ジェームズの珈琲

素敵な袋モノ作家の個展のご案内が東京から届いた。
札幌の生徒さんのお友達で、彼女の作品をこおろぎは2点持っているが、
どちらも、どなたの作品かといつも聞かれる。合成皮革やさまざまな柄の布を使った作品は、こおろぎが得意としてないパッチワークとは全く異なる現代アートの域。
完成度が高すぎる。
その個展のご案内。年に一度。見ればぽっかり予定のない火曜日。ジャー行こう!
と、早起きして飛行機で出かけた。日帰り。目白ギャラリーには11時オープンと同時に私のような熱烈なファンが溢れていて仰天した。若く美しいセレブママたちが身動きできないほど押し寄せていた。さすがです・・・・



こおろぎやっとの思いで新作2品ゲット。まさにゲットであった。手を離すとお上品なのに強引な美しく若いママたちに奪われる。それほどの争奪戦だった。
そしてメールではお付き合いがあったが、初めてお会いした作家のあまりの美しさとお人柄にこおろぎは大感激。
世の中には才能にも人格にも美しさにも恵まれた人というのがいらっしゃるものだわね・・・、そうよそうよ、天は不平等なのよ・・・・


とうなだれてたけれど、ギャラリーのオーナーさんにお会いして、
すっかり意気投合。単純なのですぐに立ち直ったこおろぎ。
近くこおろぎファミリーも、最近はいろんなロケで使われているおしゃれなギャラリーでパーティーセミナー開講かも。乞うご期待。



都内を大急ぎで移動しているといろんな人を見かける。
山の手線で隣に座ったジェームスったら、
スタバの珈琲をズーズー音をたてすする。もう、本当に不快な音。日本人のお蕎麦やパスタをすする音は西洋人にはとても不快なのだと言う。
だから西洋人はそんな音たてないもんだとなぜか思ってたのに、ジェームスったら、たかが珈琲でなぜそんな音たてるのかしら・・・
五反田から池袋までうるさいったらなかった。ちょっとずつすするので本当に不快だった。
ハイヒール脱いで踵で頭たたきそうになったわ・・・。

だけど池袋近くで納得。ジェームスの携帯が鳴った。そもそもデッカイ音が鳴るところが中小企業の下請け会社の社長風でしょ、その上、ジェームスったらその電話に出た。
「モシモーシっ、ア、ドーモドーモー」だって。
びっくりしたナー、完全に社員二人の「何とか商会」の社長風でしょ。
彼はいつのまにかすっかりだめな日本のオヤジになったんでしょうね・・・。
いったいどのくらい日本にいるのかなーと、その軽薄な電話の出方聴いて切なくなった。世の中、駄々こねてる政治家で騒いでるけど、モーそんなのカンケーないこおろぎは、ジェームズの珈琲の飲み方の方がずっとおもしろく、哀しかった。


それにしてもですわ・・・彼の名前がジェームスである確率はほとんどゼロに等しいけれど、ホント、ジェームスってお顔でした。


クリスマスのパーティーセミナーを予定しているホテルに足を伸ばして個室の下見して、エコール・ド・フルールを支えてくれている強い味方の幹事長と
会談。彼に背中を押されて元気百倍。



大急ぎで18時の飛行機で飛び帰ってきたら、
玄関でコロ介がにやっと笑って迎えてくれた。
「あのサー、今日、高校受験の父母説明会だったよっー」
「うっそーっ!」
「忘れた?」
「はい・・・」
「お母さんたちいっぱい来てたよっ」
「スミマセン・・・」
「ま、ショーがないよ、忘れちゃったんだから・・」
「どうして時間あいてるんだろーなーとは思ったんですけど・・」
「でしょ?」
「はい・・・スミマセン・・・」



と謝ってはみたけれど、高校受験の説明会ってなんだ?
説明されたって、入れそうなところを
本人が考えて受けるのが受験じゃろーが。
親が説明されたったてしょうがないよね。
と、コロ介に言ったら、彼女も「そのとーり」と同意。
じゃ、問題ないね。

「でも先生におかあさんは?って聞かれたから
東京に日帰りで行ったらしい・・って言っといた」だってさ。
これでまた、教育不熱心な親だと思われたかも。
ま、その通りだからいいか。


受験は彼女のものだ。
母は母で受験どころじゃない世界で生きている。
こっちの方が大変なんだから。
若いってだけで勇気も体力も百倍なんだから強く生きていきなさいね!


というわけでこおろぎは12時間を飛び回ってなお元気。
ジンマシンにドキドキしながら無事。



辞意撤回した政治家に対して、石原慎太郎氏のコメントにこおろぎは唸った。
氏曰く、「ギュンター グラスのブリキの太鼓だね・・」だって。
この政治家の騒ぎに「ブリキの太鼓」を比喩に持ち出す大人がいたことに乾杯!
石原氏にも敵は多いけど、この深い教養に勝てるもんなら勝ってみたらいい。



毒にも薬にもならないジェームスの情景が、なぜか今の日本の1つの形に見えたこおろぎです。病む国日本、アホな政治家の群れに絶望感すらなく、
こんなことに時間をとられている間に、ジェームスのような似非日本人が力をつけていくのよ。子供たちは大人に呆れ、高齢者も絶望し・・、ああうんざりだわ!


ジェームズのモシモーシっていう声が耳に残ってしまった。
彼は働きものに違いないと私、確信したのでした。



写真はこおろぎの家の近くの教会。美しい秋なのにね・・・