今日のこおろぎ


心優しく暮らそうと決めた月曜日、朝から採点。学生さん・・・書ける子と書けない子の差があまりに大きくて絶句。レポートの採点はつらい。


お昼はキキとランチ。キキ、一人暮らし開始決定。今回もかあさん一人が決定権。
カブトムシに相談したら、彼はNOと言うに決まってるものね。そもそもわが家から大学まで歩いて15分以内。自転車で5分かも。出席とってすぐ帰ってきて一眠りしてまた出席だけとりにいく生活ができる距離。もっと近くに住みたいって、どんなわがまま?でもそこんとこを納得した私も立派。とはいえ、一ヶ月前、一人暮らしをOKした夜はソファーでうたた寝しているキキをみていたら涙がとまらなくなったけど・・ネ。


キキと私はちょっと豪快で壮絶なひとつの時代を手をつないで乗り切った戦友。
次女コロ介との母娘関係とはちょっと違う気がしている。ケンケンを拾ってきて、最期を看取ったのもキキと私だった。自分のことを棚にあげて、世間に厳しいところもそっくり。そのキキが大人になる応援をするのは戦友なら当然。キキ、カッコよく生きなさい。最近、彼女の笑顔が変わった。猛烈にかわいい笑顔になった。生まれたときからのたったひとつの財産である両頬のエクボが大きくなった。中学、高校と今ひとつ楽しくすごせなかった彼女が素晴らしい友人をどっさり得て、不細工シスターズの誇りをもちながら、それなりに素敵な笑顔が多くなった。いいぞいいぞ、不細工なりにいいぞいいぞ。天敵コロ介もちょっとさみしそう。あと何日・・なんて数えたり。



ま、とにかく彼女は大学の入り口から300歩(数えたのよ、私)の、それはそれはかわいいデザイナーズマンションに引っ越す。狭い1部屋。資金は奨学金。ゆえに文句は言えない。手続き終えてランチ。それがめざしたカフェがなんと3軒とも定休日。ちょいと遠いレストランに電話したら満席。4軒にふられて、さらに2軒のぞいて却下。不幸をうらんでどうでもいい定食屋さんに入ろうかとあきらめたとき、素敵な看板が目に入った。行ってみると最近家族で気に入っているビールカフェの姉妹店。満点の店だった。これは人生そのものよね・・・とこおろぎとキキはランチしながらシミジミ話した。あれもだめ、これもだめ、つづく不幸を恨み、迷うつらさに負けそうになり、でも諦めかけたとき、せっせと探してさえいればキラっと光るものがみつかるもんよ・・・。そうよそうよキキちゃん、あの男もだめ、この男もだめ、あいつもこいつも・・・と、裏切られたり、だまされたりしながらホントの男をみつけるのよ!母を見なさい!ああ、なんていい母親なんでしょ!でも、苦労の末、やっとみつけたのがチキンハートのカブトムシってのはどう説明しようか・・・。



キキとのランチのあと、区役所の国民年金の窓口へ行った。
説明されてわからないこと続出。どんなに説明が下手で、どんなにいらいらしても、もう温和なこおろぎになったので丁寧に質問を繰り返した。だけどやっぱり納得いかない。担当者は相当算数ができないらしく奇妙な分数式を書く。とうとう我慢できなくなったこおろぎは電卓借りて、気が着けばこおろぎが彼に、「たとえば国民年金を半年、三分の一免除してもらった場合の、受け取り金額の差」というのを説明することになった。これってかなりおかしい状況。「たとえば・・」なんていう応用問題まで。でも実に納得いかない仕組み。私は払わないと言ったのではなく、年金の説明書にある内容がわからないから質問したのだけど、とうとう数式に疲れた彼は言った。

「ですからね、荒井さん、お金に余裕ができたらでいいですから!少しでもお金ができたら払ってください。生活楽になったらちゃんと払ってくださいね!」って声がデッカイ!


見れば数人後で待っている。あああ、こおろぎの真意は理解されなかった。今日の服装だと生活苦には見えなかったかもしれない。だれがどう見てもただイチャモンつけにきた変なオバサンだと思われたことが情けない。でも今日のこおろぎは偉かった。穏やかに穏やかに頭をたれて帰ってきた。



写真は今こおりぎ一家が札幌でイチオシの和食専門店。斬新なもりつけは最高。
そうそう昨日の日記で内澤旬子さんの名前を内田じゅんこさんと書いてしまった。失敗。内澤さんである。彼女の存在感はこおろぎの大きな刺激になった。

今夜つくったジャガイモの煮物、新鮮だった。出汁とカレー粉だけでジャガイモを煮た。和風出汁とコンソメで味付け。いやあこおろぎ、やっぱり天才だわ。今月の一品にしよう。今夜はまだまだ採点。朝型に変えたつもりなのにね。


コロ介が学校の習字持ってきた。「体験学習」って書かされている。つまんない字。「焼肉定食」とか「成思吉汁」とか、「黒糖梅酒」とかのほうが字のバランスがいいのに・・・・。明日もまた大忙し。野菜料理の研究は続く・・・