本格戦闘の日々

madam-cricket2006-05-03

 30日、亡父の17回忌だった。PホテルのムッシュS、我右腕のあさよちゃんなくしては不可能だった。花も料理もなにもかも既製品でいいのに、あれもこれも手も口もだすものだからヘトヘト。手づくりって必ずしもよいものではないと痛感。こおろぎの笑顔にも限界があるのがよくわかった。それにしてもすごいお花だった。久しぶりに若いスタッフといっしょに現場を体験して幸せだった。

 その数日前からケンケン不調。骨まで見えていた頬は誰もが全快するとは期待しなかったのに包帯もとれ、短くカットした毛もそろそろと生えそろい獣医さんたちも家族もその回復には大感動。そのケンケンがひどい下痢。18年半、おなかをこわすことなど一度もなかったのに。何か食べたか食べさせたか。一晩中身をよじって苦しむ。足が弱いので踏ん張れない。苦しがって小さい悲鳴をあげる。麻酔も使わぬ顔の傷の手当てでも我慢したケンケンが悲鳴あげるのだ。こちらも徹夜。真夜中も洗濯三昧。病院で注射したにもかかわらずその夜は遠吠えのような大声で10時間続けて泣き叫んだ。口を押さえた。布団もかぶせた。ケンケンもつらかろうがご町内全員が飛び起きそうな声なのだ。心臓がわるいのでこのままなら心臓が止まるのではないかというほどの脈だった。老人が老人を介護する時代になっている。ケンケンの介護をしながら私達自身の将来も見えてくるようで気持ちが沈んだ。本当に切なくて悲鳴を上げるケンケンといっしょに真夜中私も声をあげてないた。仕事ができない。片時もはなれられないから何一つできないのだ。手を離したら死んでしまいそうな老犬。完全な徹夜は3日続いた。洋服を着たまますごしたのだ。3日目が法事だった。

 獣医さんにケンケンをあずけての法事。いつもいつもよい方がたに助けられる。

 夜通し吠えた翌日、とうとう獣医さんに相談した。このままではケンケンの消耗はひどい。食べてもすべて吐くし、下痢をする。全く眠らない。最悪の場合このまま眠らせてやることさえ考えたのだということ。二人の獣医さんが考え込む。ケンケンの心臓を考えると安定剤を出すのはためらっていたようだが試しに、ということで、何かあっても責任は問わないということで睡眠薬を調合。少量試すことにした。少しでも寝せてやり、私も休めるようにとのことだった。解剖実習が始まり、深夜帰宅してからも勉強する長女も私を助けてくれている。彼女も限界だった。餌も獣医さんのご指導のものに変えた。果たして狂ったように吠えるケンケンは食べるのか、眠ってくれるのか・・・。

 3日間食べなかったケンケンは11キロから6キロになっていた。そのせいかどうか、ケンケンは新しい餌を完食。おなかの薬も睡眠薬もなんなく飲んだ。それから2時間後、ケンケンはすやすや眠った。不安になった私達は10分おきにつついて呼吸を確認。目を醒ましてもまたころんと寝る。一般の半量の薬とのことだが実によく効いた。薬の効果はとうになくなっても、それ以来ケンケンは大声で吠えない。これまで同様、私達といっしょに静かに寝る。おしっこは外。お利口なケンケンにもどったのだ。再び三度四度の奇跡としかいいようがない。体重ももどりつつある。血液検査の結果は申し分ないという。レントゲンの結果は年齢相応で骨には問題はあるがそれでもおどろくほど立派だと獣医さんは感嘆。ケンケンは復活した。再び私達の家族のもとに帰ってきた。

 この1週間こおろぎはどうやって授業をし、ラジオでしゃべり、テレビに出たかわからない。花バサミをもっていても何か食べても、義務のように移動し、目の前のものを片付ける日々だった。ただただ洗濯をし、おなかがすいたと誰かが言えば用意し、「先生!」と言われれば振りかえり、書かなければならない原稿は遅れることなく提出した。だが本当に疲れた。ケンケンが薬ですやすや眠ったとき、こちら側のエゴだったかと後悔もした。だがケンケンが元気に長生きしてくれるためにはこちらも元気でなければならないのだ。安楽死さえ視野に入れる現代の医療だが、あまりにつらくて私も考えた。だが今、復活したケンケンの丸い目を見て心穏やかになっている。しかしこんな日々は繰り返されるだろう。そして同じことはケンケンではなく私達家族にも起こる問題である。ケンケンが教えてくれることは実に大きい。家族は一つになり、自分の時間を割き、優先順位の第一位にケンケンをおいている。ケンケンの命が教えてくれている優しさと命の重さに感謝したい。

 というふらふらのこおろぎはさて体の痛みに耐えている。イブも効かない。常備薬の安定剤も効果がない。今セデスを飲んだ。だが昨日、先日の胃カメラのときの組織検査の結果を聞きにいった。悪性のものは見つからなかったが、今後のためにピロリ菌退治をすることを薦められた。かわいいピロリ菌をどこまで退治するか。抗生物質に弱いこおろぎはその副作用のほうが心配。連休明けからはじめよう。ストレスのない暮らしをしてください、と言われたってなあ・・・・。ストレスないつもりなのに。

 昨日はケンケンがよい子で寝てくれていたのでこおろぎは法事のあと山のようにあったお花の写真を撮った。今回の写真もその一枚である。至福の時間だった。手元にある花だけで作るので限界はあるが、カメラに納める瞬間の感動が大きい。私はけして花が大好きな人間ではない。花がすきなのではなく、花のある情景だけが好きなので、今回撮った写真はどれも満足。今後のテキストに使っていきたい。今日もこれから枯れる前の花たちで撮影会を続ける。家中が散らかるが私にやっと訪れた静かな時間。感謝したい。連休など全く無関係。掃除と仕事。身分相応。

 ストレスなし・・・のためには・・・やっぱり言いたい放題ってこと?仮にコンビにやビッグカメラで大喧嘩し始めたとき「テレビに出てますよね?」とか「エフエム聞きました」などと言われてもけしてひるんではならない。50%オフの大福は堂々と買おう。30%オフのお刺身の買おう。悪には断固として戦おう!進め!・・・といいつつこの戦闘の日々で体は今日も痛い。セデスも効かないみたい・・・。いややっぱりおいしいシャンパンじゃない?大好物のオレンジ色のチェダ−チーズでシャンパン。これがいいわ・・・。