嵐の夜

 札幌大嵐。こおろぎのネグラは屋根裏なので大雨の音がうるさくて寝られない。
 昨日パソコンが動かなくなった。といってもこおろぎが悪い。適当なことをやっていたらこれまでの全部のデーターが消えた。今までなら卒倒するか取り乱して泣き崩れるかだったろうがこおろぎには今強い味方がいる。天才ITマンがついている。このパソコンの師匠に早々に電話してSOS。多忙な予定を裂いて夜駆けつけてくれた。これよこれ。この迅速さ。どんなに多忙でも吹雪でも嵐でもヒョイと手を貸してくれるキャパと柔軟さ。彼はきっと孫氏を抜く・・・、ビルゲイツも抜くと思っていたらどうもそれが現実のものになりそうな気配。この秋には某新進会社のステップアップに引き抜かれたという。やっぱりね・・。パソコンを操るなど今どき小学生でも普通。だけど劇的な短時間でこちらの要求に応え、しかも理路整然と指導できる人にはかつて会ったことがなかった。代わりにやってくれる、のではだめ。彼は一方で実務をこなし、趣味で指導をしている。すばらしい能力だ。私のようなアホの相手もおもしろがってしてくれる。
 以前も書いたがピアニストであり、航空評論家でもあり、私同様のテレビファン。若いのに文化を語ってもいやみがない。とにかくI氏が来てくれたのが19時。その後2時間効率よくお勉強習って、そのまま今度は一人で真夜中まで資料作り。カブトムシが最終のJRで函館からもどり、そこに長女がお友達をつれて帰ってきたのが深夜。したがって今朝は下宿のオバサン状態。そして朝9時半からまた資料をスキャンするところからスタートして、11時半に大学に出かける直前までパワーポイント作り。25分乗るJRの中でも17枚のスライドを作った。私天才かも・・・。パソコン開いたままJRを下りてそのままタクシーに乗った。さらにそのまま教室に行くという無謀さ。つまり夕べの19時からずっと頭も手も動いている感じ。しかも半分は生命科学の進化論でもう半分が食卓美学のキレイなコーディネートの資料。ワレながらよく混乱しないと思うわ・・・。

 生命科学はおもしろい。今は生命の起源や進化論のあたり。見えない領域だからこそ実におもしろい。ラマルクという人が用不用説を唱えたのだけれど、彼ったら獲得形質の遺伝を主張した。つまり筋肉鍛えたヒトから筋肉ムキムキの子供が生まれる・・・って考え。整形美人が美人を生むわけないわね。でもラマルクはキリンの首が長い理由を考えた結果、獲得形質の遺伝を唱えた。そんなラマルクの間違いを指摘しながら色々考えるのが楽しい。生命科学の授業で貴乃花若乃花を持ち出すのもなんなんだけど、分かりやすいと思う。お相撲さんの子供がお相撲さんになるのって獲得形質の遺伝?違う違う。デブの親をもつと子供もついどっさり食べるから子デブができる。太る遺伝子ってのはあるだろうけど。運動能力そのものが遺伝するってのは、さてどうなのかしら。遺伝か学習か・・・。日高先生のご本のタイトルどおり難しい。我家のシスターズは不細工度とだらしなさは完全に遺伝したが、花には全く関心がない。当たり前だ。私が花を扱うのは私にとって花が便利だからで、血が騒ぐような熱情につきうごかされて花をデザインしているわけではない。彼女たちには彼女たちの表現手段がそのうち見つかるのだろう。だからねえ・・・政治家の2代目、3代目ってのは、親の獲得したなにかを引きずるだけ・・。

 ケンケンは気ままに生活している。そこにカメのタットも加わり、こおろぎはヘトヘト。タットが猛烈な食欲を示す季節になったので、こおろぎはただただ忙しい。タットは暖かい時期しか食べないので彼(だか彼女だかわかんないけどサ)、食欲のあるとき食べさせなければ。タットはお箸でマグロ食べる。つまり食べさせなければならない。しかも冷凍モンは食べない。あれが好きこれはいやとわがまま。食べたらすぐウンチ。ウンチで水がよごれればデカイ衣装ケースの水を取替え、ふと振り返るとケンケンもウンチしてたりして・・もう全くにぎやかな介護生活。ケンケンもごはんと水を自力で上手に飲食できないのでつきっきりで手伝わなければならない。狭いリビングの私の指定席の右にケンケン、左にタット。正面にテレビ・・。こおろぎは手も目も足も忙しい。

さて嵐は少しおさまった。明日朝一番で料理の原稿をファックス。追われる木曜日。

 テレビでうっかりプリマダムの最終回を見てしまった。この後味の悪さをどうしてくれる?バレエブームを意識しすぎた番組は、主演女優の力不足と見た。コメディーにもなれず、シリアスにもなれず、中森明菜様という全くのミスキャストで益々画面がぼやけて中途半端。生徒数が少ない奇妙なバレエスタジオが「漫画」だと思ってみてもなお、しらけた画面をいっそう胡散臭くする。うの様だけが素敵なドラマだった。黒木瞳様のどこかがひどくイラつく。「どこか」は目下考察中。残念ながら踊る様子はお年を感じさせた。こおろぎの通うスタジオのマダムたちのほうがはるかに美しい。我家のバレリーナ曰く「踊る手がきたないのよ」とのこと。ゴリエちゃんや光浦ヤスコ様たちのバレエのステージのすばらしさに比べたら「なんだそれ?」という完成度。振り付けも悪いし選曲も悪い。「見せ場」を知らない演出だった。わざわざ「生放送」した意味が全くなかった。残念。悪いといえばキムタク様の食べるシーンは本当に品が悪い。ついでに言えばさんま様とたけし様のタバコの吸い方も最低である。この3人は私は大好きなので、だからこそいつも情けない。隠し切れないのよね・・育った環境。怖い怖い。ふかわりょうという何者でもないタレントは何をしても「品」をかくせない。好き嫌いは別として不思議だといつも思っている。「つぶやきしろう」というピン芸人と対極にいる。「品」とは何かというのは実に奥が深く、興味深いテーマ。
 目下注目のドラマは今週で終わる「クロサギ」。「アンフェア」以来の出来。ドラマはこうでなければならない。主役の「役作り」を大切にしないドラマはつまらない。言ってみれば黒木瞳をパートでがんばる主婦に見せようというのが所詮無理だったのかも。彼女に「普通」は無理。全身浮世離れ。「可愛い自分」をもてあましている気配もある。

 こおろぎのアンテナはまた伸びてきた。さ、明日明後日は次女が試験。日曜日はピアノの発表会で彼女は先生と連弾。カッコいい。彼女はのそのまま来月のバレエのステージのレッスンに入る。いそがしい14歳。私は来週は自宅のレッスンが5つ。FMもTVも父兄会もある。ケンケンの病院もあるし大学の仕事もためてしまった。あっというまに6月が終わる。今年も残すところあと半年である。困った!来月から函館完全復帰を決めました。ケンケンにがんばってもらってこおろぎも行動範囲広げます。世の中のサッカー熱、どうなの?今しばらくはノーコメント。腹フクルルワザナリ・・・・。