お病気気分

生活美学研究科のクラスがあった。食卓のレイアウト図の描き方も立派。
緑の分類も立派。わが弟子たちに大満足。写真は本日のランチ。実際の感動を伝えられないのが残念。ムシカリの枝を配して、さながらアウトドア気分だった。


昨日は甲状腺の検査。問題ないでしょうけど念のため、と言う検査だったのに、かつて炎症があった痕跡発見。石灰化の跡。これで3度目の自然治癒。20代の初め、全身が腫れあがり、高熱が続いた。当時父は道東の某病院長。「奇病」の娘をあちこち連れまわしたけど、誰も診断できず。結局2週間苦しんで治癒。何年もたってから「ひどい風疹したんじゃないの?」と検査の結果判明。そうか、あれは風疹だったのか・・・。あまりにいろんな治療をしてしまい、わけがわからない症状になったんだわ。かわいそうなこおろぎでした・・・・。2度目は肺の病い。これも出産後のレントゲンで肺に炎症根治の大きな影が発見された。肺を患ってたらしい。たぶん大学時代の最後のころ。微熱がつづき、猛烈に具合がわるかったけど、それはすべて某旧帝国大学の某学部の某講師と相性がわるくて、具合が悪くなってるもんだと思って耐えた私。根性で克服してしまった。当時父はやはり呼吸器の大先生と私の症状について何度も相談してくれた。その結果、これは毛細血管の影に違いないと言う結論だったと思う。本当に具合が悪かったのだけどビタミン剤で乗り切ってしまった。だれかに感染させてたらゴメンナサイ。



父は立派な医者だった。さらに父の周辺にはもっと立派な各科の専門医がどっさりいた。にもかかわらず、ぐだぐだに不調のこおろぎの病気はいつも「たぶん大丈夫でしょう・・」と見過ごされた。これは医療ミスではない。まっくろくて元気な女の子はおよそ病気とは無縁に見えたに違いない。これは私の「色」のせいだ。父のせいではない・・・。美しい父娘愛だわ・・・。




昨日のT病院の耳鼻科。予約していても2時間待った。来た来た来た!ドアホ親子がやってきた!こおろぎのいるところに必ずドアホ親子があつまる。


今回はドアホ4代。これは実に貴重。ドアホ1代目は本日はひいばあちゃんとなる。2代目はオバアである。3代目はママ(と呼ばれてた)。4代目が1歳3ヶ月とみた。この4代目が騒ぐ騒ぐ。歩くしわめくし。それを1代目から3代目が目を細めて眺めて笑っている。何度も診察室に入り込んではだれかが連れ戻しに行く。ざっと数えて38往復はした。ガンコちゃんにそっくりの4代目を、朝青龍のお顔に小池栄子を太らせたバディーの3代目(たぶん21歳と8ヶ月)が膝にのせてくすぐって笑わせる。これがうるさい。2代目はもしかしたら、いや、確実に私より若い。ウエストゴムのジーンズがよく似合う。ぶるぶる揺れる胸とおなかは、動物奇想天外で時々とみかけるサイのおかあさんをおもいださせた。2代目はうるさい娘と孫をただただかわいいわかわいいわと見守っており、それを初代が「いやーまいったねえ、しょーがないねー」と目を細める。この初代はたぶん70代前半。彼女がいちばんおしゃれだった。きついパーマがくりくりと巻いて、しっかり外出モード。好感がもてたけど、一家の柱として娘、孫、ひ孫を管理できないからNG。会計に来ても反対側の階段で大騒ぎしているのが聞こえた。大階段で大騒ぎしていいのはスカーレットオハラだけですから!


ガンコちゃんには全く笑顔がなく、かわいげがないので、かわいい声を発してもだれも注目しない。ただうるさそうにするだけ。こおろぎは甲状腺の再検査が決まったのですっかりお病気気分で弱ってたので、今回は立ち上がれなかった。本来ならガンコちゃんをつまみあげるくらいのことをするんだけどなあ・・・・とおもっていたら、あ、ガンコちゃんがつまみ上げられてるじゃあないの。それも相当コワイお顔のオッサンにである。


キツキツくりくりの、いまどき巷にはみられないほど立派なパンチパーマ。大柄のシャツの襟をピンと立て、黒いパンツに型押しクロコダイルのベルト。バックルが昔のサムソナイトの留め金のよう。こ脇にかかえたクラッチバックが彼の生活の品格のを物語っていた。いくらガンコちゃんでも、こんなオッサンにつまみ出されて騒ぎになるに違いない。T病院も困る。知り合いが勤めているし、院長も知らないわけではない。あわてたこおろぎ、母親、祖母、曾祖母を振り返って驚いた。「あ、トーさん!」だとさ。

強面のオッサンはガンコちゃんのオジイだった。いやあ一貫性のあるファミリーだわ。この若いオジイもまた、受付の大勢の人が目に入らぬような大声。親学などいくら国が提唱しても無駄。
このファミリーは誰がなんといってもこのまま子孫繁栄を続ける。ガンコちゃんにはすぐに妹や弟が生まれる。ガンコちゃんに注がれる愛情もあと半年だ。どれほど彼女が暴挙にでても、もうだれも目を細めてみてくれない。かわいそうなガンコちゃんは、一人で強く生きていかなければならない。早く社会に出て配偶者をみつけてたぶん17歳くらいで母親になる。したがってこのファミリーの初代はあと15年でヒヒ孫をもつことになる。これは可能である。それにしてもガンコちゃん、あなたが主役でいられるのは今だけなんだわね・・・。


と、お病気気分のこおろぎは、このファミリーに激怒しつつも、すっかり心優しくなって、待合室の人たちの間をばたばた大声で走り回るガンコちゃんを見守ってT病院をあとにしたのだった。



病気は人を優しくするわ・・・と言ったら、「カーマは病気じゃないし!」とコロ介。ごもっとも。痕跡が見つかったというのは治癒したということで、来月のCT検査も用心のため。でもなあ、人間何が起こるかわからない。
このまま病気になったら大変。パジャマは上下バラバラ。ソックスも左右ちぐはぐ。どこに何があるか私もわからない。それはもう大騒ぎさ。やっぱりお掃除お掃除お掃除。身辺整理あるのみ。
身軽に生きたいわ・・・・。


たまっている仕事を片付けよう。そしてしっかり形の残る仕事をしよう。
ガンコちゃんファミリーの詳細を観察している場合じゃないわ。それでも2時間待つ間にこおろぎはしっかり本を3冊読んだ。えらいっ、こおろぎ!