悲喜こもごも

madam-cricket2006-03-18

 ケンケンは夕べすっかり元気をとりもどした。顔の傷も乾いたように見えた。腫れも完璧にとれた。だから今日の病院はあっというまに終わるはずだった。だが不安は的中。彼の傷は皮膚の下で爆発していた。かわいそうに乾いた皮は引き剥がされ、大手術もどきの大騒ぎになった。問題は包帯。顔の構造上悪戦苦闘。なんとか自宅にもどったらすぐに包帯がずれて傷口がぱっくり。大慌てでまたタクシーで病院へ。結局ネットをかぶせた。銀行強盗風。
午後はコンペの作品作り。夜まで入院をお願いした。時間はすでに12時半。医大前のパン屋さんKでどっさりパンを買ってもどったら1時。論文の最終校正の締め切りは2時。コンペ出品のこのみちゃんとみかちゃんといっしょにパンを食べながら、電話で校正。何度校正しても満足できない。日本語は得意だとおもっていたけれど、実にむずかしい。なにより自分の能力に限界を感じて情けない。電話で修正してくれる共同執筆者の千晶ちゃんは冷静沈着。彼女に多大なご苦労をかけながら締め切りに滑り込みセーフ。


 ところでKは札幌で一番おいしいパン屋だと確信。美人だけで経営している店としても名高い。l医大生ご用達だというけれど、長女は198円のパンは高くて2回に1回しか買えないと嘆く。シナモントースト、カルツォーネピロシキ、クロワッサン・・・、ついついみんなの分も買って2700円。菓子パンを2700円買った。もう一生そんな買い物はできない。今日のこおろぎは本当にどうかしていて、ケンケンを抱えて病院に行くタクシーで気がついたときはママのダッサイサンダル履いていた。なにかと心乱れている。


 精魂尽き果てた校正のあと製作開始。材料を集めてみたものの、ため息ばかり。胡蝶蘭3本支給され、必ずそれを使って15000円相当のギフト用のアレンジメントをデザインするというもの。その胡蝶蘭が巨大で予定のデザインには使えない。3人ともまさに悪戦苦闘しながら完成させた。こおろぎは大満足。それぞれが個性発揮。「ギフト」にふさわしい作品。よく考え、材料を吟味した。このプロセスに意味がある。会場に搬入したら夕方6時半。場所も抽選。無記名で入場者の人気投票。結果は問題ではないと思っている。


 大慌てでケンケンを病院に迎えに行った。自宅に戻ってからはケンケンを見ながら原稿、掃除。気がつけば12時。長い長い一日だった。ケンケンは痛がってはいないけれど、血のにじんだガーゼをあてて痛々しい。明日また病院。蘭展にも行こう。


 ケンケンの治療に立ち会ったときのショック、いろいろな後悔、論文の未熟さ、力のなさ、これも後悔。でもKのおいしいパンをどっさり食べて幸せだった。このみちゃんも、みかちゃんも、まみちゃんもすばらしい作品を作った。先生は3人に満点をつけました。悪条件の中で最高の努力。誇りに思います。明日から4日間開催の札幌らん展、メンテナンスが大変だけれどそれもまた大切な勉強。春は近い。泣きたいときはKのシナモントーストを!まだまだ仕事は残っている・・・。