なんどでも誕生日


短大の試験があった。必死に頑張る学生さんたちに感動。
完全筆記。テキスト、ノート持込禁止。これ、つらい。
でもねえ、いくつものテーマから10個選んで説明するのって
つらいけど救いもあるわけで、みなさんよく頑張りました。
「先生、時間足りなかった!」
「疲れた!」という感想。これは試験が「正解」だった証拠。



試験のたびに思う。教師は何がどうあっても手も気も抜いてはいけない。
学生は難しい試験ほど応えてくれる。
簡単な試験で救ってやろう、などと思うと必ず解答は手を抜く。
手ごたえがなくてがっかりしながら
解答をしている様子が見てとれる。
要するに「手ごたえ」なのよ。
先生がその気なら、こっちも真剣に答えるから!という
その力学的バランスがとれるときがある。
これが醍醐味。



こんなに頑張って教えているのに、どうして学ばないのか、
どうして真剣じゃないのか、という「片思い」状態も
時に起こるけれど、それはお互い様で、学生側にとっても
なんでこんなに手を抜いて、古い情報、古い内容を聞かされるのか、
という時もあるかもしれない。



自分の学生時代を振り返っても、ご自身が学生時代にとったノートを
30年間棒読みする先生がお二人いらした。
考えられないけれど、実在した。いまどきはそこまでひどい教師はいないと思うが、
どんな分野も毎年新しい報告はあるわけで、最新の情報を伝えてこそ
教師。これは大学だけでなく、花でもなんでも同じことだ。
毎年、教える内容を変えてこそ教師だと思う・・・のでつらい。




試験のあとまっすぐ東京へ。
ホームページの管理人みのりちゃんは10月、美人事務局長MICCAちゃん
は8月が誕生日。間の9月中にお祝いしなきゃ女が廃るこおろぎでした。


このところ健康第一になっているこおろぎのために、
MICCAちゃんが用意してくれたステージは麻布十番
その名もずばり「アンチエイジングレストラン」。



だいたい、有機野菜とか健康食品系のお料理が自慢のレストランは
来なきゃよかった・・・と思う場合が多い。


素肌自慢のオーナーが、まるでお説教のように
薄味の料理をイチイチ説明するあの感じが
なにより嫌だわね。
わかっってるって、大豆が体にいいのは。
だからって全部が豆腐ってどうなの?
素材本来の味をお楽しみくださいって
じゃあ、スッピンのあなたの料理人としての仕事はなんなの?どこなの?と
つい思ってしまう。
本来の味を引き出したことこそ私の技です、って顔してるのがそもそもいやだわね・・・素材の味は素材のもので、引き出したってのは傲慢よね・・・



って、どうしてここまでつまらないことにこだわって
きらうかというと、


こういう美しい心の、美しい肌の、多分体内全部が
有機野菜でできていて、地球の将来まで
考える立派な人の前に出ると、
身も心もドロドロのこおろぎは
グッサリ、グレてしまうのです。
体にも地球にもやさしい・・なんてエコまで語る人は
絶対に自動車など乗らないでもらいたい!
自家製ではない醤油も、お酒も使ってほしくない!
そこまでこおろぎの心はゆがんでしまっているのです。



だってそういうお店に限って
妙にかわいいトールペイントの看板だったり、
パッチワークのランチョンマットだったりして
食空間として居心地悪すぎることも多いんです・・。


パッチワークが悪いのでもトールペイントが悪いわけでも断じてないわけで、
そういうスッピン自慢のオーナーに限ってなぜか「アート」にオリジナリティーがないのが特徴なのです。


アー疲れた。


何が言いたかったかというと・・・
そう、多くはわがままなこおろぎをグレさせるのに、
麻布十番のレストランは
すべてが満点でした。
ちょっと暗すぎるのは
食べたら美しくなれる・・・という「売り」のせいでしょ。
暗いのでお互いの顔がよく見えない。
ユラユラするキャンドルの光で、あら、不思議、
ちょいとさっきよりきれいに見えちゃったりもして・・
この錯覚もなにもかも作戦かも。
でもエコール・ド・フルールにぴったりな料理と空間とサービス。
近いうちに、こちらでレッスン決意。乞うご期待。



写真はその店のデザート。三人で選んだデザート
を誕生日用に大皿に盛り付けてくださった。
やっぱりこのサイズのお皿が登場。このブログで続けて使ったものの
白。ね、大皿に力有り、でしょ。



大企業で大活躍する二人のキャリア女性との会話は楽しかった。
山ほど刺激的な話題があったが、
ベルルッティという靴の話題には腰が抜けた。


イタリア好きのこおろぎは
靴もイタリアモノがすきなので
フランスの靴はうっかりチェックしていなかった。
MICCAちゃんの豊富な情報に登場した
ベルルッティの注文靴のお値段に驚愕。
こおろぎとみのりちゃんの「常識的な高い靴」の
程度は8〜9万だった。
MICCAちゃん、普段以上に美しくにっこりして
「その10倍です・・」だって!

