パーティ物語Ⅳ

 ある町でワンレッスン1000円でウチと似た内容のお教室があると聞いた。お安いのが1番よね、と囁く声も聞えた。ため息がでる。毎日教室を開いているので都合が悪くて欠席、というのはありえないそうだ。エコール・ド・フルールにはコミュニケーションのクラスもあるが、なんとそのお教室でも話し方等類似のクラスがあり、なにがどう回っていったのか、私どものテキストが使われているという噂ある。ほんのいっとき通っていらした女性が指導しているという噂もあるが信じたくない。以前これもまた別な町だが、「荒井に習った」といってレストランをひらいた女性がいる。面識はたった2度。公開の講座に御出席した方のようだが、食卓に帯を長したりプラスチックの折敷に刺し子の布を敷いたり、「コレは悪い例です」と話した通りを展開しているらしい。お店がマスコミに取上げられるたびに「荒井の弟子」と名乗るという。困ったものだ。それ以来、ディプロマを発行することにした。御指導の内容をしっかり確認し提示可能なシステムの重要性を痛感したのだ。つまりね、素人を装って出席してテキストや取引先の情報を集めて、自分の仕事にそのまま使う方もあるという現実。事実それ意外にも似た話は沢山あるのです。これって防げない。生徒さんを公募しない理由もここにある。だけどこれが現実で、TBSの株を買ってどこが悪いかと言うお兄さんは間違っていない。売っているから買うわけで、買ったものをどうしようと勝手よね・・・。露出していれば盗まれるのもたたかれるのもつぶされるのも覚悟の上ってことか。でも価格破壊のようなお教室、1度行ってみたいわ・・・・。ワンコインの料理教室もある時代だけれど前2〜3日の準備とあとかたづけを考えれば、私の教室、お高くないと思うんですけれど・・・。

 そんなわけで結構ディフェンスも強いこおろぎなのだけれど、スタッフには最高に恵まれている。大きな学校ではないのでスタッフといっても全員がボランティア。いつか大きくなったらみんなでパリへ行きましょうとか、代官山にオフィス建てましょうとか夢ばっかり見てるだけなんですけれど、みんなよく支えてくださる。今回のパーティーで私の見えないところで動いてくれたのが事務局長の美加ちゃんと管理人のみのりちゃん。花担当のあさよちゃん、MCの友子ちゃんだった。こおろぎが1番喜ぶプレゼントを考えたのは東京スタッフの美加ちゃんとみのりちゃんだった。二人とも本職で大忙し。寝る間もない生活なのに日高先生にアポイント取って、ビデオ機材調達して二人そろってインタビューに行ったというのだから幾つも幾つも奇跡と偶然がかさならなければ実現しないお話。強運のこおろぎとてこんな進展は経験がない。ほんの10分程度のインタビューをお願いしたらしいのだけれど、そこは美人が二人登場したものだから、無類の女性好きの先生、予定を大幅に越えた会談となったそうです。案の定、二人とも日高オーラ(昔は毒牙風だったけど今は平和なオーラ)を浴びて、すっかり大ファンになったとのこと。トレードマークのハイライトを吸うシーンとペンダント(先生はネクタイはせず、ペンダント派なのです)が写っていなければ困ると何度も取り直しさせられたと聞いてわらった。74歳くらいのはずだが、この自意識、美意識は大切。とにかくお金では買えない貴重なギフトはこうして完成した。二人には感謝しきれない。

 そしてフラワーデザイナーのあさよちゃんは連日4時に起きて花の仕入れ。こおろぎの好きそうなお花をせっせと集めてくれた。この精神力、体力にはまた脱帽。彼女はわがままな私をもう20年近く支えてくれている。裏方で、見えないところで動いてくれる人をどれほどもつことができるか、それが仕事の質を決めるかもしれない。体が1つなので行き届かないことばかりなのだが、札幌、函館、東京、神戸、広島でみなさん、あてにならない師匠を待ち、支えて下さっている。私にできることは彼女たちをどこへ出ても恥ずかしくない指導者にすること。食卓と食空間を演出し、衣食住のどの場面でもその伝統や文化を語ることができる人になれるよう応援指導させていただくことである。しかも短期速成栽培でである。ダラダラやってもし方がない。それで一回のレッスン時間を長くとることにしている。小さなレッスンをコマメにやるやり方もあるが私の方法でどんどん急速に生徒さんは力をつけている。そんな皆さんがあっての教室であり、パーティーだった。個性豊かな、しかも美人しかいない教室という噂はそろそろ全国に響き始めたようだ。薄利多売のお教室ではない。見よ、この生徒さんたちを!全員がこおろぎのブレイン。見よ、そこのインチキオバサンたち、うらやましいでしょ、私のこのブレインたちの力。10年、いやあとほんの少しで彼女たちの時代がくる。こおろぎ組のみんな頑張ってね!こおろぎに振りまわされてお気の毒だけれど、必ず幸せになりますから、今よりずっと幸せになる道しるべは発信しつづけますから。って、宗教法人化が近いみたい?だったら儲かるんだけどなあ・・・。


 猛烈に忙しい日々が続いていている。ある中学校のPTAのお母様たちの講演に行ったのが25日。いろんな方がいらっしゃることを痛感して、それでも大変たのしく講演させていただき、実技指導も行なった。26日はなんとFMパーソナリティーデビュー。地元の小さな放送局だけれど2時間番組。風邪に喉もやられてゲホゲホ状態なのに、マイクの前に座ったら元気百倍。曲の選択は今回は突然だったのでディレクターの女性に頼んだところ、私の第1印象で裕次郎の「嵐を呼ぶ男」、高橋真利子の「はがゆい唇」、百恵さんの「ロックンロールウイドウ」、加山雄三の「美しいビーナス」などなど、私のイメージってそう?シャンソンとかショパンとかイメージない?図星の選曲に脱帽でした。午後が大学なので後半はどっさり曲をかけてJRに飛びのるとうわがままを許していただいたが、そんな流れの歌謡曲三昧でした。毎月1度担当することになった。私が2枚だけ持参したCDは、ウフッ、今ご執心の関ジャニエイト(8)の「好きやねん大阪」と「大阪レイニーブルース」。やっぱりイメージつかめないでしょうか・・・。そんな場末のスナックみたいな番組を終えてから大学で授業して、夜はカルチャースクールで「お行儀学」。夜中はケンケンの介護。木曜日はカルチャースクール午前午後。金曜日は締切りの原稿や雑用。それなのにその合間にバレエの見学。今回は時間がなくて30分の見学だったが、おどろくほど高いレベルだった。55周年記念講演を終えた大先生自らの御指導。「アッたま悪いんじゃないの?!」「ちゃんとみえるの?アホだネエ」という毒舌も心地よい。バ、バ、バレエ?今回二女の発表会で大人のクラスの方々に強く勧められ、こおろぎこの年でクラシックバレエデビュー。元高校新体操の★ではあったものの(?)あれから30数年。みなさん、近い将来、「雀の湖」とか「眠れる森のこおろぎ」とかいう舞台作りますから。もちろん主役は私。チュチュきたこおろぎに御期待ください。


 パーティーの写真ができてきた。満点のパーティーだったがあらためて振りかえると考えることは多々ある。それにしても余韻は長いなあ〜。来週の食事会のことでムッシュに相談の電話をしたら彼、少なからず驚きの受け答え。すでにこおろぎから解放された安堵の日々だったに違いない。お気の毒なムッシュ。これからがこおろぎの季節なのよ・・・・。
「ヌーベルシノア、できる?」
「えっ・・・」
こおろぎのわがままは再び始まった。