感動のウエディング その3

madam-cricket2007-11-13


40歳を過ぎて大学院に入りなおしたこおろぎは
テーマを何度か変えながら、結局はセルフディスプレイーとしての衣装、という
博士論文を書いた。その流れで現代の結婚式の装飾についていくつか論文を書いた。
今私たちが当たり前だと思っている披露宴の装飾はごく最近のデザインであり、
わが国特有のものであることはあまり知られていないだろう。
キャンドルサービスもメモリアルキャンドルも、である。


長く婚礼の調査をしていないが、たぶん来年あたり、また調査して
ちょっと真面目にまとめようと思っている。


今回の披露宴は帝国ホテル大阪だった。
披露宴会場に入るなり、その華やかな花にこおろぎは嬉しくなった。
これよ、これ!


装飾花は赤と白、ときけば、今風ではないと思う向きが多いと思う。
もしこおろぎが相談されたら
白を基調に、とか白ベースにドレスに合わせてた花を濃淡で加えて・・
というのが最近の主流なので、そんな風に答えると思う。


ああだけど、この赤と白の装飾は実に凛として
重厚で、豪華で、気品があった。
こおろぎが大好きなエレンダニカの流れるラインを加えていることにも
感動した。


これをベテランの花という。
これを老舗の選択という。


流行を追って、妙にさみしい花に仕上げてしまったり、
新しさや、奇をてらって
とんでもなく邪魔な花や、
料理や衣装の邪魔になる花を最近見かけて残念に思っていた。


花は誰のために飾るのか。
断じて、デザイナーのためではない。
花屋の満足のためではさらさらない。
集う人のためである。


活ける人間の主張が強くていい場面と
そうではない場面の区別をしっかりしたい。


一輪一輪が凛と咲いているから
色がきれいだからいい装飾ができるというものではない。
作業としては単純な
いつもと同じ形でいつもと同じバランスでも
丁寧さは必ず伝わる。


こおろぎは昔から職人さんに憧れてきた。
以前家を建てたとき、飽きず眺めていて大工さんに嫌がられたことがある。
板前さんの手元を長時間眺めていて怒鳴られたことも何度もある。
すばらしい左官屋さんをテレビで見たときは
弟子にしてください・・と思わず手紙を書きそうになった。
同じ工程をしっかり続けることが
必ず力になる。
そしてオリジナルも、そのパターン化の修業から生まれる。
ゼロからオリジナルや個性など絶対に生まれない。


赤と白の「凄さ」に敬服。
日本の配色に敬服。
そしてこの花を選んだご両家の品格に敬服したこおろぎでした・・・。