もちろんデザインも色もオリジナルだとはいえ、
90万の靴ってどうなんでしょ。



リサイクル屋さんで
廃業したホステスさんの新品のハイヒールを
5足一万円で買った先日など
高かったなあ・・と後悔して、
その夜はガンモドキを焼いて食べたこおろぎには衝撃だった。
いかんいかん・・世界は広いんだわ・・・。



今日札幌に帰ってきたカブトムシにベルルッティの話をした。
カブトムシは貧乏なくせに靴とカバンがすきなのだ。
何の趣味のないけれど、カブトとこおろぎは靴とカバンがすき。
とはいえさ、しがない学者、ボーナスのときのSALEにしか買えない。
100万の靴もあるんだってよ・・と言ったら
「車が買える・・」とうなだれたカブト。
時々380円もなくて学生さんに借金して学食でご飯しているらしい彼に
ベルルッティの話題は酷だった。
ホント、そんなに高いんだったら
まず子牛か子ワニを買って、大事に育てて、その間どこかでちょいと
修業して自分で作ろうと思ってしまったこおろぎ。
ケンケンの供養が終わって、もし、こおろぎんちに子牛か子ワニが
いたら、それはカブトの靴のためです・・・



世の中、格差社会だわ、やっぱり。
大好きな大好きな加藤和彦様はベルルッティだって。
やっぱりね、そのレベルのいい男の履く靴なんだわ。
カブちゃん、あなたはやっぱりDデパートの再々安値のワゴンで探す
イタリアモノがぴったり。体は規格外だけど、さすがに足は
まだ探せるサイズ。これで頭のサイズに合わせて足まで37センチだったら
とうに離婚している。



翌日は恵比寿で授業。子牛・・ではなく、講師養成本格化。
上級生3名とお勉強。三角形の重心だの、位置エネルギーと運動エネルギーの
関係だの、およそ花のデザインと無関係な授業で
申し訳ないことをした。でもね、そんな視点で
モノを観ると、見えないものが見えるから不思議。
四季と祭事の知識も装飾の技術もプロ仕様に磨いていきましょう。

机上のお勉強で疲れたあとの作品は申し分ないものでした。満足。



本日土曜日もこおろぎはお向かえの大名医O医院に飛び込みました。
気候のせいか、かったるくて血圧を測ったら上が77で下が65。これは変。
その上お尻に何か異物発見。化膿したら大変。
でもO先生はいつもの笑顔。わずか何歩かの距離を走っていったせいで血圧は低いながら平常にもどっていました。
「上下の差が小さいのは大問題だから
今後続くようなら考えましょうね。良質のたんぱく質食べて
睡眠とってね」でおしまい。お尻もお薬チョチョイでおしまい。
ホント、名医だわ。すっかり安心。



・・・・と、カブトに報告したら、
「ボクも行って来る!」と大きな体を揺すって走り出した。
「どこが悪いの?むくみ?!それいつもだよ!」
と追いかけた私。


17時4分。診療終わって4分すぎてたけどスリッパも履かずに受け付けに
たどり着いたカブト。
あまりの形相のデッカイカブトにすっかりおびえた薬剤師さんは
あわてて先生を呼んでくださった。
「どうしました?!」というO先生に
「指が痛いんです!」とカブト。
「は?」と私と先生。
「ここんとこがチクチクと・・」
「あーもー、ほんとにもーっ、そんなの舐めときゃ治るって!」と私。
でもそこは名医「あ、巻爪だ、こりゃ痛い」と必死に病名つけてくださった。
得意そうに私を見るカブトムシ。くやしい・・・。


で、ものすごくものすごくものすごくものすごく大げさに包帯していただいて
「今日からお風呂にも入れない・・・」とすっかり病人になったカブトムシ。
チキンめ・・・。


わが家に男の子が生まれなかったのは実に幸いだった。
キキやコロ介みたいなたくましい男の子ならいいけど、
パパ似で体が妙にデカイのにこんなヤワな少年だったら、
ホント、どうしたもんだっただろうか。



という長い日記になった。
旅の収穫、本の紹介などのメモは追々。
体調はすっかり回復。O先生がついてるので大安心。
それにしても、向かえに住みついた変な夫婦がバタバタ走りこんで
O先生、実にお気の毒。でもホント、医療はかくあるべきと思わせてくださる
大名医なのです!バンザイ!