極上の旅



わが愛するエコール・ド・フルール、東京丸ビルデビュー。ラビラントは満点。
家なき子のようなわが教室、全国各地でレストラン探しをしているのには理由がある。
花も料理も、どこでもつくればよいというものでは断じてない。
20代の頃、和洋の花の修行に明け暮れていた時、いつも思った。
「この花、どこに飾ろう・・」

料理修行のときも、どこで、だれと、どう・・・という想像ができる教室がほしいと思った。


時間、空間、人間、これがそろわなければならない。

自宅がある札幌でだって、こおろぎはいつも場所を探している。生徒さんたちの想像力を刺激する、
作品が映える、「暮らし」が見える空間。近く某ホテルのエグゼクティブフロアで、と考えている。
乞うご期待。


丸の内のラビラントは、ギャルソンもマネージャーさんも好意的。オアシスの水の心配も、時間配分も
頭がさがるばかり。一流の店は料理以外でも一流。
お花をやろうが、授業をしようが、応援体制。
みなさんが大満足で次回の予約も。その際、お部屋代の話題になったとき、マネージャーの言葉に感動。
「私どもはレストランですから、召し上がっていただけるだけで嬉しいです」
一流は一流。
三流五流にかぎって不要なプライドで扉を閉ざすのかもしれない。いい勉強をした。



久しぶりの東京、思い切ってママを同行。ケンケンに手がかかるようになったころから、ママも足腰痛くなり、遠出していなかった。もう3年、子供たちの食事の世話をしてくれていて、ケンケンも看てくれた。
ママにありがとうの気持ちも込めて・・・・って、生まれて初めての親孝行。こおろぎと親孝行と言う言葉は無縁だった。私がした、たったひとつの親孝行は子供を生んだことかも。それ以外、私の存在は散財でありつづける。カブトムシのパパだって「三津子さんがお嫁にくるまでは家にもお金はあったんだよ」だってさ。スミマセン。金喰い娘はそのまま金喰い嫁になりました。カブトのパパにできる親孝行は、なんとか探せばいっしょにお酒のむことかしら。


とにかく83歳のママと東京へ行った。思ってた以上にママは歩けなかった。階段だらけの家を自由に歩き、買い物もどこにでも行くけれど、旅となったら全く違う。でもなんとかホテルへ。
羽田空港から銀座までタクシーでわずか10分。驚異的。銀座に入ってから帝国ホテルまで7〜8分かかったものの、荷物もって足が心配なママといっしょなら絶対タクシー。さて料金は6000円ちょっと。
初日だから疲れるわけにはいかない。一休みして歌舞伎座へ。みのりちゃんが切符を手配してくれた。みのりちゃんのお母様がお弁当を届けてくださった。感激。
舞台はもちろん大満足。ママは60数年ぶりの歌舞伎座。ああ、ああ、ああ、ああ・・・こおろぎはころっと海老蔵様にノッカウトされましたことをここにご報告。今世紀最大の役者だわ。どんな悪いことをしようが、非情なことしでかそうが、遊ぼうがふざけようが、海老様は許されましょうよ。


そして翌日は丸の内デビュー。夜はチャーミングにして猛烈に強い社長兼編集者の友達と教室の件で会談。ママは学生時代のお友達と1日遊んだ様子。



で、3日目の今日は宝塚。こちらは中学時代の友達のチサちゃんが、貸切にもかかわらずチケットをゲット。さすが宝塚ファン歴の長いチサ。噂に高い宝塚のすっごい舞台を初めて観た。いやあ、これってなんでしょ!いいかわるいかというより、ただただすごい。


歌舞伎見て宝塚見ちゃうと、倒錯の世界で頭は大混乱。男性の女装と女性の男装。さていろんな人がいろんなこと書いているけど、雄雌研究家のこおろぎもやっぱり参入しようと思う。そして観ながらいろいろ考えた。食生活論で「芸能としての料理」という話を先週したが、実にまったく、料理は「芸能」だと痛感。
これも一歩進めよう。


帝国ホテルはやっぱり最高だった。改装したばかりの日比谷公園側の素晴らしい部屋だった。
広いバスルームも調度品も最高。
なによりママが喜んだのがサービスだった。どのホテルマンも満点以上。これを一流という。



とうわけで、歌舞伎と宝塚と帝国ホテルというすごい旅をしてしまった。
盆と正月、安寿と厨子王、リンリンランラン、ケンとメリー・・・
いろんなものがいっしょに来たみたいだったわ。ママがヘトヘトになりながら大喜びしたのが何より。
ま、ママの和服を運んだ私もご苦労サマだたけど、ママ、かっこよかったわ。



旅のお話はオイオイ。こおろぎは心に誓った。一流を観よう。一流を知ろう。一流になろう。
普段はホテルT横インで我慢してるけど、時々はやっぱり、T国ホテルに泊まろう。ちょっといい部屋に泊まろう。プールサイドで読書しよう。レ・セゾンで朝ごはんしよう。タワーでウインドウショッピングしよう。そんなご褒美をゲットできるように、せっせとよい仕事をしよう。


それにしても海老蔵様、こおごぎはイチコロですわ。ジョニーデップと並びました。
これまでこおろぎの好きなタイプは一貫性がなく角界では佐渡が嶽親方、演歌歌手なら猛烈に品の悪いYIとかNKとか。知的なところでは低い声の東大の某教授などなど、でもさきごろ映画ショコラを見て、やっぱり現役俳優の中ではジョニーデップがいいと、正統派美しい男にやっと行き着いた私の眼は、究極のいい男を見つけてしまった。それが海老蔵サマ。男も一流には一流のオーラがある。色々色々学んだ極上の旅だった。夜の歌舞伎座は比類なく美しかった。