旅立ち

農学部出身の私、農場でのトラクターの運転実習で塀を壊して以来、車恐怖症。免許など取るなという農場の先生の言葉を守り、こんなに移動が多いのにライセンスをとらずにきた。タクシー暮らしの方がずっと安上がりでもあった。車には全く興味もなかった。この私が、大いに気に入っていたのが古いボルボ。広島で見つけた古い型。

まだ小さかった不細工シスターズが、いくつか並んでいたボルボの中から、どうしてもあの四角い車が欲しいとカブトムシに懇願。激安でもあった。2年くらい乗れたらいいか、と思って買ったがかれこれ12年くらいかしら・・・。瀬戸大橋も渡ったし、四国も横断した。キキが中学受験のころは模擬試験のたびに家族総出で高速道路を飛ばして東広島から広島まで送っていったもんだわ。第一志望の広島大学附属中学にせっかく合格したのに抽選で落ちた日は、ボルボの中で夫婦で号泣。あまりの号泣ぶりに、当のキキさん、すっかりしらけて元気になったっけなあ・・・・。結局、辞退者がでて合格した日もまた、高速ぶっ飛ばして遊びに行ったっけなあ・・・。

北海道に帰ってきてからはケンケンを乗っけて函館ー札幌間を何度往復しただろうか。
中山峠でケンケンのおしっこタイム。よく走ってくれた。
車検を前にとうとう処分することになった。冷房もこわれ、あっちもこっちもガタガタになってしまった。それでもまだまだ走るし、とにかく美しいフォルム。もう少し乗ろうという話もあったけれど、キキちゃんそろそろ仮免。このボロ車で何かあったら大変だから何度も考えて処分することにした。

大げさだわねえ・・・たかがボロ車一台で。
でもなあ・・・家族の立派な脚だった。ぜんぜん手入れしなかったけど、美しいデザインだった。以前カブトムシが乗ってた車を広島で処分する時も夫婦でこれまたウルルン状態になってビールかけてお別れした。今回はシャンパンかけてやろう！と決めていたのに、このバカ夫婦、すっかり忘れて昨日飲んでしまった。しかたないので飲み残しの焼酎をかけてやったら、いやあ、車庫中ビンボーくさーいお酒臭。
処分は車に詳しいマミちゃんのご主人にお願いした。
結局、レッスンのあと残ってくださっていたタカギ先生とマミチャンご夫妻、私たちでミニお別れ会。全員焼酎くさくなった。臨月のマミチャン、この焼酎臭で出産早まるかもよ・・・。

それにしてもこのボロボルボの後姿の美しさ。ありがとうね。長いあいだ、こおろぎ一家のために、ありがとね。

あああ、ケンケンもいなくなった。そして今日はボロボルボもなくなった。

なにもかもいつまでもあると思うなよ！

でも春よ、春。別れだけではないわ。

たくさんたくさん出会いもあるわ。

見てよ、この美しい本日のティータイム。

新しい一週間が始まった。ホームページの工事も進んでる様子。
前進あるのみ。

明日は参観日とのこと。コロ介がやってきて「とにかく地味にしてきてよ！」と
繰り返す。
「黒いジャケットでいい？」と聞くと
「いいけど、ツタンカーメンみたいなネックレスはやめてよ！」だとさ。

だれがツタンカーメンなのよ！
「なべ敷きみたいなブローチもやめてよ！」ドキッ。

「スパンコールの９センチヒールのミュールもだめだからね！」ガクッ。
ケンケンについでボロボルボもなくした悲しい母なのに、試練は続く・・・。