笑まれました。
予定が狂ってかなり慌てているといいながら、手を休めて何度も笑顔で写真に納まってくださった。
大物はやっぱり違います。


しばしキキと手元を見せていただいて、帰るとき、
来年はバカンスに北海道に行くよ、と笑顔で手を振ってくださいました。
気をつけてお帰りなさい!と彼に見送られたキキとこおろぎでした。


なんだったのでしょうか。あの時間。寒い中、手を真っ赤にして、それでも一本の枝にも妥協せず向っていらした背中は、久しぶりにこおろぎ大感動させてくれました。
そして、キキ。彼女がもどろう、のこぎりオストさんを追ってみよう、といわなければ得られない時間でした。


欲しいものはちゃんと欲しいと言ってみること。
努力してみること。
それに尽きるということです。

ま、いいか・・・
あれがダニエルオストさんか・・・とすれ違っただけでよかったのに


寒空にあの時間を得ることができた、キキの優しさと好奇心が
こおろぎには大きな力となりました。


弟子を思いやりながら、それでも妥協しない作家の姿は感動的でした。


あとからキキに、ありがとね、と言うと、
彼女は彼女で、3日間母とすごして、
どうやって人と出会い、どうやって楽しくすごすかを学んだと言ってました。
そういえばその2日前は脳科学者のMk一郎さんの名刺をゲットしたし、
某ホテルでも何かの約束したみたいだし・・・
母のヒラメキの瞬間が彼女なりにおもしろかったようです。
でも、ダニエルさんとの時間は、まちがいなくキキが母に贈ってくれた時間でした。


さて、そういうわけで
やっと片付けがスタートしたこおろぎんちですが、
許容量に限りがあるのに
あふれているモノたちをどうするか。
おヨネが朝から悲鳴をあげ、怒鳴りながら働いています。
ダニエルオストの緻密な作品を論じていてはスリッパで頭たたかれそう。


働いたらまた書いていいとおヨネが言うので、
がんばって働いてきます・・・。