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madam-cricket2006-02-20

 このページのライフデザイン考(NEW)の最新2月19日付け(函館新聞連載暮らしのパレット)に書いたのだけれど、このところ猛烈についていない。ついていない、というどころではない。ケンケンのウンチをふんづけるところからスタートする日々はずっと続いている。人間、いい日も悪い日もあるわけだけど、あんまりじゃないの?ということが続く。

 
 そう、この暮らしのパレットに書いた最悪の日の、JRの車内でのできごと・・・っていうのはね、話せば長いのだけれど、ただの指定券のダブルブッキングなのだけれど、私が立たければならないことになった。すぐに降りる私が、心の広い、気だてのやさしい、今どき珍しくよくデキタ人間である私が犠牲になって席を譲ったのだけれど、問題はこの車掌さん。ちゃんと検札していない。指定券をもっていない人をみのがしている・・・というよりお客におびえてる様子。せっかく私が席をゆずっても「どーもすいません」といったきり。代わりの席を用意しない。「おなじ代金を払っておかしいのではありませんか?」とこおろぎは切り出してしまった。穏やかに穏やかにである。するとヨシダさん(車掌さん)ったら「本当にすみません」と深々と、実に大げさに頭を下げた。「検札なさらないのも不思議です。」というとまるでやくざの大姉御に捕まった弱気のチンピラさんのように帽子までとってもっと深く頭を下げた。これには腰が引けたわね。車内はシーんとしてるし・・・。「本当にすみません」を繰り返した挙句、「許してください」とまで言うのよ・・・。まるっきり私が悪者。席ひとつで抗議したことに後悔。朝から一度も座らずに走り回って飛び乗ったJR、わずか30分、座りたかった。そのあとまた1時間半、試験監督なのだもの。なのにヨシダさんのこの謝り方ってなんなの?

 私より絶対に年上。定年は近いに違いない。高校卒業後ずっと旧国鉄に勤め、その歴史を見つめてきたのよきっと。気の弱さは車掌仲間でも周知のこと。何十年ものあいだ彼は検札がきっと怖かったのだ。「切符を拝見します」なんて怖くて言えなかったに違いない。家にはチエコサンというよくできた奥さんがいる。21歳のとき、国鉄のサークルで知り合って結婚したチエコさんはこおろぎとはまったく違う働きもので今もパートを続けている。一男一女を立派に育て上げた。長男は信用金庫、長女は市役所の臨時職員。二人の子供もその人柄の良さが評価されている。ヨシダさんも15歳の老犬を飼っている。白と茶の毛の長い雑種。スクーターでホームセンターに釘を買いに行った帰り、国道沿いのダンボールの中で見つけた捨て犬の一匹。他の子犬の貰い手まで探すやさしいヨシダさん・・・。近所の一人暮らしのおばあさんの家の除雪もこっそりやっている。チエコさんはごみステーションの掃除を当番でもないのにちゃんとしないではいられない人。やさしいやさしいご夫婦なわけよ・・・と、こおろぎは久しぶりの透視で確信した。

 だけどなんだかなあ・・・・正当な抗議は疲労する。権利を主張するのも疲労する。ヨシダさんの前では心の汚い怖いおばさんになってしまった。悲しいのは席がなかったことではなく、ヨシダさんに頭を下げさせてしまったことなのだ。電車を降りるとき、また帽子をとって深く頭を下げるヨシダさんにこおろぎは言いました。「あなたは間違っていると思います!」。声は車内に響いた。私の声に気がついた学生もいたと思う。「いいえ、もういいんです」ということもこおろぎはできた。そういいたかった。けれど定年前にヨシダさんは知るべきではないのか。あなたの気の弱さが、気の強い誰かとても傷つけるということ!



 とまあ、相変わらずの日々。そんなことにエネルギー使うのはどうかと思うほどのバランスの悪い日々。お問い合わせの多いケンケンはそばに誰かいないと吠え続ける。四肢が弱りしっかり座っていられないのだ。でもヘトヘトなのは私。耳がヘトヘト、腕もヘトヘト。ケンケンはお犬様ライフ満喫の様子です・・・。

 義父は3ヶ月の入院から退院。めでたしめでたし・・・のはずが、一人暮らしにもどすのは大仕事。病院は安心だったが、さて買い物から何から何まで心配。今後の治療や予防等についても問題が生じ、こおろぎもカブトも頭を抱えている。だが、一番大切なのは父の「今」の元気さ、プライド、威厳、尊厳。80歳の父を医療現場の派閥や医師たちの「方針」の違い等の混乱に巻き込んでは断じてならない。実父や義母の最期をしっかり見たこおろぎは本領発揮して鬼と化して納得のいく治療方針を選ぼうと思う。それにしても義父が入院していた間、あちこちの教室をお休みしたり、ご迷惑をかけた。呼吸困難になった夜、クリスマスのレッスンの前夜だったので、真っ暗な病室で十数個の小さなリース作った。余命宣告に震えながらスタートした11月だったが、今義父は一人暮らしのマンションにもどり、もどった日から確定申告の用紙を書き始め、台所にも立っている。感謝しなければならない。


 こおろぎの自堕落な生活改善計画はケンケンに大量の時間を使うようになって大幅に遅れてはいるが、少しずつでも進んでいる。ただアシスタントにきてもらう時間がない。私自身がいっしょに働かなければわからないことばかりだからだ。でもアシスタント引き受けてくれたジョナサンがあまりのこおろぎンちの散らかりに絶句してアシスタントがアシスタントを連れてくることになった。プロのフラワーデザイナーだったジョナサンは今はネイルアーチストとしても活躍中。ピアノと書道の名手。ジョナサンがつれてくるアシスタントのアシスタントも個性的なネイルアーチスト。ケンケンのシッターに長女が選んだのは貧乏な医大の同級生だというけれど、これがまた訳あり好青年らしい。いいなあ・・・。こおろぎの函館の家のお手伝いさんの愛車がリンカーンムスタングだったのは有名な話だけど、こおろぎのまわりにはやっぱり強烈な人ばかり集まってくる。パソコンの先生も音楽家の顔のほかに飛行機航空評論家の顔を持っていることが判明した。第一秘書大野朝代ちゃんの強烈なパワーは言わずとしれたもの。なんとなくワンダーランドの様相を呈してきた。こおろぎ夫婦の存在が一番弱いかも・・・。

 眠いのに寝られないケンケンを左手で撫でながら、右手だけでパソコンのキーをたたいている。ちょっとした技術を身につけた。こうでもしないと何も書けない。さ、ケンケンが眠った。今のうちに大学の試験の採点。ひさしぶりなので長くなった。管理人、みのりちゃんの父上も手術だった。みんな笑顔ですごしましょ。そうそう、今日忙中の閑、午後の3時間、ケンケンをママに預けてバレエを見てきた。音楽は札幌交響楽団だったから久しぶりに耳も目もリフレッシュ。つかの間の幸せだった。見つけましょ、ちゃんと「つかの間」を!