食べ尽した日々

沖縄からキキ帰省の嵐は
わが家に、大きな刺激でありました。

相変わらず、猛烈に個性的なファッションと言動で
ワクワクドキドキの周囲でしたが
想像をはるかに越えて、大成長のキキ。


小さいカラダで、大きな世界に歩き出したキキに乾杯!


帰省した日は、彼女の希望のお店で歓迎会。
素敵なデザートでした。
アイスモナカ好きのこおろぎ、大満足のデザートでした。



一年ぶりに帰って来たキキさんは
想像通り多忙で、あちこち飛び回っていたので
こおろぎの日常はいつも通りタンタンと過ぎていきました。


そしてある夕方、こおろぎの大事なお友達が
こんなに沢山のホッケを届けてくれました。

日本海で獲れたての、透き通るような身のホッケ。
贈り主のKさん、漁師さんたちと親しく暮らせることの幸せを、
つくづくうらやましくなりました。

「自然」との距離というのが、人間の最高の幸せではないかと
こおろぎは最近考えています。
これは、自然の中で原始的に暮らすこと、という意味ではありません。
土や海と直接関わるということでもないのです。


人間は、イキモノを食べることでしか生きて行けないイキモノなわけで、
そのことを、ひしひしと感じることがどれだけできるか、ということなのですが

なかなか表現が難しいところです。
目下の執筆の神髄でもあります。
ふーっ。


この夜は、5匹を煮付け、
3匹をフライ用
残りの3匹を開いて干した、いつでも漁師の妻にもなれそうな立派なこおろぎさんでした。


そして
3月3日はひな祭り。上巳の節句
江戸時代に定着した五節句の一つです。



あ、おひな様、飾り忘れ!

こおろぎの古い段飾りはあきらめて
カブトムシのママの木目込み人形を大慌てで飾りました。


お客様はキキと、キキの大事なお友達お二人。


そして大急ぎでお祝いの準備。
こおろぎのアシスタント修業中のころ介が
前夜、定番メニューのキッシュとラタトゥイユ
実に上手に作ってくれました。

今回はキキの希望通りのメニュー。
その他は
タコのサラダ、蕗の煮物、ホタテのトマトソース炒め、
北海道モノのオードブル
毛ガニ(日高産、稚内産、増毛産をそれぞれ。デッカイ毛蟹を四匹!)
カニ玉(道産のズワイガニに新鮮な卵を絡めてさっと炒めました。塩とバターで調味。)
北海道産の豚のしゃぶしゃぶは満腹で食べられずキャンセル。
イクラと雲丹を食べ放題のご飯タイム。


小樽に行って来たキキとお友達のお土産は
納得のお味。

そして
アニバーサリーのおひな様ケーキ。

カブトムシと、ころ介と、ママとりきまる、みんなが
大興奮のキャンドルタイムとなりました。

誕生日が近いカブトムシが
まさかの勘違いで、あっというまにキャンドルの火を吹き消して
ひんしゅく



まあ、今回は、なにかとお祝いムードの集いなので許してやることにしました。



そして今回の〆が「これ」です。

さて、なんでしょう?!




大感激。
お茶です。
専用の容器で観ても楽しむ「工芸茶」。


お茶好きのこおろぎのためにと
以前お仲間たちからいただいたものです。
大事に大事に大イベントを待っていました。


いやあ、驚きでしたわ。


いろいろな形があるのです。

まずは鳥やお花の形に作り込んだ茶葉に驚き、
お湯を注いで香りに感動し、
お茶の色と、茶葉の変化に歓声。


そして実においしいのです。
何度もお湯をたして楽しめます。



ただ、この容器、持ち手と注ぎ口がないので
茶碗に注ぐのが大騒ぎとなりましたが、
それもまた楽しいパフォーマンスでした。




一夜明けて、キキは元気に帰っていきました。
つくづく親など無力だわ、と思った次第です。
大学時代、同じ町内にいながらの一人暮らし、
6年生の秋までつづけたハードなアルバイト、
それらが全部、今のキキの力になっていることが
よくわかりました。
多分、どんな厳しい仕事も苦しくないのだろうと思います。


同じ職場のお友達もいっしょに来ましたが、
その会話を聞いていても
沢山の研修先から、あえて一番ハードそうな病院を選んだ理由も
学ぶ内容も理解できました。




さて
キキを見送ったこおろぎは
いつもの日曜日通り、日曜美術館をちらりと観ることができました。

佐藤忠良の彫刻を柳田邦男さんが語っていらっしゃいました。

彫刻のすばらしさは当然ですが、

その作品を語る柳田さんの言葉の美しさ、的確さ、奥深さに
気がついたら正座して手帳にどっさりメモしていたこおろぎです。

野外彫刻など
今までどうにも理解できなかったこおろぎですが
突然なにかが分かった気になりました。



「自然との共生」という視点で生活美学を記さなければならない今、
人間と自然の関係が
図らずも、佐藤忠良を語る柳田さんの言葉から
スルスルっと見えてきたような気がするのです。

ああ
すぐれた文筆家の言葉はいい。
そして
やっぱり芸術はいい。


自然は自然。

なぜ芸術がいいかというと
自然と明確に境界を持った、人間だけの技だからです。

その「境界」をどう意識するかがおもしろい。

ホッケをさばきながら感じた同じ「感動」を
改めて思った朝でした。




そして
思うのです。



子育てなど
ほんとうにあっという間に終わるということ。



すでに両手からキキもころ介も飛び立っています。


残るは我ひとり。




どのように自分を育てつづけるか、
それこそが大命題なのだと
今朝も大変ご立派なこおろぎセンセー、


少々フツカ酔い気味ではありますが
そして腰痛にヨロヨロしてはおりますが、
これくらい当たり前の「生命現象」。



こおろぎ組には素晴らしい一週間でありますように!