サイコロキャラメル



昨日から函館で大忙しだった。美人マダムの友人たちに今日こそ電話しようと思ったのに、寸暇もなかった。残念。

でも夕方、最近珈琲に熱中しているこおろぎのために、Yさんが何種類も珈琲をかかえて訪ねてくださった。ビーカーと計量スプーンでせっせと入れてはのんで感動。意外なことにこおろぎは浅い煎りの某豆が気に入った。帰宅したカブトムシにも数種類ためしてもらったら、やっぱり同じのを選んだ。エコール・ド・フルールのオリジナル珈琲が生まれるかも。もう少し酸味を加え、フルーティーに、そして軽やかにブレンドしよう。MITSUCO というのも検討中。これはどっしり強い、酸味もパンチもある深い煎りのがいいとYさん。そんなイメージなのかしら・・・。



最終のJRに飛び乗った。どうして最終のJRには変なオッサンが乗ってくるのだろうか。
前回は靴下脱いでかきむしるという、無期懲役にしてほしいオヤジが斜め前に座って、こおろぎは吐き気と戦った。
今日もまた・・・・


くちゃくちゃ、音がする。うるさい。実にうるさい。こどもがグミを食べてる音。あっ、振り返ったら斜め後ろにオッサン。登山スタイルで目を固く閉じて、くちゃくちゃ何かを食べている。みると窓辺に赤いサイコロキャラメル
うそ・・・だ・・・。不思議な光景。


そのくちゃくちゃが続く。また振り返ると白いサイコロキャラメルも並んでいる。サイコロキャラメルには大きなキャラメルが2個入っている。つまりこのおっさん、4個食べたってこと?

その後も品の悪いくちゃくちゃが続く。気分が悪くなるけど、サイコロが気になって気持ち悪さを忘れた。なんと最終的に8個もサイコロが並んだ。


何が楽しくて、何が哀しくて、イナゴはサイコロキャラメルを8個、つまりキャラメルを16個食べたのだろうか。今回の登場人物はイナゴにそっくりだった。



気になる。実に気になる。でも原稿の締め切りなのでパソコンを開いて作業を開始した。こおろぎは立派だった。そうなのだ、イナゴよりこおろぎはずっと立派なのよ。

原稿のあと授業用のパワーポイント作りに熱中。あら、静かだわ・・と振り返ったら、イナゴがいない!
まずい、南千歳で逃げたに違いない!



残念残念残念。どんな歩き方するのか、目をあいたらどんな感じなのかぜひ見たかった。ああ大変、窓辺に並んでいた8個のサイコロもない。
持ち帰ったに違いない。あー、気になる。イナゴはなぜサイコロキャラメルだったのか、なぜ持ち帰ったのか・・・


こおろぎは今日、悲しいことがいくつかあった。憤って歩きながら石を3つばかり蹴っ飛ばした。ちょっと長引きそうな憤りだったのに、不思議なイナゴの観察ですっかりいやなことを忘れてしまった。

こおりぎは今夜も平和である。
イナゴのおかげだ。だけど不思議。彼はなぜ、どうして、サイコロキャラメルだったのだろうか。トシはたぶん私と同じか?
どんな仕事なのだろうか。家族は?趣味は?
いつもはすぐに「見える」のに、想像もつかない。あまりにイヒョウをついた奇行で目が曇ってしまった。

ああ、憤りも悲しみも薄れたものの、イナゴが気になって眠れない・・・・