涙の理由


写真を探していて見つけた一枚。若い日旅先で買ったステンレスのデミタスカップ。思い出の多い器ばかりで処分ができない。


大学の試験が終わった。
答案用とレポートなど500枚ほど。
ノート320冊点検。
お盆前までに評価するなんて不可能に思える。
記述式を読むのは至難の業。修行修練試練鍛錬の日々が始まる。


昨日のテレビHTBイチオシ、後半の特集は乳児院の現状。ちょっと重い話題なのでメインキャスターだけのコメントになるので、荒井さんはノーコメントでよいとのことだった。したがって事前にVTRも観なかった。



生後1週間で10代の母親が育児放棄。父親もわからない2600グラムの赤ちゃんが運ばれる。
全身あざだらけの赤ちゃんや、強度の揺さぶりで失明して運ばれた赤ちゃんもいた。
言葉もままならないのに、乳児院の課長さんを「かちょお」と呼ぶ。面会にくる親は1割もいないとのこと。親が来ても顔を知らないので泣き出すという。退職なさる職員をヨチヨチ歩きで追いかけ、泣き叫ぶ赤ちゃんたちを見ていたら涙が溢れてとまらなくなった。


いつどこで「おかあさん」という言葉を知るのだろうか。どうして自分には初めから親がいないのだろうか、そのことをいつどこで知るのだろうか。


特集の作り方もよかった。淡々と事実だけを追うカメラと冷静なナレーション、現実の厳しさを伝えるに充分だった。


どんなドラマより胸を打つ、生涯忘れられないような場面がいくつもあった。
それにしてもこおろぎの涙は止まらなく、でも、今回は画面にも出ず、コメントもないとのことだったのでCMで顔を直そうと思った瞬間、敏腕ディレクターと目が合った。
キラリと光ったその眼。後から別の筋から聞くと、こおろぎがツボにはまって涙している段階で流れは変わったらしい。予定通りヒロ福地さん、重厚なコメントのあと、突然、涙拭いてるこおろぎに


「荒井さん、いかがですか?」


えっ?



声も出ない。そもそも泣く予定がないからハンカチもない。隣の小野塚さんとの間にあるティッシュペーパーで涙ふくというだらしなさ。しかも昨日は真っ黒のジャケットだったので爪はいまどき珍しい真っ赤。どうみてもひどい画面。
逃げることもできず、何て答えたかなあ・・・・、なんとか幸せに頑張って生きていってほしい、というようなことをやっと言ったと思う。




試験期間ゆえ、学生がみんな見てたかも。鬼の荒井の眼に涙。どんなに喜んだだろうか。くく、く、悔しい・・・・わ。



でも悲しすぎる特集だった。けして泣かせようと思って作った特集ではなく、事実だけだった。そのことが重い。小さい手足、必死に親にしがみつく時代の赤ん坊をどうして放置できるのか。どうして虐待できるのか。今書いていても涙がでる。


いまさら流れてしまった放送を消すことができない。
メイベリンの新しいマスカラが全部取れてひどいパンダ顔になってはいなかったか。もう情けない・・・。そうだ家のビデオで確認しよう・・・と思ってまたがっくり。親がテレビに出る時って誰かビデオ撮らないもんだろうか。甘い甘い。こおろぎの家の場合、そういうメンタリティーはない。テレビに出ようが新聞に載ろうが誰も記録しないし目もくれない。無関心。
家に帰り、確認したらやっぱり合宿にでかけたコロ介はお好みの番組の予約だけ。
こおろぎのママに聞いたら、「かわいそうな赤ちゃんは見たけど、そのあとすぐ歯医者さんに行っちゃったのよ、あらあ、みっちゃん、テレビで泣いたの?あっはっはっ!いつも強い三津子ちゃんが泣いたらみんな喜んだかもね!」だとさ。恐るべきこおろぎのママ、83歳。娘のテレビくらい観なさいよね・・・。


午前3時まで原稿を書いたけど、そちらにも幼児虐待のことを書いてしまった。
悲しい。どうしたものだろうか。教育である。子育てを放棄する親を育てた親の世代の責任だと私は思う。



真夜中、おもしろいお料理番組を見た。こおろぎ御用達ナンバーワンの100円アイス、スーパーカップをどうアレンジするか、とう内容で3人のシェフが腕を競った。
寝ぼけながらパソコンに向かっていたこおろぎ、半分眠ってたのにプロ根性でメモだけ残っている。
  ?アボカド+マヨネーズ+マスタード+アイスクリーム+オリーブオイル
  ?熱した生クリーム+生姜+板ゼラチン+黒蜜⇒アイスクリーム
  ?コーンスープ+インスタントコーヒー⇒アイスクリーム+胡麻油+雷おこし

どうなの、この3種類。記憶をたどって再現して、改良してお教室でご紹介できれば嬉しいけれど。



泣き虫こおろぎ、心がちょいときれいになってしまったこおろぎ、
この夏をどう乗り切るか。

教訓その1 いつどこでツボにハマッテ泣くことになるかわからないので必ずスワトウの3万円のハンカチを握り締めて仕事すること。
教訓その2 マスカラは必ずウオータープルーフであることを確かめること。
教訓その3 敏腕テレビマンの言うことは信じてはいけないということ。


なぜか台風に直撃された気分のこおろぎである・・・・。