おむすびの感動

NHKの「きょうの料理」のコンテスト決勝?をたまたま観た。
3部門の最終審査に残った各3名のお料理はどれも素敵だった。
だが、愛情弁当の部門には、思わず釘付けになってしまった。
「ママ!テレビ観て!」とわが家の筆頭主婦、83歳のママに叫んだこおろぎ。
だって、84歳の主婦が登場していたのだ。


ご自身がお茶のお稽古に出る時、お元気なご主人に作るお弁当の美しいこと!
そして心遣いのこまやかさ。
シュウマイは歯の悪いご主人様のために、豚肉と鶏肉のひき肉を混ぜる。
ゴボウ、人参などの野菜は小さめの乱切りにして素揚げしてから煮浸し。
きわめつけはおむすび。海苔って噛み切れないときがある。
歯が悪ければなおのこと。
海苔を細かく切ってまぶすという知恵。
盛り付けも器も本当に品があって、とにかく感動的だったのだ。
案の定、講評で、諸先生、胸が熱くなったとか泣けたとか・・・。
もちろん優勝だった。


こおろぎのママも、娘とその家族の御飯を3食作ってくれている。
こおろぎは気が向いたときとお仕事のとき、家族のリクエストがあるとき、普通以上の量とスピードで作るだけ。
でもこの優勝された女性は、84歳でご主人のために毎日、
丁寧で美しいお弁当や日々のお食事を作っていらっしゃる。頭が下がった。
とにかく小さく切った海苔をまぶした小ぶりのおむすびが最高だった。



こおろぎが作るおむすびも、いろんなつくだ煮をご飯に混ぜ込んで、中に何も入れない。だけど海苔はペタっと貼る。
愛情が生んだ発想。城戸崎愛先生も言葉を詰まらせていらした。



ふと、亡くなったカブトムシのママのお料理を思い出した。
料理研究家だったとはいえ、彼女のシュウマイは最高だった。
レシピはあるがなかなか再現できない。
先日書斎を片付けていたら、カブトのママが、辻クッキングスクール札幌校の校長になる前に主催していたデザインクック料理研究所とデザインクッキングスクールの
便箋や書類がどっさりでてきた。
今から40年以上前に、料理をデザインする、という発想を持っていたこと、実践していたこと、マンションを2軒つなげて買って、引き戸の玄関にして水を引いて庭造って、お茶室作って懐石とパーティー料理をすべて教えていた、というすごさ。
本当に残念だが、こおろぎには料理に集中している時間はないが、なんとか丁寧にその足跡をたどって形にして伝えていきたい。


話すっかり変わって
亀田さんちの坊やたちは、あーいう日本語を話す坊やたちなのだ。
あのな、ほんでな、そーやしな・・って、確かにそういう大阪の言葉はある。
さんまさんの番組で話題になった5歳くらいの天才ギタリストの龍之介くんだってそうだ。その生意気でおとなびた口調が大うけなのだ。
そしてそのさんまさんとて、トーク番組ではその手の大阪言葉なわけで
亀田さんちの坊やたちの「な」だけが気になるのはなぜだろうか。


そういえば、さんまさんと長沢まさみさんが主演の日曜劇場、観るに忍びない。
長沢まさみさんはいい。今回はとても美しい。だけど、さんまさんが大俳優市村正親氏と並ぶのは無理でしょ。さんまさんは俳優としては男女7人・・・・が最初で最後のドラマにすべきだった。
脚本も演出もとんでもないため、なおいっそう、
市村さんだけがキラキラ光ってしまう・・・何十年も市村さんの大ファンのこおろぎは
嬉しいけれど、さんまさんの声の騒々しさと全カット同じ表情しているのも情けなく、つらい。
と、またドラマ観てるんですか?!と事務局長と管理人諸氏にしかられそう。いいえ、たまたま通りすがりに見て愕然としたのでした・・・というにはしっかり感想のべてるでしょ、すみません。
人間は旬ってのがあるのよね。竹の子と同じ。学びました、私。



何が言いたいかというと、亀田さんちの坊やの日本語も、
真意を測り知れないオザワさんの怖い顔も、
どうなっちゃったんだかどうでもよくなった朝ショウリュウも、
ボクシングで取材攻勢からのがれた時津風部屋
今のこおろぎには、そんなのカンケーネー状態になった。


食べる、ということは命を預かる作業。
ありがたい作業である。
家族を含め、いったい大事な人たちと、これから何度食事をごいっしょできるのだろうか。
優勝された84歳の主婦のご主人様は
「ボクより絶対に先に逝かないでほしいですよ」と笑っていらした。
本当に素敵だった。


今日の写真は、時計台裏の北地蔵。こおろぎが学生時代から通う店。
昨日、十数年ぶりに会った摂子ちゃんと、キキと遅いお昼をした。
サラダはすべて温野菜。焼きたてのクロワッサンの味は30年変わらない。
砥部焼きの珈琲カップも古い三平皿も同じ。
この店はこおろぎの今の仕事の原点のひとつであることは間違いない。